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ソード オブ ソード
11 セルロ ②
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無事、冒険者プレートを手にいれた俺はやらなければいけない事があった。魔の森への挑戦だ。
中級冒険者にならなければ魔の森への討伐依頼は受けれない。実績をひたすら積んでセルロ、マギ、バーナーが倒された魔の森に俺も行く。
体が許す限りひたすら討伐を受けた。寝る間も惜しんでただただ進み続けた。
2ヶ月後、やっとあの魔の森へ挑戦できた。
恐る恐る進み討伐依頼の魔獣を探した。思った以上に呆気なかった。たまたま、この魔獣が弱かっただけか?念のため記録を取り自分で把握できるようにした。
依頼を受け続け、1ヶ月経ち一人で第2深層後半までいけるようになっていた。
俺は宿に帰り最後に南のカウロックへ行くと言った三人の足取りを追ってカウロック付近の魔の森へ来ていた。
これが南の魔の森?
あの三人が死んでしまった?
こんなもんだったのか……俺の検討違いだったのか。三人が殺られる敵など当時第2深層まで行ったとしてもなんとか帰れる。ましてやセルロは堅実で命を大切にしていた。
何かあれば仲間を危険に晒さずもっと手前で帰るはずだ。
思っていたのとだいぶ違ったな。
討伐依頼所に戻り報告をした。
本当に何気なくだった。
依頼所の近くにアンティークな武器やがあり傷んだ剣のメンテナンスを頼もうと中に入った。中は薄暗いが所狭しと道具や武器が置いてあった。
数人の冒険者がメンテナンス待ちをしていた。俺もカウンターへ行き剣を差し出した。
「メンテナンスお願いします」
「あいよ」
年配の老人とその息子、さらにその子供が剣の手入れをしていた。カウンターから先には入れないよう編み込みの鉄の冊にもうひとつその奥に冊がしてあった。
家族経営で子供もいるしこれぐらい厳重でなければとても武器屋なんてやってられない。店主はあのじいさんかそれとも息子か。
「フードの方」
「はい」
「少し時間がかかるが良いかね?」
「はい、大丈夫です」
すると剣を孫に持たせ指導をしていた。全然構わないし焦らせる気もなかった。ゆっくり武器を見て待つことにした。
中古の武器や道具が揃ってるな。まぁまぁって感じだな。やはりメインはメンテナンスでの稼ぎか。
あんな小さい頃から指導してもらえるなら良い継ぎ手になるだろうな。そんな事を考えていたらある防具に目がいった。
何でもない、ただの黒い防具ブーツ…
ラバーには独特な擦り傷。
冒険者中級で内側に文字が刺繍してあった。
……………
「ソード、敵に襲われるのは何も魔獣だけじゃねぇ。人間様のが恐ろしい時が多々ある。だからもし俺の防具が武器屋で見つかったら人間に殺られたと思え」
「何で?」
「魔獣は防具や金具は食わねぇ。それに人間は追い剥ぎっていって殺した後に武器や防具を売るんだ。金になるから根こそぎだ」
「わかった」
「そこでだ、俺は考えた。俺が生きていた証拠として防具の至るところに紙を隠した。それを見つけてくれた冒険者に俺の偉大さをわかってもらいたい!」
「は、は、は、セルロ。もし燃えたり川に落ちたりしたらどーすんだよ」
「だから至るところに隠すんだよ!誰かが見つけてくれるっていうロマンだよ、ロマン」
「お前の臭いブーツを誰が探すんだよ」
「いいんだよ!俺の防具には頭文字が全て刻んである。な、だからソードもやれよ」
「やだよ~ダサい」
「「ほらな」」
「お前らな!!!」
……………
ブーツを手に取り店主に声をかけた。
「すみません、このブーツ以外にも同じような文字が入ったのありますか?」
「どれどれ」
年配のおじさんは眼鏡を外し当たりを探すも見当たらなかった。ブーツはサイズを選ぶから売れ残る事が多いそうだ。
「ちなみにですがこのブーツを持ってきた方覚えてますか?」
「さぁね~伝票あったかな~ああ、あった」
「このブーツも買います。待っている間伝票を見せてもらえないですか?」
「3年分あるよ?」
「大丈夫です」
俺は伝票をもらうと隈無く見た。調べるは先ずはブーツ。次にサイズと色。日付。
ペラペラと捲るとそれらしいブーツ売った奴を調べあげれた。名前、ナンバーが書かれていた。嘘か本当かはわからないがあった。
ブーツ以外にポーチ。ポーチは既に売れたのか店には無かった。
右利き、筆跡は急いでいたのか適当な文字。字を書くのが面倒くさそうに書いてある。
紙には落ちない汚れが付いていた。
「すみません、この汚れ何かわかりますか?」
「んん?ああ、これは赤土じゃないかな。一度付くとなかなか取れなくてな、ここいらじゃカウロックのツーアの崖かな」
「ありがとうございます」
伝票を渡してお礼を言うと奥から息子が剣を研ぎながら静かに話しかけてきた。
「やめておけ。あそこら一体盗賊がでる。事情は知らねぇがここに流れてきたって事はそう言う事だ。まだ若い、急ぐ必要はないだろ」
「そうですね」
「はぁ…盗賊って言ったがそんな可愛いもんじゃねぇ。恨みをかうような戦い方はすんな、命がいくつあっても足らなくなるぞ。そいつもお前が死んだら悲しむ。できたぞ、ブーツのお代はいい」
「ありがとうございます」
剣のお金を払い俺は店を出た。
……………
「……珍しいなお前が忠告なんて」
「あいつの剣…数体倒したってもんじゃないぐらい刃に跡が残っていた。あんな戦い方するのは殺し屋か狂気的な素質の持ち主だ」
「ひ弱に見えたがな~」
「あんな若いやつがする戦い方じゃねぇ…ゾッとしたよ」
そう言うとまた黙々と作業を始めた。店には刃を研ぐ音や火の音がパチパチと聞こえるだけだった。
中級冒険者にならなければ魔の森への討伐依頼は受けれない。実績をひたすら積んでセルロ、マギ、バーナーが倒された魔の森に俺も行く。
体が許す限りひたすら討伐を受けた。寝る間も惜しんでただただ進み続けた。
2ヶ月後、やっとあの魔の森へ挑戦できた。
恐る恐る進み討伐依頼の魔獣を探した。思った以上に呆気なかった。たまたま、この魔獣が弱かっただけか?念のため記録を取り自分で把握できるようにした。
依頼を受け続け、1ヶ月経ち一人で第2深層後半までいけるようになっていた。
俺は宿に帰り最後に南のカウロックへ行くと言った三人の足取りを追ってカウロック付近の魔の森へ来ていた。
これが南の魔の森?
あの三人が死んでしまった?
こんなもんだったのか……俺の検討違いだったのか。三人が殺られる敵など当時第2深層まで行ったとしてもなんとか帰れる。ましてやセルロは堅実で命を大切にしていた。
何かあれば仲間を危険に晒さずもっと手前で帰るはずだ。
思っていたのとだいぶ違ったな。
討伐依頼所に戻り報告をした。
本当に何気なくだった。
依頼所の近くにアンティークな武器やがあり傷んだ剣のメンテナンスを頼もうと中に入った。中は薄暗いが所狭しと道具や武器が置いてあった。
数人の冒険者がメンテナンス待ちをしていた。俺もカウンターへ行き剣を差し出した。
「メンテナンスお願いします」
「あいよ」
年配の老人とその息子、さらにその子供が剣の手入れをしていた。カウンターから先には入れないよう編み込みの鉄の冊にもうひとつその奥に冊がしてあった。
家族経営で子供もいるしこれぐらい厳重でなければとても武器屋なんてやってられない。店主はあのじいさんかそれとも息子か。
「フードの方」
「はい」
「少し時間がかかるが良いかね?」
「はい、大丈夫です」
すると剣を孫に持たせ指導をしていた。全然構わないし焦らせる気もなかった。ゆっくり武器を見て待つことにした。
中古の武器や道具が揃ってるな。まぁまぁって感じだな。やはりメインはメンテナンスでの稼ぎか。
あんな小さい頃から指導してもらえるなら良い継ぎ手になるだろうな。そんな事を考えていたらある防具に目がいった。
何でもない、ただの黒い防具ブーツ…
ラバーには独特な擦り傷。
冒険者中級で内側に文字が刺繍してあった。
……………
「ソード、敵に襲われるのは何も魔獣だけじゃねぇ。人間様のが恐ろしい時が多々ある。だからもし俺の防具が武器屋で見つかったら人間に殺られたと思え」
「何で?」
「魔獣は防具や金具は食わねぇ。それに人間は追い剥ぎっていって殺した後に武器や防具を売るんだ。金になるから根こそぎだ」
「わかった」
「そこでだ、俺は考えた。俺が生きていた証拠として防具の至るところに紙を隠した。それを見つけてくれた冒険者に俺の偉大さをわかってもらいたい!」
「は、は、は、セルロ。もし燃えたり川に落ちたりしたらどーすんだよ」
「だから至るところに隠すんだよ!誰かが見つけてくれるっていうロマンだよ、ロマン」
「お前の臭いブーツを誰が探すんだよ」
「いいんだよ!俺の防具には頭文字が全て刻んである。な、だからソードもやれよ」
「やだよ~ダサい」
「「ほらな」」
「お前らな!!!」
……………
ブーツを手に取り店主に声をかけた。
「すみません、このブーツ以外にも同じような文字が入ったのありますか?」
「どれどれ」
年配のおじさんは眼鏡を外し当たりを探すも見当たらなかった。ブーツはサイズを選ぶから売れ残る事が多いそうだ。
「ちなみにですがこのブーツを持ってきた方覚えてますか?」
「さぁね~伝票あったかな~ああ、あった」
「このブーツも買います。待っている間伝票を見せてもらえないですか?」
「3年分あるよ?」
「大丈夫です」
俺は伝票をもらうと隈無く見た。調べるは先ずはブーツ。次にサイズと色。日付。
ペラペラと捲るとそれらしいブーツ売った奴を調べあげれた。名前、ナンバーが書かれていた。嘘か本当かはわからないがあった。
ブーツ以外にポーチ。ポーチは既に売れたのか店には無かった。
右利き、筆跡は急いでいたのか適当な文字。字を書くのが面倒くさそうに書いてある。
紙には落ちない汚れが付いていた。
「すみません、この汚れ何かわかりますか?」
「んん?ああ、これは赤土じゃないかな。一度付くとなかなか取れなくてな、ここいらじゃカウロックのツーアの崖かな」
「ありがとうございます」
伝票を渡してお礼を言うと奥から息子が剣を研ぎながら静かに話しかけてきた。
「やめておけ。あそこら一体盗賊がでる。事情は知らねぇがここに流れてきたって事はそう言う事だ。まだ若い、急ぐ必要はないだろ」
「そうですね」
「はぁ…盗賊って言ったがそんな可愛いもんじゃねぇ。恨みをかうような戦い方はすんな、命がいくつあっても足らなくなるぞ。そいつもお前が死んだら悲しむ。できたぞ、ブーツのお代はいい」
「ありがとうございます」
剣のお金を払い俺は店を出た。
……………
「……珍しいなお前が忠告なんて」
「あいつの剣…数体倒したってもんじゃないぐらい刃に跡が残っていた。あんな戦い方するのは殺し屋か狂気的な素質の持ち主だ」
「ひ弱に見えたがな~」
「あんな若いやつがする戦い方じゃねぇ…ゾッとしたよ」
そう言うとまた黙々と作業を始めた。店には刃を研ぐ音や火の音がパチパチと聞こえるだけだった。
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