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30 レオの部屋へ
しおりを挟むレイがレオの部屋に行った後、ソードとロキは軽く手合わせをしていた。双剣をもつソードの動きが全く読めないロキ。逆に動きが手に取るように防がれ、いつも以上に思うように上手くできなかった。
「はぁ、はぁ、ねぇ、ソード、その感覚どんな感じなの?」
「んー目を開けてなくても分かる感じの感覚?に似てるのかな?なんだろ」
「じゃあさ、目隠しして打ち込んだらその感覚身に付く?」
「どーだろ?」
「ねぇ、俺目隠しするから素手で打ち込んでみて!」
「わかった」
ロキは布で目を隠しソードの前に立った。ソードも見えてないか手を振って確認して声をかけた。
「じゃあ、行くぞ」
「いいよ!」
バコ!!
ソードの拳がロキのおでこに当たる。
「痛い」
「ごめん」
これは未熟な自分だからだとロキは思い、今度はソードを目隠しさせロキがソードを試した。
「じゃあ、ソードいくよ!」
「よし、いいぞ!」
バコ!!!
「ロキ痛い」
「ごめんソード」
やっぱり目は見えてないと駄目だな。と二人は思った。
「お前ら、何してんの」
「「………。」」
□□□〈レイ〉
そうだ、ずっと引っ掛かってた事だ。そもそも何でソードはニケが病気とわかった?何でレオが怪我してホッとした?そして、今日のテッタだ。何か偶然とは思えない。だが、確証がない。
レオに聞いてみるか。前にニケの話しをした時はピンときてなかったみたいだが付き合いが長いなら一回ぐらいあるはず。確かめたい。
コンコン
「あーいるけど、シャワー中だ~誰だ?」
「レイだ。聞きたい事がある」
「おう!部屋入って待っててくれ」
レイは部屋に入りレオがシャワーからでるまで待った。ほどなくしてレオが髪をがしがし拭きながら上半身裸ででてきた。ソファーに促されたがレイはすぐ聞いたら戻るとドア付近にもたれながら立って話した。レイは部屋に人が入って来たらすぐ分かるようにした。
「悪い、待たせたな」
「こっちこそすまない」
「いや、お前が来るときはいつもソードの話だろ?何かあったのか?」
「なぁ、ソードが急に話したり出ていったりしたの見たことないか?」
焦りながら話した為に要領を得ない話しになってしまったが、レオがくみ取る。
「そりゃ、前にあったニケの時みたいな感じか?」
「うーん、近いとは思うんだが、俺もハッキリはわからないが。急に誰かの名前とか…話したり。それが…」
「………誰かの何かに繋がったりとかか?」
「そう、何て言っていいかわかんねぇけど」
「あるよ。ただ、お前が感じたニケの時みたいなのとは違うがな。…昔からあいつが話すことは大体当たるんだ。小さな事から大きな事まで、最初はただの偶然だと思ったけどな。それが曖昧だから確証は無いが。だから俺も正直わかんねぇ。ただ、当たるんだよ何か悪い事が」
「ソードは?」
「勿論、知ってるよ。ただ、本人もわかんねぇみたいだ。突然わかるんだとよ曖昧に」
「……。」
「多分だが、ソードの実家と関係あるかもな」
「ちなみに、それがあった後は普通か?」
「ん?俺はいつも通りに見えたがな」
何か体に異変があるわけじゃなさそうだな。焔目とも関係はなさそうか…
「そうか…ありがとう。いつも助かる」
「いいって!なぁ、ソードの実家の話しわかる範囲で教えてやるよ」
レオはそう言うと真剣な顔をして話してくれた。そのレオの話しは俺の心を悲しくさせる内容だった。
この世界の人々は産まれたときから、魔力持ちかそうでないかに別けられる。魔力を持つものなら魔術関連に。そうでないものは、剣士や他の職につく。魔術とは希な存在であった。また、魔術は初めから魔力を持ってる人でないと使えない。どんなに頑張っても魔力が無い人は魔術を使えない。
そんな稀な存在は一昔前までは魔力は魔獣の使いという考えもあった。今はそれを信じる者は少ない。
ソードの家は元々リッカでは名のある家の一つらしい。当時のソードの家は魔力に否定的で正に、その典型的な家だった。
そう、ソードは魔力持ちだった。
魔力持ちかは産まれてしばらくしたらわかるはずだった。だがソードは違った。寧ろわかろうとせずに両親はソードを育ててきてしまったた。
ソードの両親は、剣術使いとして剣士として育てようと熱心に教育をしたそうだ。ある日、偶然ソードが魔術を使っている所を見たそうだ。
まさか自分の子供が魔力持ちだなんてと考えてもみなかった事が起こり、両親は嘆いた。しかし本人にはそれが普通だったし魔術を使うのは当たり前の事だった。だが両親にはそうは映らなかった。幼いソードから魔術を取り上げたのだった。
そこからは聞きたくない話だった。部屋に閉じ込め魔術を使わせないように手を縛り、魔術が発動したら殴るだった。これを毎日繰り返したそうだ。その内に魔術の使い方事態わからなくなってしまったそうだ。それ以来ソードは魔術が使えないらしい。
本来ある自然なものを無理やり絶ち、新たに強制して身に付けた剣術は、さぞ苦しかっただろう。そして、両親の思惑通りにヒューズ学校の剣術戦科に入った。そこでレオと出会ったという話だった。
「俺より詳しい事情がわかるやつがいるぞ、知りたいならそいつ尋ねたらどうだ?もしかしたら、何かわかるかもな」
「そうか、因みに焔目はわかるか?」
「なんだそりゃ?それもソードがらみか?」
「いいや。助かった」
ロキ以外にはソードの情報を安易に知られたくないな。軽率に聞きすぎたか、レオなら大丈夫だと思うが。知らないならそれはそれでいい。
「レイ、知ってどーする?」
「ん、どーもしない。一緒にいたいだけ」
「そうか」
「あ、来週からロキ宜しくな!」
そう言って部屋をでた。歩きながら大きなため息がでた。
やっぱり、レオもわかってたか。
まぁ、そうだよな~
はぁ~これで何となくわかったからソードに直接聞くか。
…ソードがそのまま魔術使いだったら…やめた。今のソードだから出会えてたし。帰ったらめちゃくちゃ、ぎゅってしてやろ。
てか、
「お前ら、何してんの」
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