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最終決戦
130話:野望
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ヒタヒタヒタ。
冷え切った地下牢に、城島の腕から流れ落ちた血が雫のようにしたたり落ちる。
マツムラは口に薄笑いを浮かべ、弱っていく城島の様子を黙って見つめていた。
鎖で縛りつけられている両腕の痛みに耐えながらが、城島は血で見えにくくなった目をこらし、マツムラを睨みつける。
「父を……アンドレ国王を殺したのはお前だろう」
「何?」
マツムラの声音が変わる。
「私がアンドレを手にかけるなど、そんなことあるはずがないだろう。あいつは自分から海に落ちたんだ」
「どっちも同じだ。お前が母を海に突き落としたから、助けに入った父も巻き込まれたんだ。2人ともお前が殺したも同然だろ」
ビュン!!!
ムチが飛ぶ。鈍い音と共に、城島のしなやかな肢体に赤い筋が走る。
城島の口から苦痛の声が漏れた。
「いい加減にしろクオン。お前もトワと一緒に殺されたいのか?」
「なんだと……トワに手を出すな!」
手追いの猛獣を落ち着かせるように背後から優しく城島の体に腕を回したマツムラは、彼の耳元に口を寄せる。
「今は私に逆らっていても、じきに私に感謝するようになる。2人でこの国を比類なき大国家にしようではないか。約束しよう、全ての人間をお前の足元にひざまずかせてやると」
「俺にひざまずくのは、貴様だけで十分だ。クソが」
マツムラの顔は見る間に紅潮していく。
激しい怒りを賢明に堪えようとしているが、ムチを持つ手はブルブルと震え出していた。
背後に立つマツムラの表情を伺い知ることはできないが、城島は背中の方で空気が淀んでいくのを肌で感じとった。
傷口が妙にざわつく。
マツムラは再び腕を高く振り挙げ、ムチを振るおうとした。
その瞬間――。
「お兄様に手を出すな!」
鋭い声をあげて、トワが姿を現した。
その後ろから、誠、美園、つかさが続く。
マツムラは一瞬に驚いたように目を見開き、凶悪さのこもった表情を見せた。
しかしそれも瞬間的なことで、すぐさまいつもの柔和な顔に戻る。
「おお、これはこれはトワ王子。ただいまこの男の取り調べをしている最中です。なかなか改心しませんので、少々お仕置きをしていたところです」
「鎖を外せ」
「なんですと?」
「聞こえなかったのか。鎖を外せと言ってるんだ」
トワのマツムラを見る目は、以前の愛情のこもったそれとは違っていた。
表情にありありと侮蔑の色を滲ませて、相手を睨みつける。
「トワ王子……一体何を」
その場から動こうとしないマツムラに代わり、美園とつかさが進み出て、城島の腕に巻き付いた鎖を外してやる。
あまりにも痛々しい傷口を前に、美園は思わず顔を背けてしまう。
戒めを解かれた城島の体は、重力のままに床に崩れ落ちようとした。
そこへつかさが素早く腕を差し入れ、衝撃を和らげた。
城島の体はひんやりとした床に静かに横たえられた。
冷え切った地下牢に、城島の腕から流れ落ちた血が雫のようにしたたり落ちる。
マツムラは口に薄笑いを浮かべ、弱っていく城島の様子を黙って見つめていた。
鎖で縛りつけられている両腕の痛みに耐えながらが、城島は血で見えにくくなった目をこらし、マツムラを睨みつける。
「父を……アンドレ国王を殺したのはお前だろう」
「何?」
マツムラの声音が変わる。
「私がアンドレを手にかけるなど、そんなことあるはずがないだろう。あいつは自分から海に落ちたんだ」
「どっちも同じだ。お前が母を海に突き落としたから、助けに入った父も巻き込まれたんだ。2人ともお前が殺したも同然だろ」
ビュン!!!
ムチが飛ぶ。鈍い音と共に、城島のしなやかな肢体に赤い筋が走る。
城島の口から苦痛の声が漏れた。
「いい加減にしろクオン。お前もトワと一緒に殺されたいのか?」
「なんだと……トワに手を出すな!」
手追いの猛獣を落ち着かせるように背後から優しく城島の体に腕を回したマツムラは、彼の耳元に口を寄せる。
「今は私に逆らっていても、じきに私に感謝するようになる。2人でこの国を比類なき大国家にしようではないか。約束しよう、全ての人間をお前の足元にひざまずかせてやると」
「俺にひざまずくのは、貴様だけで十分だ。クソが」
マツムラの顔は見る間に紅潮していく。
激しい怒りを賢明に堪えようとしているが、ムチを持つ手はブルブルと震え出していた。
背後に立つマツムラの表情を伺い知ることはできないが、城島は背中の方で空気が淀んでいくのを肌で感じとった。
傷口が妙にざわつく。
マツムラは再び腕を高く振り挙げ、ムチを振るおうとした。
その瞬間――。
「お兄様に手を出すな!」
鋭い声をあげて、トワが姿を現した。
その後ろから、誠、美園、つかさが続く。
マツムラは一瞬に驚いたように目を見開き、凶悪さのこもった表情を見せた。
しかしそれも瞬間的なことで、すぐさまいつもの柔和な顔に戻る。
「おお、これはこれはトワ王子。ただいまこの男の取り調べをしている最中です。なかなか改心しませんので、少々お仕置きをしていたところです」
「鎖を外せ」
「なんですと?」
「聞こえなかったのか。鎖を外せと言ってるんだ」
トワのマツムラを見る目は、以前の愛情のこもったそれとは違っていた。
表情にありありと侮蔑の色を滲ませて、相手を睨みつける。
「トワ王子……一体何を」
その場から動こうとしないマツムラに代わり、美園とつかさが進み出て、城島の腕に巻き付いた鎖を外してやる。
あまりにも痛々しい傷口を前に、美園は思わず顔を背けてしまう。
戒めを解かれた城島の体は、重力のままに床に崩れ落ちようとした。
そこへつかさが素早く腕を差し入れ、衝撃を和らげた。
城島の体はひんやりとした床に静かに横たえられた。
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