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城島先輩
34話:城島先輩のひみつ
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城島先輩の極秘情報?
ちょっと、いや、かなり興味がある。美園は身を乗り出した。
いや、でも待て。どうせ大した情報ではない。ごまかされてはダメだ。
しかし、これには夏美も食いついた。
「城島九音って隣のクラスの生徒会長のこと? それならあたしも興味あるなぁ。親元を離れて一人暮らしって以外よく知らないもんね。謎多き生体なのよあの人って」
美園が手を挙げて情報を付けたす。
「あ、あと大人っぽいから実は20歳なんだ、って噂も聞いたことある」
「いらねぇよ、あいつの情報なんて」
吐き捨てるように言う勇治を前に、夏美は口の端を釣り上げて笑う。
「そりゃあ、勇治は気に食わないでしょうよ。いつもテストでは城島君の方が上にいるんだから。可哀想にねぇ」
うるせぇ。と意外にも図星をつかれて、勇治はそっぽを向く。
「今、夏美さんが言ったこと以外で何か先輩の情報があるの? 噂とかじゃだめよ」
との美園の問いに、つかさはブンブンと首を縦に振る。とっておきの情報らしい。
モデルファミリーの情報元か、城島先輩の極秘情報か、どちらを優先すべきか答えは決まっている。
「じゃあ、城島先輩の情報でいいわよ」
美園のひとつ返事で交渉は成立した。
おいテメェ何勝手に……と勇治が怒鳴りかけたが、夏美に「負け犬」と吐き捨てられ、頭をかき毟って走り去った。いや、逃げ去った。
「で、どんな情報?」
心持ちつかさの方に顔を寄せた美園と夏美。そんな二人の耳元で、つかさがとっておきの情報を公開した。
「あいつ、ハーフらしいぜ」
「ハーフ?」
「そ、いつも黒いコンタクト入れてるけど、本当の目の色は青。父親か母親のどっちかが外人じゃないと目がそんな色になんねぇだろ?」
なんだそんなこと、と夏美ががっかりする。とっくに知ってたわよと言わんばかりの態度だが、美園にとっては初耳だった。
「夏美さん、知ってたの?」
「ん? 去年保健委員だったとき、ボールが目に当たったとかで保健室に来た城島君に、目薬を差してあげたの。そん時、コンタクトはずしたからね」
「どうして教えてくれなかったんですかぁ」
「どうしてって、そんなの言いふらすもんでもないでしょ。わざわざ目の色を隠してるんだから、本人は気にしてんだろうし」
まぁ確かにその通りだろう。
「気にしていなければ堂々としてるだろうし、小さい頃、その目の色のことで嫌な思いをしたのかもしれないわね」
夏美の言葉に、美園もなんとなく想像ができてしまってしんみり頷く。
一仕事終えたような顔をするつかさを前に、夏美は指の骨をぽきぽき鳴らして詰め寄る。
「で、もしかしてあんたの言う極秘情報ってのはソレ?」
夏美にとっては極秘でも何でもない情報だったため、つかさは大慌てでもう一つのネタを突き出してきた。あくまでこれは正確な情報ではなく、複数の証言から得られた実に信憑性の高い「噂」だ、という前置きは忘れなかった。
「実は……」
「実は?」
「あいつの背中には……」
ちょっと、いや、かなり興味がある。美園は身を乗り出した。
いや、でも待て。どうせ大した情報ではない。ごまかされてはダメだ。
しかし、これには夏美も食いついた。
「城島九音って隣のクラスの生徒会長のこと? それならあたしも興味あるなぁ。親元を離れて一人暮らしって以外よく知らないもんね。謎多き生体なのよあの人って」
美園が手を挙げて情報を付けたす。
「あ、あと大人っぽいから実は20歳なんだ、って噂も聞いたことある」
「いらねぇよ、あいつの情報なんて」
吐き捨てるように言う勇治を前に、夏美は口の端を釣り上げて笑う。
「そりゃあ、勇治は気に食わないでしょうよ。いつもテストでは城島君の方が上にいるんだから。可哀想にねぇ」
うるせぇ。と意外にも図星をつかれて、勇治はそっぽを向く。
「今、夏美さんが言ったこと以外で何か先輩の情報があるの? 噂とかじゃだめよ」
との美園の問いに、つかさはブンブンと首を縦に振る。とっておきの情報らしい。
モデルファミリーの情報元か、城島先輩の極秘情報か、どちらを優先すべきか答えは決まっている。
「じゃあ、城島先輩の情報でいいわよ」
美園のひとつ返事で交渉は成立した。
おいテメェ何勝手に……と勇治が怒鳴りかけたが、夏美に「負け犬」と吐き捨てられ、頭をかき毟って走り去った。いや、逃げ去った。
「で、どんな情報?」
心持ちつかさの方に顔を寄せた美園と夏美。そんな二人の耳元で、つかさがとっておきの情報を公開した。
「あいつ、ハーフらしいぜ」
「ハーフ?」
「そ、いつも黒いコンタクト入れてるけど、本当の目の色は青。父親か母親のどっちかが外人じゃないと目がそんな色になんねぇだろ?」
なんだそんなこと、と夏美ががっかりする。とっくに知ってたわよと言わんばかりの態度だが、美園にとっては初耳だった。
「夏美さん、知ってたの?」
「ん? 去年保健委員だったとき、ボールが目に当たったとかで保健室に来た城島君に、目薬を差してあげたの。そん時、コンタクトはずしたからね」
「どうして教えてくれなかったんですかぁ」
「どうしてって、そんなの言いふらすもんでもないでしょ。わざわざ目の色を隠してるんだから、本人は気にしてんだろうし」
まぁ確かにその通りだろう。
「気にしていなければ堂々としてるだろうし、小さい頃、その目の色のことで嫌な思いをしたのかもしれないわね」
夏美の言葉に、美園もなんとなく想像ができてしまってしんみり頷く。
一仕事終えたような顔をするつかさを前に、夏美は指の骨をぽきぽき鳴らして詰め寄る。
「で、もしかしてあんたの言う極秘情報ってのはソレ?」
夏美にとっては極秘でも何でもない情報だったため、つかさは大慌てでもう一つのネタを突き出してきた。あくまでこれは正確な情報ではなく、複数の証言から得られた実に信憑性の高い「噂」だ、という前置きは忘れなかった。
「実は……」
「実は?」
「あいつの背中には……」
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