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第二部
1 くすぶり
しおりを挟むゼンテに引っ越してから数ヶ月、それぞれの生活時間ができていた。ロキは実績を積むため討伐依頼を定期的に受けに行っていた。レイは自分の魔術を強化するため組み合わせをいろいろ試している。ソードは一階の寝室奥にある書斎で一人魔獣を描いたり特徴などをまとめていた。
しかし、書いては手を休めの繰り返しだった。いつもなら何も考えずただひたすら没頭できていたが今日はなかなか進まなかった。
前にカウロックで討伐した第3深層の魔獣事が気になり考え始める。
最近薬草の依頼が多い。何でだ…十分にあるはずなのに。薬草が減っている理由に考えらるのは魔獣が下に降りてきている、もしくは増えている。一応カウロックには報告はしたが…当然末端の俺にその後の報告なんて入る訳もない。
机に足を引っかけぼーっと考える。
気も乗らないまま書いていてもしょうがない。気晴らしに疑問に思った所に行ってみるか。何も変化ないなら無いでまた考えればいいし。
適当に机を片付け書斎をでた。丁度カウンターにいたレイに一声かけゼンテとカウロックの討伐依頼所に向かった。
ゼンテにも討伐依頼所はありグースやガルシアほどではないが栄えていた。少し変わった依頼も多く観光に関わるものや環境調査のようなのもあった。
薬草依頼は変化無し。環境調査は依頼主はほとんど同じ。もしかしたら、カウロックにも同じような依頼が出てるかも。先にそっちに行ってみるか。
カウロック依頼所
うーん、やっぱり薬草の依頼は多くなってる。それに、調査依頼も偏るがあるな…あまり国に関わるの受けたくないけど1.2個受けてみるか。
魔の森周辺の薬草は数がいつもより減っている気がする。微かな変化に感じるが何かあるかもな。
調査依頼の方は魔獣の数と温度?体温か…珍しい…数体でいいらしいが。今まであまり調べてこなかったな、次回から気にしてみるか。後は魔獣だけじゃなく地質温度も一応調べてみようかな。
特定された場所で魔獣の数と温度を計ったが他も気になり多めに調べるの事にした。
受付に行き依頼を報告すると受付から暫く待って欲しいと言われ待つ。後ろから年配の男性が出てきた。胸元を見ると討伐依頼責任者のプレートを付けていた。
「突然すみません。少し話をお聞きしたくて」
「わかりました」
簡易的な別部屋に案内された。
「前回こちらで討伐依頼を報告されその時に第3深層の魔獣報告をされたと聞いていますが間違いないですか?」
「はい」
「詳しいお話をして頂けないでしょうか?」
「説明した以外は特には」
「そうですか…些細な事でも構いませんが何かお話頂けないでしょうか?」
「そうですね、3深層の魔獣がなぜいたか分かりませんが群れを倒した後から2体同時に現れたのと、その2体のみで他の3深層の魔獣は見ていません」
「なるほど、因みに討伐されたんですよね?」
「はい」
ん、討伐を疑う?何を探ってるんだ。
「何か見つけた物はありませんか?」
「至って通常と変わりなかったと思います」
「そうですか、予測で構いませんが今回の魔獣どうお考えですか?」
「紛れ込んだ…と思っています。どこか抜け穴でもあるんですかね?」
「まぁ、それも含め調査中ですね」
「そうですか」
「ありがとうございました」
「いえ」
部屋を立ち去ろうとした。
「あ、余談ですが今回は討伐依頼は受けなかったんですね」
「あ、はい。薬草依頼は趣味なので趣味依頼をうけました」
「そうですか、あはは」
「でわ、退室しても良いですか?」
「はい、お時間頂きありがとうございました」
「失礼します」
ドアを閉め出ていった。
やっぱり何かあったな、こんな話を別室でする必要がない。
あの様子だと誰か追われたか…襲わさせる予定だったか。まぁ、後者だな。追われたなら痕跡あるはすだし。狙いは不特定多数の被害か?まだわからないな。
前回の報告で直ぐにこの対応…話がやけに早い。いい話じゃないな、あまり首は突っ込みたくはないな。
□□□
「報告を上げた冒険者が来てます」
「そうか…すぐ通して欲しい」
「はい」
見た目では判断不要だがこの男が報告した冒険者か。普通に見えるが今回選んだ依頼も正当過ぎてただの冒険者に見える。
魔獣が現れたのも紛れ込んだと読むか…3深層をやったとは思えないが一人とも限らない、寧ろ連れが居たと考えるのが普通だろうな。そっちのが本命だったか?もし、使えるなら使いたかったんだが…協力的ではなさそうだ。
異様な実績の多さと受ける討伐が偏る。それにほとんど薬草や魔の森…
とは言うものの、この冒険者にばかり気にかけてはいられない。他の冒険者に討伐依頼を頼むしか無いな。今は少しでも多く上級冒険者を抱え込むのが先決だ。
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