すまん、いちばん最初の使い魔のわしがいらない子ってマジ?

小択出新都

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わしとあるじと迷宮ダンジョン 1

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 疾風のクララは考えていた。
 今月こそ、ついにわたしの伝説がはじまる月だと。

  疾風のクララというのは、クラリネッタのあだ名だ。なんにでもそそっかしいのでつけられた。
  でも、かっこいいから気に入っている。

  クララはビッグになるために、エインルーン魔法学校のマジックアイテム科に入学した。
  不人気学科のマジックアイテム科を選んだのは、クララの成績ではそこしか受からなかったからだ。
 (でも、気にしてない。入ってしまえばこっちのもの!)
  そしてこの長期休み、ついにビッグになるための行動に移ろうとたくらんでいた。

 「それでね、ミーフィアにはぜひわたしのパーティーに入って欲しいなって!いいよね!もう決まりって感じ!?」
 「ええ、でもわたし冒険者志望じゃないし……」

  クララは魔法学校のすぐ近くのカフェテリアでテーブル席に座って向かい合い、ほとんど無理やりに放課後のお茶にさそった同学年の少女ミーフィアを、自分のパーティー――昨日結成したばかりでメンバーは一人しかおらずパーティーと言っていいのかすら謎――に勧誘する。
  相手の反応はかんばしくない。でも、あきらめる気はゼロだった。

  目の前のミーフィアという子は、メガネをかけたいかにも大人しく地味めの子だ。
  なのにそれに反するやったらとめだつでっかいおっぱい――うらやましくなんかないぞ――をそなえていた。
  ミーフィアは前までは召喚科でいちばんの劣等性だったのに、いまはめきめきと実力をつけて一年生でも成績上位の生徒のひとりになってしまった。
  普通、実力がある人間っていうのは、他の金や人脈、実力があるグループたちが囲い込んでいるものだ。
  仲間にするには相応の対価、もしくはこちらの実力や名声が必要だ。

  でも、この子は違う。
  急に実力をあげてきたから、まだ誰も唾をつけてない。

  つまり、おいしい物件だってことだ。

  ぜったい逃してなるものかと、クララは思っていた。
  なんとしてでも、このおいしい娘を自分のパーティーにいれるのだ。

 (それこそがわたしの野望の第一歩!)
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