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第二部
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しおりを挟む午後から起きたソードはロキに抱っこされながらお菓子を食べている。噂が一人歩きしてしまった事をレイは隣で謝っていた。しかし、一緒にいると目立ってしまいばれそうだから嫌だと外にでるのをソードは嫌がっていた。
「まぁまぁ、レイさんが悪い訳じゃないし。眼鏡とフードしなければバレないと思うよ。お腹も減ってるでしょ?」
「……。」
「行こうよ」
「わかった」
ロキの説得に応じお腹を満たすべくご飯を探しに行った。探してる間はロキに手を繋がれながらソードはついて行った。そんな二人の手繋ぎを羨ましく見ていたレイだった。
店に入りご飯を食べていたら依頼所でロキに紹介した冒険者が食事をしていたので一緒に食べる事になった。
「ロキ君どうも~」
「あ、どうも」
「もう一人は初めましてだよな。ロキ君の知り合い?」
「はい。奥さんです」
「「!?」」
二人は目を丸くしてロキを見た。なんで!?と言いたかったがロキ的にはこうすれば自分の奥さんという事でレイの結婚相手から外れ皆にバレないと思ったのだ。
「へぇ!初めまして!」
「あ、えっと…あの初めまして…」
話の流れで挨拶をしてしまった。
「結婚してたんだ~まだ、若いのにすごいな」
「ずっと付き合ってたんですがやっと返事もらえたんです!」
にこにこ答えるロキにソードは何となく思惑はわかってはいたが気が気ではなかった。
レイは複雑な気持ちで会話に入っていいか悩んでいた。ここで変な事を言えばソードがバレるかもしれないし、かといって知らないフリもロキを紹介したからできないので黙って様子を見守る事にした。
「そっか~良かったな!」
「はい!毎日楽しいです!」
「そらいいな。レイも結婚したんだよな、知ってたか?」
「はい」
「「!?」」
ロキが話してしまうんじゃないかとドキドキしながら聞いていた。
「だよな、見たことある?レイが全然教えてくれなくてさ~昨日もセドリックといたらしいがよくわかんなくてさ~」
「そうなんですね。見た事ありますよ~」
さらにドキッ!とした
「可愛い人です」
「へぇ~やっぱレイが選ぶならそうだよな」
ソードは逃げようとしたがレイが手を抑え首をふる。今、逃げると怪しまれると目で訴えた。仕方なくその場をしのぐ事に決めた。
「あーでも、レイさんにしか多分可愛さわからないと思います。あんまり良さ教えたくないみたいですから」
「へぇ~そんな好きなんだ。まぁ、でなきゃあのレイが結婚しないしこんなに必死に隠さないよな」
「はい、俺もあんまり皆に良さ知られたくないです」
「あはは、流石新婚だな」
「そういや、セドリックがフラれたのあれ違ったらしいな。命の恩人だったとか」
「あ~そうそう。皆が勝手にあの場面を見て誤解しただけだ。皆の誤解が解けて良かった」
「まぁ、お前の結婚は事実だったけど」
「まーな」
セドリックの誤解も解けているようでホッとし、いろんな話で盛り上がった。そろそろお開きかという時に一人の男が声をかけてきた。
「レイ~二人とも帰ってきたか?」
「セドリック!?」
今、一番会いたくない相手に出会ってしまった。レイはこれ以上余計な事にならないようダンケルをでたかった。なぜなら、ソードの機嫌が悪く全く触れれる雰囲気ではないからだ。
「あーそうそう、帰ってきた。大丈夫。全然問題なかった。心配かけたな」
「ほらな、やっぱりちゃんと帰ってきただろ~ソードとロキがいなくなったって昨日きてさ~」
「へぇ~」
「じゃあ、そろそろ出るか」
冒険者友達に話しかけるとレイは店を出ようと席を立とうとした。
「何だよいいじゃん、お前らの結婚祝いまだしてないし。もう少しいろよ~」
「いや、いい大丈夫。ほんと言葉だけで」
「何だ、セドリックもロキ君の結婚知ってたのか。早いよな~」
「そらそーだろ、三人一緒なんだから」
「は?」
「あ?」
三人はマズイと言う顔をした。
「なんで三人一緒?結婚した日が?」
「結婚も」
「は?ロキ君の奥さんはこの人だろ」
「そうだよ。レイの結婚相手もだ。あ、名前ソードな」
「は?」
「こいつら、三人で結婚したんだぞ」
とどめを刺された。
「あ…バレちゃいましたね…あはは」
「セドリック…」
「……。」
店にはまた叫び声が響いた。
□□□
「じゃあな、また来る…多分いつか」
「そういうなよレイ~いつでも来いよ~!」
「セドリックさん、ありがとうございました」
「おう、ロキ元気でな!」
「……お前なんて嫌いだ!!」
「ソード!マジでゴメン!!」
門にはレイの結婚相手を一目見ようと人が集まっていた。
フードも眼鏡も素顔もバレてしまったソードは沢山の人に見送られダンケルを出た。
「ソード、そんなフード被ったら前見えないよ」
「いい」
「最後の見送りに関しては俺は悪くないはず」
「元はお前が人前でキスなんかするからだー!!暫くロキと寝る!」
「はぁ!?何でだよ!」
「うっさい、あっち行け!!」
「今回、一回もしてない!」
「だからなんだよ!取っ替え引っ替えしてたんだろ!そんな奴とはしない!」
「いや、あれは…」
「ロキ、宿、別にとるぞ」
「うん…」
「あーロキまで!」
三人は騒がしく帰宅したのだった。
□□□
コツコツ
綺麗な大理石の上を優雅に歩く。城の離れた場所には建物や施設があり剣士や兵士が訓練していた。大理石から石畳になり土道になる。
訓練場の外で何度も剣を振る男がいた。
「チッ、何でこんな遠いんだよ」
ぼやきながら側近を5人引き連れて近づく。
周りはすぐにひれ伏し道を開ける。
「おい!」
「おい!!」
男が気が付き剣を下ろした。
立て膝を付き頭を下げる。
「あー必要ない!!」
マントを平つかせながら手でピッピと側近を払い男を立たせた。
「何でこんなにも遠いんだよここは!レオ!」
「王子何か?」
「はぁーもっと中庭とかでやれよ。遠すぎる」
「中庭は王子も王子妃も立ち寄るのでご遠慮願いたい」
「ははっ、別に見てればいいだろ」
「そんな趣味は無い」
「そんなのはどうでもいい、リヒトがお前と太刀合わせしたいってよ。他の奴らじゃ弱すぎてつまんないんだと」
「いつ?」
「今から。だからわざわざ俺がここに来たんだ。俺が直接頼めばお前はすぐ来るだろ」
「そうだな。すぐ行く」
「城の中の練習場に来い。リヒト連れてくるから。じゃあな」
要件だけ伝え側近を引き連れレグルスは去っていった。
準備を整え城の練習場へ行く。年季のはいったその場所はよく声が響き今も使い込まれている感じが伺えた。
「レオさんお久しぶりです」
「元気か?」
「はい、御披露目以来ですよね」
「そうだな、御披露目以外も見かけてたが話すのは久しぶりだな」
「そうですね!今日は無理言ってすみません。レオさんと久しぶりに太刀合わせしたくて」
「いいよ。暇だしな」
「俺はその辺で見てるからリヒト好きなだけレオに相手してもらえ」
「うん」
「よし、始めるか」
久しぶりの手合わせだな、悪くない動きだ。日頃から鍛練もしてそうだ。綺麗な剣裁きだし流石大会で優勝するだけはあるな。ロキとどっちが強いかな…いい勝負しそうだ。
あいつとの稽古楽しかったな~型にこだわらないからソードとしてるみたいになるんだよな。
今頃、楽しく冒険でもしてるかな…
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