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69 三人で組む
しおりを挟む念願のソードと組む事になったのだが肝心のソードというと…
「あ゛ーつーい゛ー!」
「全然ましだろグースに比べたら。てか涼しい方だって、今までのが暑かったろ」
ベッドから身を起こしレイを見ていた。暇をもて余したロキは討伐へ、レイは買い出した物を片付けていた。
「てことで、夜しか動かない」
「いつもだろ…」
何だかんだ遅く起きた言い訳したかったのか…。
「ロキは?」
「一人で討伐にいった。少しは相手してやれよ」
「そっか…じゃあ、帰宅したら魔の森いくかな」
「いいね!」
そんな軽い乗りで言ったソードだったが…
ロキが帰宅してからカウロックに向かった。カウロックから魔の森へと行き討伐依頼を幾つか見て選んだ。
依頼はあっけなく終わったのだがソードは最近体がなまってしまったと思い別に依頼を受けていた。
「何個か受けたんだけど、自分だけでやっていい?」
「「なんで?」」
「最近、体が鈍ってるから思う存分やりたい」
「「えー」」
「帰ってていいよ」
「「やだ」」
「じゃあ、見てもいいけど。手助けと終るまで話かけないで。後、レイはロキよろしく」
「「わかった」」
といって一人で森にかけていった。二人の事だから着いてくると思い、レアや今より奥の依頼をうけず数をこなす事にした。二人はソードの邪魔にならないように動きを見た。途中、魔獣の群れに遭遇し二人は息を潜めながら話した。
「何か…俺の時と似てるな…」
「レイさんと出会った時ですか?」
「そう」
「まぁ、あの時は途中で剣が折れたけど」
「そうですか」
魔獣の群れに斬りかかり素早く倒す。遠目に次々に倒れる魔獣を見ていた。
「あれで、鈍ってるんですかね」
「みたいだな」
全部倒したように見えたが、その後ろから2体の魔獣がのそのそとでてきた。体はでかく、2体は明らかに他のやつと違う雰囲気だった。その違和感は二人にもすぐにわかり息を呑む。
周りの木々がバサバサとなぎ倒されてゆく。土埃と攻撃でソードを確認できなかった。一瞬だけ見えたソードは2体の攻撃を同時に防いでいた。少し押されているようにも見えたがハッキリとはわからなかった。
「レイさん…」
「俺もハッキリは見えなかった」
レイはロキに目で合図して少し近づいた。
多分、この辺りまでならギリギリソードの邪魔にはならないはず。さっきよりは見えるか…。
今度は見えた!
「「!!」」
二人は驚いた。ソードが押されていたからだ。こめかみ辺りから血をながしていた。眼鏡も付けていない。双剣を使い攻撃を受け止めながら土埃に消えていった。ロキはもう一度レイに声をかける。
「レイさん!!」
「俺らが行った所でだが、ソードやられるの見てられない。行くぞ!」
「はい!」
二人は魔獣の攻撃範囲に入り加わった。ロキは剣でレイは魔術で。とどめはソードの双剣が美しく舞い2体を攻撃した。
「「ソード!!」」
二人が駆け寄る。
「ん?」
「大丈夫か?」
「大丈夫?」
「大丈夫」
剣に付いた血を振り払いしまう。
レイはソードのこめかみ辺りの血を拭い、手で頬を触りながら目を見つめた。
「…お前焔目になってる…」
「あーそう?」
「前回よりなるの早い」
「そうだな」
軽くこめかみにキスをする。
「ソード押されてるの初めて見た」
「そうだっけ?あれレアだったな、ここに居ると思わなかった。どっかから出てきたかわかんないけどあれ2深層先にいるやつ」
「「え!?」」
魔の森は深層に別れていて、カウロックに一番近いのが1深層。そこから奥になればなるほど森は強い魔獣がいる。今回ソード達が居たのは1深層後半。
「3深層の中でもレアだったし押されて当然かも。助かったよありがと。これからはちゃんと二人も連れてく。ゴメン」
「いや、いいけど…」
「何で3深層のが?」
「さぁな、報告はしとく。どっか抜け穴があるのか、誰かが追われながら連れてきたかはわからないな」
「そっか」
「ま、楽しかったからいいよ。帰ろ」
森を歩きながら深層の話題が続いた。
「ソードは何深層まで行けるんだ?」
「んー多分4深層の前半か、エリアにもよるけど半ばぐらい」
「いや、実力の差を今ハッキリ知った」
「レイさんはいくつですか?」
「俺は前は1~2深層前半東エリアぐらい、今はどうだろう2は行けるのかな…」
「3深層の前半はいけるんじゃないか」
「この間、3の前半でだめだったじゃん」
「あーあれは、まぁ、そーいう時もある」
「えー」
「お前は実力あるのに想像力が足りない」
「ぐぅ…」
「じゃあ、三人だとソードよりもっといける?」
「あー多分無理、行けて3深中半かな」
「「え!?」」
「4深だと三人で行ったらすぐ全滅する」
「「何で?」」
「多分、助けようとして皆それぞれ死ぬ。だから、助けようとしない所までいかないと無理だろうなー。連携とかじゃなく感覚で察せれたら4深後半迄は三人でいけるかもな~今回は、1深層での3深層魔獣だからやれた。でも、助かったよ。ありがとー」
「「そっか…」」
「レオとなら4深後半いけるかもな、お互い足蹴にできるし自分の事だけ考えればいいから。そんな感じ」
「「うーん」」
ゴツン。
「イテ!」
「ソード眼鏡は?」
「さっきので壊した。どこにあるかもわからん、新しいのは1深層だから大丈夫かと思って宿に置いてきた。まぁ、なんとなくわかるからいいや」
三人は魔の森を後にし宿に向かった。街は賑わっていたがそれよりもソードは別の事に気をとられていた。
「ねぇ、ロキ…離して」
「見えないんでしょ」
「そうだけど…端歩けばいいし」
「大丈夫」
「……。」
ロキは眼鏡をつけてないソードが危ないからと言って手を握って離さなかった。
焔目がいつ消えるかわからないからと言ってレイがフードを被せたのがせめてもの救いだった。
はぁ~宿屋まで我慢するか…うぅ恥ずかしい。
ソードは受付にさっきの事情を報告する為、宿に着いて眼鏡を取りに行くとすぐ依頼所に行った。
「うーん」
「どうしたんですか?」
「焔目、何で出たんだろ」
「そうですね、何かあるんですよねきっと。今回はレアだったからですかね?」
「そうなんだよなー俺の時と似てるなって思ったんだよな」
「しかも、この間からそんなにたたずにですよね」
「そう」
レイはずっと気になっていた。それが分かればソードを研究者から守れるかもしれないと考えていた。きっかけさえ掴めれば、予防も管理も出きるはずと。だが、焔目になる事がほとんどないため掴めないでいた。そこで、結局いつも答えに導かれるのはソードの心情だった。
今回も、せっかく焔目になったが結局原因はわからなかった。
三人は暫くカウロックでの魔獣討伐をして過ごしたが焔目はあの一回だけだった。
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