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突き進め!偽装ファミリー

12話:完璧な生徒会長

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 城島九音18歳、M高でその名を知らぬものはいないというほど名の知れた人物。
 眉目秀才、文武両道、何事においてもつねにトップをひた走る存在で、圧倒的な存在感とカリスマ性を持つ完全無欠の生徒会長だ。

 城島に憧れる女子生徒は美園以外にも数多くいるが、幸いなことに特定の相手はいないようだ。しかし、いかんせんミステリアスで秘密主義めいたところがあるため、誰も本当のところは分からない。
 彼女どころか、城島のプライベート情報すら謎に包まれている。

「先輩は1人っ子でしたっけ?」

 美園は少し探りを入れてみる。

「そうだよ。僕にも弟がいたら、って思うことはあるけどね。あんな楽しそうな家族を持ってる美園君が羨ましいよ」
「そんなことないですよ。うるさいだけです」
「僕からするとうらやましい話だけどな。今は1人暮らしをしているから誰もいない家に帰っても寂しいだけだよ」
「そうですかね」

 うらやましがられても困る。ただのペテン師集団、偽装家族なのだから。
 全て偽りだと言えたらどんなに楽だろう。
 俯いてしまった美園を見て、城島は優しく話しかける。

「美園君がしょんぼりすることないよ。僕は1人でも自由にやってるから」
「はぁ」

 いまいち気分が上がらない美園を見て、城島が提案する。

「そうだ、今度美園君の家に遊びに行ってもいいかな?」
「え?」
「有名な君の家族に会ってみたいよ。ちょっとミーハーかな?」

 え? え? ええ?

「うちに来るんですか?」
「もちろん、君さえ良ければだけど」

 いい、いい、いいに決まってる!

「ぜひぜひ、いつでも待ってます」

 そういった後、普段の家族の様子を思い起こしボロが出ないだろうかと不安になる。
 けれど、美園の家に城島が遊びに来る、と想像するだけで妄想のテンションはマックスを超えた。
 何とかやり切れるだろう、妙な自信すら湧いてくる。
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