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わしと主(あるじ)とバトロワ 3
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すっかり打ち解けたわしとミーフィアは、雑談をしながら森の開始地点まで移動していた。
すると、後ろから数人の生徒たちが走ってきた。
「おーい、ミーフィア!」
呼び止めてきたのは、一番先頭を走っていた赤髪の活発そうな少年じゃった。
「あれ?どうしたの、エセナくんたち」
名前はエセナと言うらしい。
「ソーラの使い魔を借りたってまじかよ!ちょっと見せてくれよ」
「あたしも!どんな使い魔なの!」
「幻獣!?それとも魔族!もしかして竜とか!!」
生徒たちは男2人、女3人の集まりだった。
ミーフィアは振り返り、肩にのっていたわしをみんなへ紹介した。
「あ、こちらクロトさんっていうの」
「よろしくの」
わしは前足をあげて挨拶する。
生徒たちはわしの姿を見ると目を丸くし。
そして吹きだした。
「ぷぷぷっ、ちょっとそれ、ただのネコの使い魔じゃないの。本当にソーラさんの使い魔なの?」
「そりゃそうよね。よく考えたら、一線級の使い魔なんて貸してくれるくれるわけないわよね」
「まあ、ミーフィアにそんな使い魔貸したって宝の持ち腐れだしなぁ」
「というか、そのネコ、たまに学校の用務員やってるネコよね。使い魔かすらも怪しいじゃん。くすくす」
その言葉を聞いて、顔を真っ赤にして怒りだしたのはミーフィアだった。
「みんな!わたしのことはバカにしてもいいですけど、クロトさんのことはバカにしないでください!」
「だってネコよ、ネコ。魔力だってぜんぜん小さいし」
「あーあ。ソーラの使い魔借りたっていうから少し警戒してたけど、こりゃいつも通りすぐに負けちまうな。心配して損したぜ」
「ふっふっふ、それはどうかのう」
わしは後ろから、笑っているエセナという少年の肩に飛び乗り、耳元で呟いた。
次の瞬間、少年たちが見ていたわしの姿が掻き消える。
「え!?」
「幻影魔法!?」
「それから隠蔽魔法も!」
「いつのまに発動したんだ!?」
「ぜんぜん気づかなかったぞ!」
生徒たちは目を丸くして、いつの間にかエセナの肩に飛び移っていたわしを見る。
「確かにわしの魔力は、ぬしらと比べて小さい。魔法の威力は敵わんじゃろう。
だが、長生きしてきた分、たくさんの経験がある。
それは魔法を扱う技術については、何倍もぬしらより長けているということじゃ」
幻影魔法も隠蔽魔法も、決して高位の魔法というわけではない。
しかしそのコントロールは難しく、複数の相手を騙すような使い方をするには技術が必要だった。
この学校の生徒たちは優秀なものばかりじゃが、まだまだここまで使いこなすのは無理じゃろう。
「ちょ、ちょっとすごくない!?」
「うん……。あんな自然に幻影と入れ替わるなんて、先生たちでもできるかどうか……」
生徒たちの顔つきが変わった。
「もちろん、その技術もぬしらが卒業することには、きっと抜かされているじゃろう。
だが、それはミーフィアも同じことじゃ」
「わ、わたしですか?」
急に話しにでてきて、ミーフィアはびっくりした顔をする。
「そうじゃ。魔力の小さなわしがここまで魔法を扱えるようになったんじゃ。ぬしたちやミーフィアならもっともっと成長する可能性がある。
今はミーフィアはぬしらに劣るのかもしれんが、将来はどうなっとるかわからんぞ?
だから、少年よ。くれぐれも油断するではないぞ」
わしはエセナの鼻をかるく肉球でこつんとしてから、ミーフィアの肩にもどった。
エセナは少し呆然としたあと、さきほどまでとは違う真剣な表情で言った。
「やるじゃねぇか!
ミーフィア!本番であったら、全力で倒してやるからな!待ってろよ!」
「わ、わたし、ちょっと本番前に魔法の練習しとこうかなぁ」
「わたしもー」
「クロトさん、ミーフィア、バカにしたようなこといってごめんね。じゃあ本番で!」
「俺もがんばるぞぉ」
生徒たちは、それぞれ自分の開始地点へ走っていった。
「うむ、根は素直ないい子たちじゃの」
「クロトさんすごいです!」
ミーフィアが感激した様子で、わしを抱きしめる。
ふくよかな胸に、わしの体が押し付けられる。
なんというやわらかさ。
「そ、そうかのう?」
「はい!クロトさんは、すごい人です!わたしもクロトさんの言うとおり、がんばってみますね」
「うむ、やる気がでたようでよかった」
ああ、ごくらくじゃあ。
押し付けられたミーフィアの胸は、凶器といえるぐらいの柔らかさじゃった。
すると、後ろから数人の生徒たちが走ってきた。
「おーい、ミーフィア!」
呼び止めてきたのは、一番先頭を走っていた赤髪の活発そうな少年じゃった。
「あれ?どうしたの、エセナくんたち」
名前はエセナと言うらしい。
「ソーラの使い魔を借りたってまじかよ!ちょっと見せてくれよ」
「あたしも!どんな使い魔なの!」
「幻獣!?それとも魔族!もしかして竜とか!!」
生徒たちは男2人、女3人の集まりだった。
ミーフィアは振り返り、肩にのっていたわしをみんなへ紹介した。
「あ、こちらクロトさんっていうの」
「よろしくの」
わしは前足をあげて挨拶する。
生徒たちはわしの姿を見ると目を丸くし。
そして吹きだした。
「ぷぷぷっ、ちょっとそれ、ただのネコの使い魔じゃないの。本当にソーラさんの使い魔なの?」
「そりゃそうよね。よく考えたら、一線級の使い魔なんて貸してくれるくれるわけないわよね」
「まあ、ミーフィアにそんな使い魔貸したって宝の持ち腐れだしなぁ」
「というか、そのネコ、たまに学校の用務員やってるネコよね。使い魔かすらも怪しいじゃん。くすくす」
その言葉を聞いて、顔を真っ赤にして怒りだしたのはミーフィアだった。
「みんな!わたしのことはバカにしてもいいですけど、クロトさんのことはバカにしないでください!」
「だってネコよ、ネコ。魔力だってぜんぜん小さいし」
「あーあ。ソーラの使い魔借りたっていうから少し警戒してたけど、こりゃいつも通りすぐに負けちまうな。心配して損したぜ」
「ふっふっふ、それはどうかのう」
わしは後ろから、笑っているエセナという少年の肩に飛び乗り、耳元で呟いた。
次の瞬間、少年たちが見ていたわしの姿が掻き消える。
「え!?」
「幻影魔法!?」
「それから隠蔽魔法も!」
「いつのまに発動したんだ!?」
「ぜんぜん気づかなかったぞ!」
生徒たちは目を丸くして、いつの間にかエセナの肩に飛び移っていたわしを見る。
「確かにわしの魔力は、ぬしらと比べて小さい。魔法の威力は敵わんじゃろう。
だが、長生きしてきた分、たくさんの経験がある。
それは魔法を扱う技術については、何倍もぬしらより長けているということじゃ」
幻影魔法も隠蔽魔法も、決して高位の魔法というわけではない。
しかしそのコントロールは難しく、複数の相手を騙すような使い方をするには技術が必要だった。
この学校の生徒たちは優秀なものばかりじゃが、まだまだここまで使いこなすのは無理じゃろう。
「ちょ、ちょっとすごくない!?」
「うん……。あんな自然に幻影と入れ替わるなんて、先生たちでもできるかどうか……」
生徒たちの顔つきが変わった。
「もちろん、その技術もぬしらが卒業することには、きっと抜かされているじゃろう。
だが、それはミーフィアも同じことじゃ」
「わ、わたしですか?」
急に話しにでてきて、ミーフィアはびっくりした顔をする。
「そうじゃ。魔力の小さなわしがここまで魔法を扱えるようになったんじゃ。ぬしたちやミーフィアならもっともっと成長する可能性がある。
今はミーフィアはぬしらに劣るのかもしれんが、将来はどうなっとるかわからんぞ?
だから、少年よ。くれぐれも油断するではないぞ」
わしはエセナの鼻をかるく肉球でこつんとしてから、ミーフィアの肩にもどった。
エセナは少し呆然としたあと、さきほどまでとは違う真剣な表情で言った。
「やるじゃねぇか!
ミーフィア!本番であったら、全力で倒してやるからな!待ってろよ!」
「わ、わたし、ちょっと本番前に魔法の練習しとこうかなぁ」
「わたしもー」
「クロトさん、ミーフィア、バカにしたようなこといってごめんね。じゃあ本番で!」
「俺もがんばるぞぉ」
生徒たちは、それぞれ自分の開始地点へ走っていった。
「うむ、根は素直ないい子たちじゃの」
「クロトさんすごいです!」
ミーフィアが感激した様子で、わしを抱きしめる。
ふくよかな胸に、わしの体が押し付けられる。
なんというやわらかさ。
「そ、そうかのう?」
「はい!クロトさんは、すごい人です!わたしもクロトさんの言うとおり、がんばってみますね」
「うむ、やる気がでたようでよかった」
ああ、ごくらくじゃあ。
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