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第3章 光闇の宿命を背負ふ者
第6話 眠れる炎獅子
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その人は、埃と土に塗れた私を右手の人差し指で指差した。
「君にしよう」
その人が発した言葉に、周りの人達はザワザワと騒ぎ始めた。
土や泥で汚れて固まった前髪から微かに見える男性の事は、人の底辺である私にも分かった。
この国で最も高い権力と地位を持ち、一人で国一つを滅ぼす事が出来る〝世界最強〟の名を冠した人。
「で、ですが王子……」
その時、男性の背後に立っていた女性が恐縮そうに声を発した。
「貴方様には、こんな泥で容姿も分からぬ娘よりも、良い者が——」
「私は、既に答えを述べた……不服か?」
「い、いいえ。滅相もございません……王子、〝ジークフリート〟様の仰せのままに」
私に視線を合わせた状態で、背後の女性を軽くあしらった男性は、私の身体的状態を確認する様に全身を目視で確認した。
「さあ、行くぞ?」
私が立ち上がれる事を確認した男性は、衣服が汚れる事を厭わず泥の地面に片膝を付き、薄汚れた私に向けて左手を差し出した。
「……お」
私の反応を待っている男性と視線を合わせた私は、優しく差し出された左手を握る事なく、乾いた喉から掠れた声で返事をする事を選んだ。
「お?」
「お断りします」
周囲の時間が一瞬止まったかに感じる程に静まり返った空間で、私は男性に精一杯の気持ちを込めた眼差しを向け続けた。
貴方には、私なんかよりも何百倍も幸せになれる選択肢があると。
私は、差し出された手に相応しく無いと。
「……そうか。今の私では、君に拒まれてしまうのか……フム」
私の返答を聞き、その場で瞼を閉じた男性は、顎に右手を当てながら何かを考え始めた。
「……大凡だが、君の考えは理解した」
バシャアッ!
「っ!?」
顎に当てていた右手を下ろした男性は、差し出した左手をそのままに、突然私の前で頭を勢い良く地面に溜まっていた泥に向けて叩き付けた。
「プハッ!……戦場以外で泥を被るのは、生まれて初めてだ」
「な、なんで?……どうして……そこまでして、私なんか?」
「君が、私の〝運命〟の伴侶だからだ。私は、君の為なら地位も名誉も、この命すらも差し出そう」
周囲が男性の行動に愕然とする中、地面に与えた頭突きで飛び散った泥を全身に浴びた男性は、その場で硬直していた私に再び視線を合わせた。
「今の私が受け入れられないのであれば……私が、君に相応しい男になろう。例え、生涯の全てを懸ける事になろうとも」
泥だらけの男性が発した言葉を聞いた私の汚れた顔には、瞳から流れた雫によって出来た二筋の線が、顔にハッキリと残されていた。
―*―*―*―*―
アメリカ中央拠点クレイドル 南部
「後方支援部隊!砲撃準備っ!」
大声を発しながら前進する部隊と別れる様にその場に残っていた炎人達は、先頭に立つ炎人の号令と同時に両手を斜め上へと翳した。
「放てぇっ!!」
その声と同時に、クリームを含む炎人達は上空へと向けて紅蓮の火球を放った。
(後方からの支援攻撃も、全て炎のプラス属性か。あの少女が身に宿している属性以外は、炎人間も使用する事が出来ないのか?)
地面を蹴り前方へと飛んだヨハネは、上空に放たれた火球を視認すると、接近する炎人達の直前で切先を地面へと向け、下方向に力強く突き刺した。
「お前達が例え、元は光の人間であろうとも——」
本来であれば炎人達に向かって飛翔する筈のヨハネは、地面に突き刺した大刀を恐るべき力で握り締め、突き刺した地点でピタリと静止して見せた。
地面に突き立てられた紅蓮の刀身は、瞬く間に赤く輝き、周囲に存在する地面に紅の亀裂が広がった。
「この国の脅威は、排除させて貰うっ!」
『焔の大陸』
次の瞬間、紅蓮の炎が地底で爆発を起こし、ヨハネの周囲に存在した地面は、近辺から次々に隆起し始めた。
「……すまない」
宙に浮いた状態で数秒眼を閉じたヨハネは、再び属性を注ぎ込み地面を爆発されると、隆起した地面は空中へと吹き飛ばされた。
「……あ」
咄嗟に空中を見上げたクリームは、凄まじい力と速度で空中に吹き飛ばされた炎人達が、上空に向けて放たれた火球に直撃して爆散又は、打ち上げられた力によって身体が千切れる瞬間を目撃した。
その炎人達の様子を目にしたクリームは、あまりにも無惨な光景に愕然とし、宙を舞う炎人達を棒立ちで見つめ続けていた。
そんな中、ヨハネの属性による焔の大陸は徐々に範囲を広げ、南部へと特攻する炎人達を次々と上空へと吹き飛ばしていた。
「……どうして私……」
(こんな場所に、いるんだろう?)
強烈な衝撃を受けた炎人達は、周囲に炎を飛び散らせながら吹き飛び、中には人型を留めない程粉々に爆散する者もいた。
「誰の……なんの役にも、立たないのに」
(ああ成る〝運命〟なのは、一番下っ端の私だった筈なのに)
小さく呟いたクリームは、上空へと向けていた視線を下ろし、地面を悲しげに見つめた。
『業火の剣』
その瞬間、隆起した地面を斬り裂く様に、紅の斬撃がクリームに向けて放たれた。
(予想通り。彼女は、その場から移動していない……今の一撃で、終幕だ)
横一文字に斬り裂かれた大地の向こう側には、刃に二種の炎の属性を纏わせたヨハネが、〝両腕〟で大刀を振り抜いていた。
「クリーム!!」
「ひっ!ひゃあい!!」
大声で名前を呼ばれ、咄嗟に身を屈めたクリームを守る様に、迫り来るヨハネの斬撃の前に三人の炎人達が割って入った。
そして、炎人達に業火の剣が直撃すると、周囲を眩く照らす赤い光が放たれ、直後に喉が焼ける程の熱風が周囲に吹き荒れた。
紅蓮の髪を熱風に靡かせながら、大刀を地面に突き立てたヨハネは、周囲への警戒に意識を集中させながら、吹き荒れる風が治まる時を待った。
(っ!?)
しかしその時、ヨハネの視線の先で業火の剣が本来の軌道を大きく外れる様に、上空の暗雲へと向かって飛んで行く様子を目の当たりにし、目を見開いた。
「……馬鹿な」
(私は片腕でなく、両腕を使って斬撃を放った。それを、弾き飛ばしたと言うのか?)
業火の剣によって紅く輝く空を見上げていたヨハネは、斬撃が弾き飛ばされたであろう場所に視線を戻した。
そこには、顔を地面に押し付け、頭を抱える様に丸くなっていたクリームを守る様に、二人の間に入った三人の炎人達の姿があった。
ヨハネが視線を戻した頃、身体を丸めていたクリームは、先程まで感じていた熱気が無くなった事に違和感を覚え、ゆっくりと身体を起こした。
「……え?」
尻餅を付いたまま上体を起こしたクリームは、自身の前で大きく手を広げながら立ち尽くしている炎人達を見て、大きく目を見開いた。
「よ、良かった……クリームが無事で」
中央の炎人が女性の声で語り掛けると、愕然としているクリームの前で膝を付いた。
「な……なんで?」
自身の前で膝を付いた炎人を見つめていたクリームの瞳には、身体の節々に酷い火傷を負った女性の姿が映っていた。
「は、はは……それは、クリーム……お前が俺達を勝利に導いてくれる唯一の存在だからさ」
膝を付いた女性の左隣に立っていた男性は、身に付けていたハイデンベルグの隊服が身体と一体化する程の火傷を負いながらも、必死に笑顔を作り続けていた。
「私が……勝利を?」
「そうさ。な、仲間の為なら、クリームは……どんな奴にだって負けやしない……そんなクリームがいたから、幾多の戦いに勝利して来たんじゃないか」
右隣の男性は、片腕を焼け落とし、激痛で小刻みに震えながらも、その場に立ち続けていた。
「だからって……なんで貴方達が犠牲に」
「それは、さっき言ったろ?」
「ああ、そうだな」
そう告げた二人の男性は、優しげな笑みを浮かべながら、中央の女性に視線を向けた。
「私達が、我が国の最強である貴女を…… 〝クリームヒルト〟を、信じてるから」
此方に笑顔を向けながら発せられた言葉を最後に、炎人達は風に吹き消される様にクリームの前から姿を消した。
「あっ!」
クリームが咄嗟に炎人に向けて伸ばした右手は、誰も存在しない虚空を掴んだ。
「……そんな……私のせいで、私を信じてくれた仲間が……殺された」
伸ばした右手を戻す事なく、周囲の騒音で掻き消される程小さな声でクリームが呟いた。
「私が……戦場に立っていながら。私の弱さで、また仲間を失ってしまった」
その瞬間、突如として周囲に存在する全ての炎人達が形状を変え、流水の様にクリームの元へと収束し始めた。
「っ!?」
離れた地点で炎人達の相手をしていたクライフは、突然目の前で姿を変化させた炎人達に驚き、後方へと飛び退いた。
「クリームヒルト……だと?」
炎人が発した名前を耳にしたヨハネは、以前クレイドルで目にした、ドイツのとある伝説に関する書類に記述された名前を思い出していた。
「……これ以上、私を信じる仲間達を、失いたくは無い。その為なら私は、一時の間だけ……自分の弱ささえも忘れましょう」
クリームの元へと帰還した炎のプラス属性は、何も携えていなかった右手に何かを形成し始めた。
「彼等は……こんな、どうしようもない私を、信じてくれたのだからっ!!」
そう叫び振り上げられた右手には、全長三メートル程の銀朱のハルバードが握られていた。
「君にしよう」
その人が発した言葉に、周りの人達はザワザワと騒ぎ始めた。
土や泥で汚れて固まった前髪から微かに見える男性の事は、人の底辺である私にも分かった。
この国で最も高い権力と地位を持ち、一人で国一つを滅ぼす事が出来る〝世界最強〟の名を冠した人。
「で、ですが王子……」
その時、男性の背後に立っていた女性が恐縮そうに声を発した。
「貴方様には、こんな泥で容姿も分からぬ娘よりも、良い者が——」
「私は、既に答えを述べた……不服か?」
「い、いいえ。滅相もございません……王子、〝ジークフリート〟様の仰せのままに」
私に視線を合わせた状態で、背後の女性を軽くあしらった男性は、私の身体的状態を確認する様に全身を目視で確認した。
「さあ、行くぞ?」
私が立ち上がれる事を確認した男性は、衣服が汚れる事を厭わず泥の地面に片膝を付き、薄汚れた私に向けて左手を差し出した。
「……お」
私の反応を待っている男性と視線を合わせた私は、優しく差し出された左手を握る事なく、乾いた喉から掠れた声で返事をする事を選んだ。
「お?」
「お断りします」
周囲の時間が一瞬止まったかに感じる程に静まり返った空間で、私は男性に精一杯の気持ちを込めた眼差しを向け続けた。
貴方には、私なんかよりも何百倍も幸せになれる選択肢があると。
私は、差し出された手に相応しく無いと。
「……そうか。今の私では、君に拒まれてしまうのか……フム」
私の返答を聞き、その場で瞼を閉じた男性は、顎に右手を当てながら何かを考え始めた。
「……大凡だが、君の考えは理解した」
バシャアッ!
「っ!?」
顎に当てていた右手を下ろした男性は、差し出した左手をそのままに、突然私の前で頭を勢い良く地面に溜まっていた泥に向けて叩き付けた。
「プハッ!……戦場以外で泥を被るのは、生まれて初めてだ」
「な、なんで?……どうして……そこまでして、私なんか?」
「君が、私の〝運命〟の伴侶だからだ。私は、君の為なら地位も名誉も、この命すらも差し出そう」
周囲が男性の行動に愕然とする中、地面に与えた頭突きで飛び散った泥を全身に浴びた男性は、その場で硬直していた私に再び視線を合わせた。
「今の私が受け入れられないのであれば……私が、君に相応しい男になろう。例え、生涯の全てを懸ける事になろうとも」
泥だらけの男性が発した言葉を聞いた私の汚れた顔には、瞳から流れた雫によって出来た二筋の線が、顔にハッキリと残されていた。
―*―*―*―*―
アメリカ中央拠点クレイドル 南部
「後方支援部隊!砲撃準備っ!」
大声を発しながら前進する部隊と別れる様にその場に残っていた炎人達は、先頭に立つ炎人の号令と同時に両手を斜め上へと翳した。
「放てぇっ!!」
その声と同時に、クリームを含む炎人達は上空へと向けて紅蓮の火球を放った。
(後方からの支援攻撃も、全て炎のプラス属性か。あの少女が身に宿している属性以外は、炎人間も使用する事が出来ないのか?)
地面を蹴り前方へと飛んだヨハネは、上空に放たれた火球を視認すると、接近する炎人達の直前で切先を地面へと向け、下方向に力強く突き刺した。
「お前達が例え、元は光の人間であろうとも——」
本来であれば炎人達に向かって飛翔する筈のヨハネは、地面に突き刺した大刀を恐るべき力で握り締め、突き刺した地点でピタリと静止して見せた。
地面に突き立てられた紅蓮の刀身は、瞬く間に赤く輝き、周囲に存在する地面に紅の亀裂が広がった。
「この国の脅威は、排除させて貰うっ!」
『焔の大陸』
次の瞬間、紅蓮の炎が地底で爆発を起こし、ヨハネの周囲に存在した地面は、近辺から次々に隆起し始めた。
「……すまない」
宙に浮いた状態で数秒眼を閉じたヨハネは、再び属性を注ぎ込み地面を爆発されると、隆起した地面は空中へと吹き飛ばされた。
「……あ」
咄嗟に空中を見上げたクリームは、凄まじい力と速度で空中に吹き飛ばされた炎人達が、上空に向けて放たれた火球に直撃して爆散又は、打ち上げられた力によって身体が千切れる瞬間を目撃した。
その炎人達の様子を目にしたクリームは、あまりにも無惨な光景に愕然とし、宙を舞う炎人達を棒立ちで見つめ続けていた。
そんな中、ヨハネの属性による焔の大陸は徐々に範囲を広げ、南部へと特攻する炎人達を次々と上空へと吹き飛ばしていた。
「……どうして私……」
(こんな場所に、いるんだろう?)
強烈な衝撃を受けた炎人達は、周囲に炎を飛び散らせながら吹き飛び、中には人型を留めない程粉々に爆散する者もいた。
「誰の……なんの役にも、立たないのに」
(ああ成る〝運命〟なのは、一番下っ端の私だった筈なのに)
小さく呟いたクリームは、上空へと向けていた視線を下ろし、地面を悲しげに見つめた。
『業火の剣』
その瞬間、隆起した地面を斬り裂く様に、紅の斬撃がクリームに向けて放たれた。
(予想通り。彼女は、その場から移動していない……今の一撃で、終幕だ)
横一文字に斬り裂かれた大地の向こう側には、刃に二種の炎の属性を纏わせたヨハネが、〝両腕〟で大刀を振り抜いていた。
「クリーム!!」
「ひっ!ひゃあい!!」
大声で名前を呼ばれ、咄嗟に身を屈めたクリームを守る様に、迫り来るヨハネの斬撃の前に三人の炎人達が割って入った。
そして、炎人達に業火の剣が直撃すると、周囲を眩く照らす赤い光が放たれ、直後に喉が焼ける程の熱風が周囲に吹き荒れた。
紅蓮の髪を熱風に靡かせながら、大刀を地面に突き立てたヨハネは、周囲への警戒に意識を集中させながら、吹き荒れる風が治まる時を待った。
(っ!?)
しかしその時、ヨハネの視線の先で業火の剣が本来の軌道を大きく外れる様に、上空の暗雲へと向かって飛んで行く様子を目の当たりにし、目を見開いた。
「……馬鹿な」
(私は片腕でなく、両腕を使って斬撃を放った。それを、弾き飛ばしたと言うのか?)
業火の剣によって紅く輝く空を見上げていたヨハネは、斬撃が弾き飛ばされたであろう場所に視線を戻した。
そこには、顔を地面に押し付け、頭を抱える様に丸くなっていたクリームを守る様に、二人の間に入った三人の炎人達の姿があった。
ヨハネが視線を戻した頃、身体を丸めていたクリームは、先程まで感じていた熱気が無くなった事に違和感を覚え、ゆっくりと身体を起こした。
「……え?」
尻餅を付いたまま上体を起こしたクリームは、自身の前で大きく手を広げながら立ち尽くしている炎人達を見て、大きく目を見開いた。
「よ、良かった……クリームが無事で」
中央の炎人が女性の声で語り掛けると、愕然としているクリームの前で膝を付いた。
「な……なんで?」
自身の前で膝を付いた炎人を見つめていたクリームの瞳には、身体の節々に酷い火傷を負った女性の姿が映っていた。
「は、はは……それは、クリーム……お前が俺達を勝利に導いてくれる唯一の存在だからさ」
膝を付いた女性の左隣に立っていた男性は、身に付けていたハイデンベルグの隊服が身体と一体化する程の火傷を負いながらも、必死に笑顔を作り続けていた。
「私が……勝利を?」
「そうさ。な、仲間の為なら、クリームは……どんな奴にだって負けやしない……そんなクリームがいたから、幾多の戦いに勝利して来たんじゃないか」
右隣の男性は、片腕を焼け落とし、激痛で小刻みに震えながらも、その場に立ち続けていた。
「だからって……なんで貴方達が犠牲に」
「それは、さっき言ったろ?」
「ああ、そうだな」
そう告げた二人の男性は、優しげな笑みを浮かべながら、中央の女性に視線を向けた。
「私達が、我が国の最強である貴女を…… 〝クリームヒルト〟を、信じてるから」
此方に笑顔を向けながら発せられた言葉を最後に、炎人達は風に吹き消される様にクリームの前から姿を消した。
「あっ!」
クリームが咄嗟に炎人に向けて伸ばした右手は、誰も存在しない虚空を掴んだ。
「……そんな……私のせいで、私を信じてくれた仲間が……殺された」
伸ばした右手を戻す事なく、周囲の騒音で掻き消される程小さな声でクリームが呟いた。
「私が……戦場に立っていながら。私の弱さで、また仲間を失ってしまった」
その瞬間、突如として周囲に存在する全ての炎人達が形状を変え、流水の様にクリームの元へと収束し始めた。
「っ!?」
離れた地点で炎人達の相手をしていたクライフは、突然目の前で姿を変化させた炎人達に驚き、後方へと飛び退いた。
「クリームヒルト……だと?」
炎人が発した名前を耳にしたヨハネは、以前クレイドルで目にした、ドイツのとある伝説に関する書類に記述された名前を思い出していた。
「……これ以上、私を信じる仲間達を、失いたくは無い。その為なら私は、一時の間だけ……自分の弱ささえも忘れましょう」
クリームの元へと帰還した炎のプラス属性は、何も携えていなかった右手に何かを形成し始めた。
「彼等は……こんな、どうしようもない私を、信じてくれたのだからっ!!」
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