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12 ロキの気持ち
しおりを挟む久しぶりにソードがお菓子を持って会いに来てくれた。が、後ろにでかいイケメンがいる。
誰だ?
イケメンはレイと言う名前らしい。年齢は聞いてないからソードより上か下?よくわからないな。
そんな感じの印象だった。しかし、ソードから冒険者として一緒にいると言われてショックだった。
「はぁ?何でだよ!俺と組むんじゃないのかよ!!何で俺より先なんだよ!!」
ずっとソードに前から言ってたのに!!
……わかってる、俺は子供でまだ冒険には行けない。ソードだって絶対俺がお荷物になるってわかってる。でも、埋められない。悔しい。
ほとんどの国は18歳から成人だ。それまではどんなに強くても賢くても冒険者にはなれない。冒険者だけじゃない、騎士や兵士、結婚だって正式には認められない。
正式に認められるのは18歳から。早く大人になりたい。早くソードに近づきたい。
一緒に冒険行きたいのに……
ソードと一番初めに組んで討伐に行きたかったのにこいつに先を越されるのか…泣きそう。
「いや、まだ討伐すら行ってないし。ダンケルからここに来ただけだから。暫く一緒に居てやるからさ」
討伐一緒に行くの先に越される方が嫌だな。それに暫くしたらまた居なくなるのか。
「暫くって言ってまたすぐ居なくなるんだろ」
「ん~ここに住むのは難しいから、行ったり来たりでいいか?とりあえず、今回は暫くいるから」
俺がワガママ言った所で迷惑にしかならない。ソードに嫌われたくない。わかってる。
「わかった」
「一緒にお菓子食うぞ」
いつものソードがいい。
□□□
「ロキに断りも入れず勝手にして悪かった」
ソードはいつも俺を気にしてくれる。ちゃんと子供の俺に謝ってもくれる。優しさが分かるから許すしかないよな。
「もう、いいよ」
そーいや、俺より先に冒険者仲間になったレイは何者なんだろ。ソードがレオ以外で紹介してくれたの初めてだ……
「レイはダンケルで知り合って、昔一度、俺と出会ってそっからずっと1年探してたらしい。んで、お菓子屋の前に並んでた俺を見つけて一緒に冒険したいって言って今に至る」
「レイだ、よろしくな」
1年!?
1年もソードを探したのかよ!
「はい、1年…。なぁ、お菓子屋って。また、並んだのかよ~!」
思わず言葉に出てしまった。適当に話したが1年が頭から離れない。それぐらいソードと組みたかったのか…だけど俺だって一緒だ。
俺も諦めない。
このレイ……レイさんだってそうだったんだ。
「ロキ=フォレスターです。ソードに拾ってもらってから冒険者目指して日々勉強中です。できれば、今すぐにでもソードと一緒に行きたいです」
素直に気持ちを話した。そしたらレイさんが俺に共感してくれた。てっきり子供扱いされるかとおもったのに笑ってくれた。俺と同じ気持ちだったんだと思ったら親近感が持てた。悔しい気持ちもあるけど、何か悪くない。
□□□
紹介してくれた後にソードが俺の機嫌をとってくれた。
ここへ来たらソードがいつも俺の成果を見てくれてくれる。今回も、いつもみたいに全力でいく!
と思ったけど、今回は全然違った。全く違った。
ソードが何かいつになく本気だ。いやいつも本気だったけど何か雰囲気が違う。初手から容赦ない。本気なんだけど何か種類が違う。
くそぉ、本気でやってるのに全然歯が立たない!
考える暇さえない。ダメだ、隙がない。このまま行けば殺られる!俺ぐらいその殺気ぐらいわかる。
ヤバイ!!
この1撃は……
目の前が一直線に光る。
綺麗だな~朝日が地平線に昇るみたい………
「ソード!!」
ビクッ!
まだ剣は入って無い!!
ソードの目に映る俺、全力で止める!!!
剣は1つじゃない!
「なんだー?」
ぐっ!
剣が重い、息もできない。
「まぁまぁだな」
ソードが口元を上げた。その後は盛大に吹っ飛ばされた。倒れた拍子に、一瞬首が繋がってるか確めた。
「おぃ、膝付いたぞ~」
「くそぉ~」
そんな悔しい気持ちもないのに、思わず強がってでた。
「あー終了だ。てかお前らいつもそんな感じなのか?ロキが斬られるかと思って冷や冷やした。」
「だな、よく止めたなあれ」
「レイさんが叫んでくれなかったらヤバかった」
本気でヤバかった。
これがソードに一緒についていく現実なんだろうな。こんなんじゃ到底無理だ。全然たりない。もっともっと鍛え上げて強くならなと。
ソードと一緒にいたい。
レイさんには感謝だな。
あれがなかったら俺は最後の一手出せなかった。やっぱり凄いんだなと思った。
次に、ソードが俺とレイさんを対戦させた。魔術持ちとやるのは初めてだったし、ワクワクしかなかった。だけどやってみてわかった、スゲーやりにくい!!どうしたら勝てるか全然わかんない!
とりあえず、避けながら間合いを詰める位しかわかんない!レイさんもかなり手加減してくれてるみたいだし、どーする!?どーやって勝つ?
「ロキ、やりにくそうだな」
ソードがそう口を開いた。
「かなり、でも負けたくない!勝って、早く大人になりたい!」
そうだ、さっきもソードの剣防げたじゃないか。その時スピードが知らないうちに上がったんだ。なら、魔術出すより早く動いたらどうだろう?
「そうそう、ロキ。お前にプレゼントがある。明日討伐依頼受けるから付いてこい。一緒に行こうな☆」
!!!!!!!!!
あ、体が軽い。体が勝手に隙に入り込む。
レイがソードを見た瞬間。
ここだ!
スッと剣を下ろした。
俺の剣はレイさんに受け止められてしまった。
これが今の俺。なのに何か凄い嬉しい。決まらなかったのに。何か1つ先に行けたみたいなそんな感覚。
それに…約束、覚えてくれてたんだ。
泣きそう。
「終了な」
次の対戦から、レイさんは俺に容赦なかった。やっぱりこの人もめちゃくちゃ強いんじゃん!
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