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84 証人
しおりを挟むまだ寝ている姫をそのままにして二人はコソコソと話し合っていた。
ガルシアの婚姻には条件がいる。それは男女関係なく。
1.二人が同意した婚姻届がいる
2.証人が1人以上いる
3.成人している事
ただ、複数での婚姻は認められていない。つまり三人は書面上結婚は無理なのだが…養子として誰かの家名に入ることはできる。
1.成人している者の養子になること
2.証人が1人以上いる
そう、養子にも証人がいるのだ。
二人はその証人は既に決めていたのだが…
「絶対ソード嫌がりますよね」
「うーん、そうだな…言ってないってことは、言わないってことか」
「それに、俺も呼び出しただけでまだ内容話してないです。時間が無くて」
「そうか…向こうも知らないのか」
「多分、付き合ってるのも知らないと思います。俺達がソードに片思い中だとまだ思ってるはずです」
「強行突破だな」
「やりましょう」
ロキは寝室で寝ているソードを起こした。寝ぼけ眼のソードを着替えさせ出掛ける準備をした。
「んん…なんだよ」
「出掛けるから準備しよ」
「何処に?」
「ソード、美味しいお菓子買いに行こ」
「ん…わかった」
素直に従い準備を整えた。フードも被りいざ出発。
「何処で買う?」
「ガルシア」
「へー」
「そこで、お茶もしよう」
「わかった」
上機嫌のソードはお店に入ろうとしたが二人がそっちじゃないと言うので二人の行きたい方について行った。店に入るとそのまま奥の席に座る。いつもなら向かい合わせに座るのに今日は二人挟まれ横並び。
「何で横並び?」
「「まーまーまー」」
二人に挟まれ動けない。
「反対側空いてるから、そっち行く」
「「待って」」
動こうとするソードの腕を二人が掴む。不審がるソードを宥めていると前から見馴れた男が入って来て空いていた席に腰掛けた。
「あ?レオ?」
「よう、久しぶり!」
「お前何でいんの?」
「あ?今日は話があるって呼ばれたけど」
「「あ??」」
二人はわからなくなりレイとロキを見た。ロキは紙を取り出してレオに手渡す。
「レオさん、その下にサインお願いします」
「は?借金の保証人なら断るぞ」
「違いますから、安心して書いてください」
「あ!」
ソードはロキが何を手渡したか気がつき、紙を奪い取ろうと手を伸ばしたがレイに強く抑えこまれた。
「おい!離せ!こいつに話すつもりないのに!!離せって!!」
「だと思ってさ~だから、黙って連れてきた」
「待て、レオ見るな!!そのまま返せ!!」
「なんで?」
受け取った紙をペラペラと表裏と軽く見た。
紙を奪い返そうと必死にもがくソードの腕をロキが抑え、背もたれに張り付くように取り押さえられた状態になった。
「ソード、俺達が一番お世話になってる人ですから。ね!レオさん以外あり得ないですから!」
「こいつこそあり得ないだろうが!!離せよ!!」
そんな必死さを不思議に思いながらレオは表面を何々と声を出して読む。
「ん…私、ソード=オーデナリーとロキ=フォレスターはレイ=ルーベン=クラークスの養子になる…よってソード=クラークス、ロキ=クラークスに指名変更をいたします…?」
「だー!!読むな!!」
「「ってことで、俺たち結婚しました」」
「あ゛ぁあ゛!?」
店内に声が響き渡る。
「レオさん、そこの下にある証人の所に名前を書いて下さい!」
レオは今まで見たことの無いぐらい目を丸めてソードを見て立ち上がった。暫く、固まったままだったがそのままゆっくり座った。
ソードはプイッっとそっぽを向いき、レオは無言でそこにサインをしてロキに手渡した。
「「ありがとうございます!!」」
「人生で一番驚いたかも…」
「すみませんレオさん。こうでもしないと、ソードはレオさんに報告しないと思って」
「最後までする気なかった!」
「「やっぱり」」
「だけど、俺とロキは絶対レオに証人になって貰いたかったんだよ。てか、レオしか考えられなかった。事前に話してもよかったけど、結婚決まったの本当最近なんだ。だから、言う時間なくてロキに連れてきてもらった」
「そうか…」
「証人なんて誰でもいいだろ」
「レオ以外無いな」
「無いです」
「てか、お前…クラークス家になるのか?」
「あ?見ての通り。一応、家にも行って解決済みだからな!三人で決めた結果だ。てか、クラークス家っていうがレイの養子な」
そう、三人はいろいろ考えた結果レイの養子になる事に決めたのだった。これは、ルーベンに言われたからではなく結果それが三人にとって一番良いと答えをだしたのだ。クラークス家の了承も得て帰宅後に書類を出すことに決めていた。
「まぁ、そうたが。家にも行ったのか…スゲーな」
暴れるのをやめたソードの腕をゆっくり離した。ソードは目の前に出されたお茶を手に取り不機嫌そうに飲んだ。レオは改めて三人をまじまじ見た。
「いや…あ、いろいろ聞きたいが、えーっと…本当に三人でいいんだよな?」
「はい、レイさんも俺もそこは了承済みです」
「そうそう、結構前から付き合ってたんだけど付き合う前から二人とも結婚したくてプロポーズもしてたんだよな。でも、全然受けてもらえなくて。この間やっとソードが好きって言ってくれたんだよ」
ブー!!
ソードは飲んだお茶を吹き出した。
「れ、レイ!!お前、何いって!」
「そうなんです!二人がかりでソード落としたんですが、すごい大変でした。好きってなかなか言って貰えなくて。この間やっといってくれたので、結婚するのに今日までかかりました!」
「おい、ロキも!」
「マジか…全然知らなかった。いやお前らがソード好きなのは知ってたけど…」
レオはまだ信じられない様子で話を聞きいていた。昔からソードの事は他の人よりもわかっているつもりだったが、恋愛に関してはお互いほとんど話をした事がなかった。こいつも恋愛するんだな~と失礼にも思ったぐらいだった。
「ソード諦めれないし絶対ゆずれなかったんです」
「だな、俺も絶対諦める気なかったし。でもロキならいいかって」
「俺もレイさんならいいかなって」
「そうか…」
嬉しそうに話す二人を見ながらレオはひたすら返事を繰り返すぐらいしかできなかった。
そして二人はレオに改めてあいさつをした。
「てことで俺達三人をこれからも」
「「よろしくお願いします☆」」
ちゅ!ちゅ!
「ぅわ!お前ら何してんだよ!」
レオの前で堂々とキスをされたソードは真っ赤になりフードを深く被った。またそれにレオは驚いて思わず形式的に言った。
「あーソード、結婚おめでとう…」
「「ありがとうございます!!」」
レオは何度も考えこみながら店をでた。
□□□〈レオ〉
人生で一番驚いた。
いや、まさかのソードが結婚。絶対、一番しそうもないやつが結婚。しかも相手は二人。んでもってレイは邪教クラークス家でロキは育ての親。てんこ盛り過ぎて俺の頭が追い付かねぇ。
あいつらがソード好きなのは知ってたんだが…あのソードだぞ?一筋縄じゃいかないし落ちない。あぁ、だから二人で落としたのか…いやいや、何いってんだ俺も。
昔から結婚願望ゼロだったから絶対無いと思ってた。せいぜいどちらかと付き合うだろうな、ぐらいにしか…結婚。
あいつらの利害の一致は…二人ともソードが好きで自分たち以外は許せないって事だったか。
三人の結婚に突っ込んだほうがいいのか…レイの養子とは言え家名がクラークス家になったのもスゲーし…
あいつの人生どーなってんだ?
あ、俺…ソードに先越されのか…
何か…酒飲みたい。
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