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一家団結
121話:出陣!
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それぞれの行動が決まったと同時に、皆一目散に駆け出していきそうなところへつかさが待ったをかける。
「待ってください。もう一度さっきの続きをやりましょうよ」
つかさが元樹の腕を引っ張る。
「お、おう」
元樹はされるがままになって、再び手を前に伸ばす。
その上に栄子の手が重なり、勇治、美園、誠、トワと続く、そして最後につかさの手のひらが乗ったことを確認すると、元樹は大きく声を張り上げる。
「マツムラの好きにさせるか! トワ君のお兄さんを助けるぞ!」
「「「助けるぞ!」」」
「全ては~っ!」
「「「全ては!」
「トワ君と人類の未来のために!」
「「「トワ君と人類の未来のために」」」
「そして」
「「「そして!」」」
「「「俺たち家族のために!」
「「「「家族のために!!!」
ウォォオおおおお!!!
一家の感情のボルテージがピークまで昇りつめた。
よく分からないがトワとつかさも一緒になって興奮している。
世良田一家と手を重ね、大声を張り上げたことで、今までにない爽快感が全身を駆け巡っていた。
つかさが満足感に浸っていると、ふと背後に立っている美園の存在に気づく。
振り返ってみると、物言いたげな瞳で美園がつかさを見ていた。
「何だ、俺の事抱きしめたくなったか」
「つかさ……」
つかさは笑いながら両手を広げてみせる。
美園はその腕の中に走り寄り、つかさの腕が腰に回されるより先に、その胸の中心に思いっきりグーパンチを食らわせた。
「う……ぐふっ、おまっ……な、何なんだいきなり」
「……あんた。あたしの裸見たよね」
「……え?」
「前に言ってたじゃない。城島先輩の前で『俺たち裸を見せ合った仲ですから』って。あの時は冗談で言ってるんだと思ってたけど、あたしとあさこちゃん、一緒にお風呂に入ったよね」
「ああ、あったなそういえばそんなこと。お前が俺に彼女がいるんじゃないかって疑った時だろ? 背中を流したり、髪を梳かしたりする相手。あれ、お前のことだから。俺覚えてるぜ、女の子と風呂入ったのってあれが初めてだったから」
つかさは最高の笑顔で美園に笑いかけた。
しかし、美園は一ミリたちとも笑っていない。空気感の差に気付いたつかさは、慌ててフォローする。
「いやいや、あの時の俺は女の子みたいなもんだったし、な?」
「女の子みたいなもん? ふざけてんの」
美園の大きな瞳は、今は線のように細く鋭くなっていた。
じわじわと美園ににじりよられるつかさをよそに、栄子と元樹が一同を見渡して言う。
「お前たち、絶対死ぬなよ。また絶対に会おう!」
そう言って大きく手を振りながら、階段を駆け上がって行った。
「待ってください。もう一度さっきの続きをやりましょうよ」
つかさが元樹の腕を引っ張る。
「お、おう」
元樹はされるがままになって、再び手を前に伸ばす。
その上に栄子の手が重なり、勇治、美園、誠、トワと続く、そして最後につかさの手のひらが乗ったことを確認すると、元樹は大きく声を張り上げる。
「マツムラの好きにさせるか! トワ君のお兄さんを助けるぞ!」
「「「助けるぞ!」」」
「全ては~っ!」
「「「全ては!」
「トワ君と人類の未来のために!」
「「「トワ君と人類の未来のために」」」
「そして」
「「「そして!」」」
「「「俺たち家族のために!」
「「「「家族のために!!!」
ウォォオおおおお!!!
一家の感情のボルテージがピークまで昇りつめた。
よく分からないがトワとつかさも一緒になって興奮している。
世良田一家と手を重ね、大声を張り上げたことで、今までにない爽快感が全身を駆け巡っていた。
つかさが満足感に浸っていると、ふと背後に立っている美園の存在に気づく。
振り返ってみると、物言いたげな瞳で美園がつかさを見ていた。
「何だ、俺の事抱きしめたくなったか」
「つかさ……」
つかさは笑いながら両手を広げてみせる。
美園はその腕の中に走り寄り、つかさの腕が腰に回されるより先に、その胸の中心に思いっきりグーパンチを食らわせた。
「う……ぐふっ、おまっ……な、何なんだいきなり」
「……あんた。あたしの裸見たよね」
「……え?」
「前に言ってたじゃない。城島先輩の前で『俺たち裸を見せ合った仲ですから』って。あの時は冗談で言ってるんだと思ってたけど、あたしとあさこちゃん、一緒にお風呂に入ったよね」
「ああ、あったなそういえばそんなこと。お前が俺に彼女がいるんじゃないかって疑った時だろ? 背中を流したり、髪を梳かしたりする相手。あれ、お前のことだから。俺覚えてるぜ、女の子と風呂入ったのってあれが初めてだったから」
つかさは最高の笑顔で美園に笑いかけた。
しかし、美園は一ミリたちとも笑っていない。空気感の差に気付いたつかさは、慌ててフォローする。
「いやいや、あの時の俺は女の子みたいなもんだったし、な?」
「女の子みたいなもん? ふざけてんの」
美園の大きな瞳は、今は線のように細く鋭くなっていた。
じわじわと美園ににじりよられるつかさをよそに、栄子と元樹が一同を見渡して言う。
「お前たち、絶対死ぬなよ。また絶対に会おう!」
そう言って大きく手を振りながら、階段を駆け上がって行った。
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