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わしとあるじと迷宮ダンジョン 5
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天井裏から颯爽と登場したわしは、まずウェイトレスから注意をうけた。
「クロトさん、天井裏には上らないでくださいって言いましたよね?だめじゃないですか」
「おお、すまん……」
しかし、やめられんのじゃ。
暗いし、狭いし、ひんやりしてて心地よい。月に一度は散歩せぬと落ち着かん。
ウェイトレスももう半分はあきらめてるのだろう。あまりしつこく注意はせずに、注文を聞いてくる。
「それでクロトさんは何になさいますか?」
「ホットコーヒーの氷入りで」
男はホットのブラックに限るのじゃ。アイスコーヒーなんて邪道よ、邪道。
「はい、アイスコーヒーですね」
「ホットの氷入りじゃ」
「はいはい、猫舌ですもんね。ほんとクロトさんったら……」
そんなわけで、ミーフィアたちのすわるテーブルの空いてる席に座らせてもらう。
二人の反応は、ミーフィアのほうはというと、純粋に嬉しそうな顔でこちらを見てくれていた。
そしてもう1人の少女はというと。
「あんたいきなり降ってきて、戦士になりたいなんて、いったい何なのよ」
うさんくさそうな顔でこちらを見ていた。
「だからわしは戦士じゃ。戦士をさがしておるんじゃろう。話は聞いてたぞ。おぬしらのパーティーにいれてくれ」
「却下。わたしたちは真剣に戦士を探してるの。冒険者はね、遊びじゃないの。わたしたちは一流の冒険者を目指してるのよ」
「いえ、わたしはべつに……」
少女の返事はにべなかった。
「わしだって遊びではないぞ?自分でいうのもなんだが、戦士としての実力はなかなかのものだと思っている」
「あんた使い魔のクロネコよね。戦士なんてできるわけないじゃない」
「ふっ、童女よ。そうとは限らんぞ?ミーフィアならわしの戦士としての実力は見たことあるじゃろ?」
ミーフィアは模擬戦で一緒になったので、戦士としての動きもいくつか見せたことがある。
さすがに普通のクエストで、魔剣開放まで使う気はないが、幻獣3匹相手に撒いて見せた身体能力などは戦士としての力を十分にしめせてるはずじゃ。
「はい、クロトさんなら十分、というかかなり余っちゃうぐらいにできると思います」
「はあ?ミーフィア正気なの?」
しかし、ミーフィアが言っても、少女は信じる気にはならないようじゃった。
クロネコが魔法型という固定観念はやはり強い。
そうしてる間にコーヒーがやってくる。
ホットコーヒーの氷入りじゃ。
わしはそれに砂糖を入れた。ホットコーヒーの氷入りの、ブラックの砂糖入りじゃ。
ついでにミルクを入れる。
ネコだから仕方ないんじゃ。
そうしてわしはコーヒーのホットのブラックの氷と砂糖とミルク入りを口に含んだ。
うむ、うまい。
やはりコーヒーはブラックに限る。男の味じゃ。
「クロトさん、天井裏には上らないでくださいって言いましたよね?だめじゃないですか」
「おお、すまん……」
しかし、やめられんのじゃ。
暗いし、狭いし、ひんやりしてて心地よい。月に一度は散歩せぬと落ち着かん。
ウェイトレスももう半分はあきらめてるのだろう。あまりしつこく注意はせずに、注文を聞いてくる。
「それでクロトさんは何になさいますか?」
「ホットコーヒーの氷入りで」
男はホットのブラックに限るのじゃ。アイスコーヒーなんて邪道よ、邪道。
「はい、アイスコーヒーですね」
「ホットの氷入りじゃ」
「はいはい、猫舌ですもんね。ほんとクロトさんったら……」
そんなわけで、ミーフィアたちのすわるテーブルの空いてる席に座らせてもらう。
二人の反応は、ミーフィアのほうはというと、純粋に嬉しそうな顔でこちらを見てくれていた。
そしてもう1人の少女はというと。
「あんたいきなり降ってきて、戦士になりたいなんて、いったい何なのよ」
うさんくさそうな顔でこちらを見ていた。
「だからわしは戦士じゃ。戦士をさがしておるんじゃろう。話は聞いてたぞ。おぬしらのパーティーにいれてくれ」
「却下。わたしたちは真剣に戦士を探してるの。冒険者はね、遊びじゃないの。わたしたちは一流の冒険者を目指してるのよ」
「いえ、わたしはべつに……」
少女の返事はにべなかった。
「わしだって遊びではないぞ?自分でいうのもなんだが、戦士としての実力はなかなかのものだと思っている」
「あんた使い魔のクロネコよね。戦士なんてできるわけないじゃない」
「ふっ、童女よ。そうとは限らんぞ?ミーフィアならわしの戦士としての実力は見たことあるじゃろ?」
ミーフィアは模擬戦で一緒になったので、戦士としての動きもいくつか見せたことがある。
さすがに普通のクエストで、魔剣開放まで使う気はないが、幻獣3匹相手に撒いて見せた身体能力などは戦士としての力を十分にしめせてるはずじゃ。
「はい、クロトさんなら十分、というかかなり余っちゃうぐらいにできると思います」
「はあ?ミーフィア正気なの?」
しかし、ミーフィアが言っても、少女は信じる気にはならないようじゃった。
クロネコが魔法型という固定観念はやはり強い。
そうしてる間にコーヒーがやってくる。
ホットコーヒーの氷入りじゃ。
わしはそれに砂糖を入れた。ホットコーヒーの氷入りの、ブラックの砂糖入りじゃ。
ついでにミルクを入れる。
ネコだから仕方ないんじゃ。
そうしてわしはコーヒーのホットのブラックの氷と砂糖とミルク入りを口に含んだ。
うむ、うまい。
やはりコーヒーはブラックに限る。男の味じゃ。
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