56 / 130
56 ニケ
しおりを挟む昨日どこまで思いだしてたっけ昔の事…
いつの間にか何で叩かれてたのかわからなくなって。魔力が自分から引っ込んだみたいになってて。無くなった?ってなったんだよな~
一週間しても、数ヶ月しても魔力がでなくなって、両親は泣いて喜んでたな。数年ぶりに、自分の部屋に帰ってきたけど部屋が明るすぎて眩しかったの覚える。そういや、暗い所に居すぎたせいか目が悪くなってたのはかなり面倒だったな。それからは剣術一筋で、両親の進めるヒューズ学校に金を積んで入ったんだっけか。
「ソード、ソード?」
「ん?」
「大丈夫?やりすぎた?ゴメン」
「うんん、大丈夫。明日でるか」
「うん」
「眠い…」
「うん」
あの後ロキにされるがまま抱かれたソードだった。今はロキの腕の中におさまっている。ロキの体温が暖かくて眠気を誘う。またゆっくり瞳を閉じてソードは眠りについた。レイも戻りその日はソードの体を労いながらゆっくり過ごした。そして、結局なぜ焔目がでたか誰もわからないままリッカに着いた。
石塀が続いた先には今は開きっぱなしになっている石門がありそれを抜けるとリッカに入る。この門はソードが生まれるずっと前からありリッカの変わらない物の一つだった。
ソードの話した通り、リッカには兵士や剣術士を多く見た。それにちなんだお店が多く見うけられた。
「これだけ剣術士や冒険者の武器があるならソードが詳しくなるのよくわかる」
「あぁ、そうかも。ジャンクを含めいろんなのあるし、そっから探すのも楽しいかもな」
「セドリックが見たら喜びそうだな」
「だな、セドリックはレイの冒険者仲間な、ロキ」
「へぇーレイさん他の人と組んでたんですね」
「まぁ、たまに一緒に組む感じだったけど。あいつが居たからソードに会えたしな~懐かしい」
「そうなんですね」
「機会あったら紹介するよ」
「はい、是非」
□□□
街から離れた閑静な場所に木々に囲まれぽつんと白色の建物がある。建物へ入ると大きな中庭があり、花壇で彩られた噴水やテラス等が設けられていた。
テラスには一人の男性が膝掛けをして椅子に座っていた。ソードは椅子に座る男性に走り寄って声をかけた。
「ニケ!」
「ソード!」
「「久しぶり~!!」」
二人はハグをして喜びあった。ソードはすぐに自分が支えになりハグをするために立ち上がったニケを椅子に座らせた。
「ソードは元気?」
「うん、ニケは大丈夫?」
「ぼちぼちかな、もう仕事は辞めたけどね」
「そっか」
ソードと同じく黒髪の黒目。高身長の割に痩せたその男性は二ドル=ケイシー。ソードの友人で魔病に侵され今はこの閑静な病院で療養中。
キレイな中庭のテラスは木で日陰になっていて丁度良かった。
「ニケ待ってね、今から二人連れてくるから」
「うん」
ソードはレイとロキをニケの前に連れてきた。
「こっちがレイで、こっちがロキ」
「初めてましてソードの友達の二ドル=ケイシーです。ソードとレオにはニケって呼ばれてます」
「「初めまして」」
ニコリと笑う笑顔が優しくて可愛らしく、つられて二人もニコリとした。机を四人で囲みニケのすぐ隣にはソードが座った。奥から職員の人がお茶を運び並べてくれた。それを見てソードはお菓子を取りだした。
「ニケ食べれるかわかんないけど、よかったら。食べれなかったらミミにあげて」
「わかった~いつもありがとう」
「ニケ、その膝掛けいいね」
「うん、ミミが選んでくれた。ソードも相変わらず可愛い髪型してるね」
「ありがとう~」
ニコニコしながらお互いを誉めあう様子を見て、普段見ないソードの笑顔とニケに自然に甘えている態度に二人はびっくりした。まるで、恋人同士に見えるほどだった。
「そーいや、前にレオがうまいお菓子もってきてくれたよ。久しぶりに会ってビックリした。魔獣みたいに筋肉ムキムキだった」
「だろ?あいつ魔獣だと思う」
「あはは、だな。所でレイ君とロキ君はソードの友達?」
二人はソードを見て「お前がちゃんと紹介しろ」と言う目で見てた。ニケも二人がソードを見るのにつられて顔を見た。
「なんだよ!皆で見るな!うぅ……今、付き合ってる人…」
「へぇー二人共?」
「…そう」
「そっか~いいね!二人とも宜しくね」
「「はい」」
照れ怒りしたソードを横にニケは二人に微笑みかけた。二人はあまり驚かないニケにソードの友達だなと思った。すると、タッタッタっと軽い足音がした。「おとうさん~!」と小さな女の子がニケの椅子に駆け寄った。
「ミミご挨拶は?」
「んーはい。ミミ=ケイシーです」
ニケの一番上の娘だった。レイとロキは、よろしくねと言うと少し照れて後ろに隠れた。
「ミミ、ソード来てるよ」
「ソード!」
「ミミ久しぶり~」
「ねぇ、ソードむこういこ!」
と言って手を引っ張り噴水の方へ連れ出した。三人は手を振り見送った。
「ごめんね、ミミはソードが好きでね。いつも一緒に遊びたがるんだ」
「いいえ。俺達、ずっとニケさんに会いたかったです。ソードがニケさんの話をいつも楽しそうに話してくれるのでどんな人か知りたくて」
「そっか、ソードはね昔から可愛くてね優しかったよ。話してると凄く楽しくなるんだよ。しかも子供にも大人気」
「そうなんですね」
ニケはソードの昔の話しを教えてくれた。レイとロキはニケの話に耳を傾けてしばしの楽しい時間を過ごした。
「ふぅ…もっと話したいけど、時間みたい。ごめんね~ミミ~ソードを解放してあげて」
「「いえ、大切な時間ありがとうございました」」
ミミとソードがニケに駆け寄る。
「ソード、ごめんね。時間がなくて、二人を紹介してくれてありがとう~楽しかったよ」
「ううん、ニケこそ無理しないで。また来るから」
「うん、ソードの結婚式には出れそうにないから先にお祝い言っとくねー。ソードおめでとう、幸せにね」
「まだ結婚してないけど!!!」
「あはは、二人ともソードよろしくね。幸せに見えるけどお幸せに」
「「ありがとうございます!!」」
「じゃあ、ミミ行こうか。またね」
そう言い二人は手を振ってゆっくりテラスを後にした。途中ミミは「ソードけっこんする?」とニケに聞いていた。ニケは「そうだよ」と嬉しそうに返事をした。
「ニケさん、凄く優しくて可愛らしい方でしたね」
「だな、会えてよかった」
「うん、ニケは一番好きな友達」
ソードの嬉しそうな顔を見て二人も嬉しくなった。また、三人で会えたらいいなと思った。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集
夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。
現在公開中の作品(随時更新)
『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』
異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ
EDEN ―孕ませ―
豆たん
BL
目覚めた所は、地獄(エデン)だった―――。
平凡な大学生だった主人公が、拉致監禁され、不特定多数の男にひたすら孕ませられるお話です。
【ご注意】
※この物語の世界には、「男子」と呼ばれる妊娠可能な少数の男性が存在しますが、オメガバースのような発情期・フェロモンなどはありません。女性の妊娠・出産とは全く異なるサイクル・仕組みになっており、作者の都合のいいように作られた独自の世界観による、倫理観ゼロのフィクションです。その点ご了承の上お読み下さい。
※近親・出産シーンあり。女性蔑視のような発言が出る箇所があります。気になる方はお読みにならないことをお勧め致します。
※前半はほとんどがエロシーンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる