すまん、いちばん最初の使い魔のわしがいらない子ってマジ?

小択出新都

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わしと主(あるじ)とバトロワ 8

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「サンダーバレット!」

 生徒が呪文を詠唱し、魔法を発動させる。
 空中に現われた数発の雷球。わしはそれを爪で切り裂き加速させる。
 通常の数倍の速度で放たれた雷球はハイランドワイバーンの体に直撃し、ハイランドワイバーンは悲鳴をあげた。

「くそぉ!こっちも反撃だ。ウィンドダガー!」

 ゲーヘナスの魔法が、上空からこちらに放たれる。

「くるよ!レミちゃん!」
「任せて!ロックシールド!」

 防御担当の生徒が、風の刃を石のシールドではじき返す。

「くっ、ハイランドワイバーン!ブレスボムだ!」

 数発の火球がワイバーンの口から放たれた。

「ミーフィア、おねがい!」
「はい!アクアウォール!」

 しかし、ミーフィアのだした水の壁によりまたしても防がれた。

「なぜだ!こんなはずじゃなかったのに!ハイランドワイバーンをつかえば、ソーラはともかく他の奴らは楽勝なはずだったのに!」

 ゲーヘナスが動揺する声が空に響く。

 甘いのう。
 確実に勝ちたいなら、もっと二重三重に策を用意すべきじゃったろうに。

 圧倒的な優位な位置から攻撃するのは、確かに戦術の基本ではある。
 しかし、そうなれば当然相手はその優位を崩そうとしてくる。
 崩されたときの対策も考えておかなければ、作戦としては不完全なのだ。

 優位が崩れてからのゲーヘナスの攻撃は、あまりにも芸がなかった。
 主力であるハイランドワイバーンのブレスボムは、ミーフィアのアクアウォールで防がれ、本人も魔法で攻撃してくるが散発的で、防御担当の生徒に簡単に防がれている。
 有効打が打てないのに足を止めて打ち合っているから、どんどんハイランドワイバーンの体力が削られている。 

「へっへっへ、正義は勝つってことよ!金に任せて勝とうなんて甘いぜゲーヘナス!」

 エセナは空中に拳を突き出しにやりと笑うと、呪文の詠唱をはじめた。

「クロト、頼むぜ!グランドフレイム!」

 エセナの唱えた魔法は、他の生徒たちのとは一段クラスが上の中級魔法じゃった。その性格と良く似た、巨大な渦を巻き暴れる炎が中空にあらわれる。
 ビッグマウスな少年じゃが、それに違わない実力を持っている。

「うむ。加速剣グラム!」

 わしの魔剣がそれを切断すると、半分になった炎の塊がハイランドワイバーンに向かって飛んでいく。

「ギャオオオオオン!」

 ハイランドワイバーンはかなりのダメージを受けたようだ。
 宙に浮かぶ体が一瞬ぐらつく。

「あと一息だぜ!」
「くっ、お前には大金をかけたんだぞ!しっかりしろ!」

 ゲーヘナスが自分の使い魔を叱咤した瞬間、ハイランドワイバーンの軌道が急に変わった。

「うわっ!?なんだ!」

 急降下したり、いきなり上昇したり、左右に旋回するように動き、でたらめな飛び方をはじめる。

(回避機動か!じゃがしかし!)

「うわああああ!落ちる!落ちるううう!やめろ!やめるんだああああ!」

 そのあまりの急激な軌道に、背中に乗っていたゲーヘナスが振りおとされかけている。
 ゲーヘナスは悲鳴をあげながら、ハイランドワイバーンにとまるように命令するが、止まる気配はなかった。

(本能が勝ってしまったか)

 改良品種でおとなしく命令に従う気性はしていても、決して野生的な本能がないわけではない。
 何度も攻撃を受け、たがが外れてしまったのだろう。

 普通の使い魔は、召喚者が魔力や契約により相手より上に立つことにより、その従属を得ている。
 しかし、ハイランドワイバーンの場合は、使い手のほとんどが大人しい気質を利用し、使い魔よりも力がはるかに劣る状態で、命令をおこなっている。
 このいびつなパワーバランスは、一度使い魔が暴走してしまえば、もう建て直しがきかない。

「おいおい、ゲーヘナスのやつやばいぞ」
「どうしよう!?<身代わり人形>はあるけど、魔法や攻撃以外のダメージだと防いでくれるかわかんないよ!?」
「振り落とされないうちに、ワイバーンのほうを気絶させるしかねえ!クロト!もう一度俺の魔法を飛ばしてくれ!」

 確かにこの場合はエセナが適任じゃろう。このメンバーで魔法のうでは恐らくいちばん、そして魔力も高い。しかし、ハイランドワイバーンの耐久力はかなり高い。
 わしはもう少し確実性を高めたかった。

「ミーフィア!ぬしもエセナと一緒に呪文を唱えるんじゃ!」
「エセナくんと一緒の魔法をですか!?そんなの―――」
「遅くとも発動させてくれればいい!わしが一緒に飛ばす!」
「ああ、それなら確実だ!ミーフィア頼む!」

 ハイランドワイバーンとの戦いでのミーフィアの結界を見たエセナは、もうミーフィアのことを侮るセリフを言わなかった。

「わかりました!やってみます!」

 ミーフィアは頷いた。

 エセナがグランドフレイムの詠唱を開始する。
 それをトレースするように、ミーフィアも同じ呪文を唱えはじめた。

(見事じゃ)

 エセナは相変わらずの腕前で、確実に中級魔法を構成していく。
 そしてミーフィア。昨日まで下級の魔法の発動すら失敗していたとは思えない所作で、エセナの中級魔法の詠唱をものにしていく。

「グランドフレイム!」

 エセナが呪文を発動させてから3秒後、エセナも呪文を発動させた。

「グランドフレイム!」

 ミーフィアの詠唱は成功した。エセナに勝るとも劣らない巨大な炎の渦が中空にあらわれでる。
 ふたつの炎の渦は、煌々とあたりを照らした。

(いける!)

「加速剣グラム!」

 わしは2つの巨大な炎の渦を、同時にそのはじだけ切り裂いた。
 この魔剣は「切った」ものを加速させることができる。わざわざ半分にしたのは手加減のためだった。

 ほぼ原型のままの大きさの炎の渦が、同時に空に向かって加速される。
 それは空中で合体し、巨大な渦を巻く火の球になり、ハイランドワイバーンへと向かう。

「でもあんな動きしてるのに当たるの!?」

 ハイランドワイバーンは高空をめちゃくちゃな軌道でうごきまわっていた。

「大丈夫じゃ」

「事象剣ムラサメ!」

 わしはもうひとつの魔剣を発動させ、ハイランドワイバーンに火球を避けられるという事象をすべて切り裂いた。
 その結果あたえらえるのは、すなわち必中の一撃。

 火球はハイランドワイバーンに吸い込まれるように直撃していった。

 周囲におおきな轟音が鳴り響く。
 響き渡る爆発音が消え、炎の渦が晴れると、ハイランドワイバーンの体が空中で崩れ落ち、落下をはじめた。

「やったあ!」

 生徒たちが歓声をあげる。
 その中で、ミーフィアが空から落ちてくるワイバーンの様子を見て、その方角へ走り出す。

「反応がないです!ゲーヘナスくんまで気絶してるみたい!落下速度を落とさないと!」

「ちっ、そうだな。あんなんでもクラスメイトだ。怪我されちゃこまる」
「と、遠いぃ!」
「間に合わないかも」

 わしは地面を蹴り、生徒たちを追い越し、全力でワイバーンの落下点へと走りだした。

「はやあっ!?」
「なにあれ!」

 すぐにワイバーンの背中が見える。

「グラム!」

 わしはその背中の、肉の厚そうな部分を、わずかにグラムで切った。
 その体を重力と反対方向に加速させ、速度をゼロにする。 

 ワイバーンの体はゆっくりした速度で、地面におりたった。

 しばらくして、うしろから生徒が追いついてくる。

「はぁはぁ……、クロトさんって足もはやいんですね」

「そもそもなんだよその力!」
「やっぱり普通のネコじゃなかったの!?」
「いや、立って歩いて喋る時点で普通じゃなかったけど……。それ以上にすごいことやってた……」
「魔人がネコに化けているとか?」
「もしかしたら、勇者に封印された魔王でネコの姿になってたりぃ」

 なんじゃ、その設定は……。
 でも、ちょっとだけ心惹かれてしまう。
 勇者とか、魔王とか、やってみたかったんじゃ……。

「ただのネコじゃよ。ただし魔界出身で、1011年生きておる」
「せん……、じゅういち……?」
「お、おばあちゃん!?」
「オスだと言っておるじゃろうが!」

 いや、待てよ。言ってなかったか……?

「言ってない」
「言ってません」
「オスだったんだ……。もったいない……」

 なんなんじゃ、この女の子たちは……。

「あの、クロトさん。わたしはなんとなくわかってました」

 ミーフィアが照れた顔で、手を上げる。
 ちょっと嬉しいけど、なぜ照れておるんじゃ。

 倒れたワイバーンの前で話していると、ワイバーンの体の上で気絶していたゲーヘナスが意識を取り戻した。

「僕はいったいどうしたんだ……?」

 それからわしらの姿をみて飛びすさる。

「なぜお前たちがいる!ワイバーンは!?ワイバーンはどこだ!」
「お前の足もとだよ」

 ゲーヘナスは自分の足の下で気絶しているワイバーンを見て驚愕した。

「なななっ、僕のワイバーンが!いったい何があったんだ!?」
「覚えてねーのかよ。ワイバーンが暴走して、お前が振り落とされかけたんだよ。だから俺たちがワイバーンを倒して助けてやったんだ」
「そうよ。お礼ぐらい言ったらどうなの?」
「むむむむっ、まさハイランドワイバーンがやられてしまうとは!だが僕はまだ負けていない!」
「まだやる気なの!恩知らず!」
「まあいいけどよ。この人数相手にどう勝つつもりなんだ」

 この期に及んで往生際がわるいことを言うゲーヘナスを、怒った顔の9人の生徒たちが睨みつける。
 頼みの綱のハイランドワイバーンも気絶し、はっきりいってゲーヘナスに勝ち目はない。

「ひ、卑怯だぞ!?」
「卑怯なのはあんたでしょ。お金にまかせてハイランドワイバーンなんて連れてきて!」
「別にルール違反じゃない!」
「ならわたしたちだってそうよ!」
「まあまあ、落ち着くんじゃ」

 口げんかになりかけたので、わしが仲裁に入る。
 といっても、わしもゲーヘナスの態度は気に入らん。

「たしかにこのままではぬしに勝ち目がない。だからチャンスをやろう。この生徒の中からひとりを選んで戦うんじゃ。それに勝ったら見逃してやろう」
「おい!クロト!なんでそんなこと言う――」
「そうよ、クロトさん!なんでこんなやつの味方を――」

 生徒たちはわしに抗議するが、わしは生徒たちに、ゲーヘナスには見えないうに性悪な笑みを浮かべ、目配せをしてみせた。
 わしの視線が、この中でひとりだけゲーヘナスの態度に怒ることなく、大人しくたたずんでいる少女をしめす。
 その少女をみた瞬間、他の生徒たちも合点がいったようで、わしと似た性悪な笑みを浮かべた。
 その少女、ミーフィアだけは首をかしげる。

「俺もそれで構わないぜ」
「ひとり選びなさいよ」

 生徒たちは腕を組んで、わしの提案に同意した。

「え、えっとぉ……」

 ゲーヘナスは生徒たちの顔を見渡した。
 ワイバーンとの戦いを見たわしの分析では、このメンバーの中でゲーヘナスより実力が劣る生徒はひとりもいない。

 そう、ひとりもいない。

 クラスメイトの生徒たちじゃ。恐らく互いの実力差は、普段から把握しているじゃろう。
 この模擬戦で急成長したある少女のことをのぞいて。

 ゲーヘナスは生徒たちの中から、ひとりの少女の姿を見つけると、喜んだ顔を浮かべた。

「ミーフィア!ミーフィアがいるじゃないか!彼女を対戦相手に指名するぞ!」

 その言葉を聞いた瞬間、ミーフィア以外の生徒全員が性格の悪い笑みを浮かべた。
 まさに引っかかったという顔じゃった。
 わしも同じ笑みを浮かべていた。

「この場を逃げ切って、なんとかワイバーンを回復させれば、もう一度空中で戦える。今度こそ、打ち落とされないようにして、2位を目指すんだ」

 ゲーヘナスはすでに勝利は確定したものとして、とらぬ狸のなんとやらをはじめる。
 どうやら2位になる算段はすんだらしい。

「よし、どこからでもかかってきたまえ!この僕が相手をしてあげよう」
「は、はい!」

 ゲーヘナスの言葉で戦いが開始される。
 余裕ぶって気取った仕草のゲーヘナスは、ミーフィアに先手を取らせるつもりのようじゃった。

 ミーフィアを選んだ時点でわかっておったことじゃが、この青年、やっぱり相手をよく見ていないらしい。
 ワイバーンとの戦闘中、誰がどの魔法を使ってるか見ておけば、こんな選択はしなかったじゃろう。

 ミーフィアが唱えはじめた魔法は、基本のファイアーアロー。
 ゲーヘナスはそれを追うように、アイスアローの魔法を唱えはじめた。

 同じ下級で属性有利の魔法を使い、後手から押し返すつもりなのじゃろう。


「へっ……?」

 ミーフィアの魔法が発動した瞬間、ゲーヘナスは間抜けな声をあげた。
 自分の発動させた氷の矢の、10倍ほどの大きさの炎の矢を見て。

(うむ、この戦いで、また一段と成長したようじゃのう)

「少年よ、これは本心からのアドバイスじゃ。戦いに勝ちたいなら金を注ぎこむより、まず相手を見ることじゃ」

 ハイランドワイバーンもその性質を理解し、機動性を生かした使い方をしてもらってれば、もっといい勝負ができたはずじゃった。

「ファイアーアロー!」

 ミーフィアの放った炎の矢は、属性有利など関係なく氷の矢を飲み込み、ゲーヘナスへと直撃した。
 <身代わり人形>の割れる音がして、ゲーヘナスとワイバーンの姿が消えていった。

 ワイバーンとその主を倒し終えた生徒たちは、みんなで勝利を喜び合い。
 そのあと、この集団を解散することに決めた。

 味方をつくる交渉術も戦術のひとつじゃが、まずはひとりひとりの力を磨くことが大切。
 ハイランドワイバーンという強敵がいたときは良かったが、このまま集団をたもっていても、健全な勝負や戦いの訓練にはならない。
 わしも賛成した。

 とりあえずみんな別々の方向に分かれて、10分後に森の中であったら、恨みっこなしで正々堂々と戦う。そういう約束をした。

「それじゃあ、またね、ミーフィア、クロトさん!」
「できるだけ生き残って戦おうね!」

 それぞれの生徒が笑顔で手を振って別れていく。
 最後に残っていたのはエセナじゃった。

「クロト。あんた、俺が考えてたよりぜんぜんすごい使い魔だったんだな。いろいろと勉強になったぜ」

「それからミーフィア」
「は、はい」
「今日のお前すごかったぜ。馬鹿にしたこと言って悪かったな。見直したぜ!」
「い、いえ、そんな」

「それじゃあな。生き残ってぜったい優勝争いしようぜ!ミーフィア!クロト!」

 そういって手をあげると、エセナは森のほうにきえていった。

「それじゃあ、わしらも行くかのう」
「はい、クロトさん。あの……」

 ミーフィアの肩にのって歩くと、ミーフィアが何か言いたそうにしてた。

「どうしたんじゃ?」
「わたし、今日クロトさんと出会えて本当に良かったです」

 はにかんだ笑顔に、なんだかわしも照れくさくなり、頬が染まる。

「わしもミーフィアと出会えてよかったよ」
「本当ですか?嬉しいです」

 わしは照れ隠しもかねてミーフィアにいった。

「じゃが、まだ今日の勝負はおわっておらんぞ!できるだけいい成績を残すぞ!」
「はい!」

 そのとき、森の全土に先生の放送が響いた。

『一時間が経過しました。これから、ソーラさんが訓練に参加しま――』

 先生が言い終わるか言い終わらないかの直前。
 空に真っ黒い光条が数十本放たれた。
 木や岩石の破壊音と、かすかに聞こえる陶器のようなものがいくつも割れる音。

『さきほどの攻撃による脱落者!マーサ!カイン!エステル!キール!エ――』

 先生は脱落者の名前を言うのを途中でやめた。

『だ、脱落者、41名!残り生徒は、2名です……』

 木々が大量に消え去り、見晴らしのよくなった森の向こう、山がみえる方角から、真っ黒な影が浮かび上がってきた。

 太陽の光を飲み込むように空に広がる漆黒の羽。
 黒く硬い鱗で覆われた強靭な体。
 死神の釜のように五本並ぶ鋭い爪。
 頭部にはえた天を衝く二本の角。
 それとは別に、むき出しの刃物みたいなエラが頬の左右にひとつずつあり、かろうじて水生生物の名残を残している。

 だが、その姿はほとんど伝説に伝えられるドラゴンと同じ。
 飛亜竜(ワイバーン)などあまたの亜竜種とは、次元の違う最強の力をもつ本物の竜族たち。
 その真なる竜の一門。

 黒海竜バハムート。

 その世界最高クラスの強さとレア度を有する幻獣の背中にのり、こちらを見下ろすのはまだ若いひとりの少女だった。

「クロトォ……」

 若干15歳にしてSランクの召喚士ソーラ。

「クロト……許さない……」

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