夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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第二部

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□□□ 2.5+

 寝静まったのを確認し、レイとロキは宿のベッドで明日の話をひそひそとした。

「かなり嫌そうでしたね。何かあるんですか?」

「レオから聞いたには反りが合わないんだとさ。俺も良く知らないが、嫌いな奴を自分の城に招くなんて訳あり意外考えれないな。明日になれば少しわかるかもな」

「もし、王子妃の為に渋々呼んだとしたら余計煙たく思うかもですね」

「そうだな、それにさっきのソード」

「いつもと違いましたね」

いつもなら「俺達がいれば」なんて言ったら自分の身は自分で守ると言ってくるのに…引っ掛かる。ロキも同じといった所か。

「だな。この時期に招待か~関係あるのかな~?ロキ、明日行く前までに剣の手入れしとけよ。それと何かあったら死ぬ気で止めるぞ」

「俺もそのつもりです」

 俺達の死ぬ気は決して言葉のあやでもなんでもない。ロキも俺も言葉にする意味を知っている。

 俺達はソードを守る


 にしてもだ、にしても

「何でヤれねぇんだよ!!」

「レイさん、声がでかいです。しょうがないじゃないですか~ソードが大事な時は流石にできないですよ。俺も超~したいです。今日の嫌な事忘れさせてあげたいですが…我慢です」

「くそぉ、終わったら絶対抱く」

「ですね~」

「んで、明日ソード起こすの」

「「俺」」

 …………。

「いつも通り二人で起こすか」

「ですね」


□□□ 91.5+

 ヒューズ城からの招待から帰宅した三人は家につ着いた。手合わせはやはりただの手合わせではなくソードを誘いだした暗殺とわかり二人は不機嫌だった。

「知ってたのかよ」

「まぁ、知ってたと言うより予想が当たった感じだな」

「何でソードを?」

「疑わしきは罰せよだよ、恐らくはカウロックで目立ったおかげだな。上級者の専門依頼受けてただろ?」

「「うん」」

「ヒューズからしたら、国崩ししようとしてる矢先に毎回邪魔が入ってる状態だ。冒険者というな」

 ソードの言い分はこうだった。カウロックを潰したいヒューズは魔獣を使い街にダメージを負わせた所に兵士を送り領土を奪おうとした。

カウロックはそれに気づいて兵士を使わず冒険者を使い魔獣退治を密かに決行。ウェザーから仕入れた薬を魔獣に打ちグリーンセルとの国境近くの街を襲わせようとしたがその手前で冒険者達が討伐をしてしまい失敗に終わる。

そんな上級冒険者を手っ取り早く殺してしまえば計画が早く進むと。多分、カウロックに近しい冒険者リストをどこからか仕入れそこに自分の名前が入っておりレグルスの目についたのだと。

「もしかしたら俺以外の冒険者で何人か暗殺されてるかもな。俺は元々、レグルスに嫌われていたから嫌なやつならついでに殺すいい機会だろ」

「なら、何でソードだけ?俺達も一緒だった」

「今回の手合わせで上手く俺を殺した後にお前らも殺る手筈だったと思う」

「マジか…」

「帰りに俺達が殺されなかったのは何で?」

「それは…予定が狂ったのとインセットに頼んだからだ」

「「何で!!」」

 二人には聞きたくない名前の一つだった。一癖も二癖もあるこの人物。嫌がるのも十分に分かっていたが頼るにはこの人しかなかった。

「俺にこれ以上の権力も守れる手だても見つからなかった。インセットは強いし頭もきれる、悪いようにはしないと思う」

「何か約束したのか!?」
「何かされた!?」

「いや、されてない。今回の一番の情報を提供した。後は領土戦阻止の共同参加だ」

「何の情報を渡したんだ?」

「伝術士達は領土戦の発起者を探していたが確証には至ってなかった。この領土計画を知っていて冒険者のを邪魔で殺したいと思う一番の権力者が犯人」

「「レグルス王子」」

「でなきゃ殺される理由が何処にも見つからない。わざわざ俺を手合わせで誘って殺しにきたんだ、理由がなければそんな事しないだろ。だとしたらレグルスの邪魔になる何かをした俺だ」

「「……。」」

「逆に言えば手合わせで何も仕掛けてこなければレグルスは白だった。十中八九あいつだとわかってたが、確証を示さなければインセットに協力を頼むのは都合が良すぎるしな。向こうから招待がきたのは好都合だったよ。悪趣味なアイツが殺るならここだなと思ってたから。インセットもあの場にいて見てたはずだ」

「俺らにそれを言えなかった理由は?」

「俺が殺されると知ったらお前ら斬りかかるだろ」

「「……。」」

「まだわからない、何で初めからレグルスを疑った?」

「そこは長年あいつを見てきたからだ。学生時代からヒューズ統一国を目指していたからな。そういう思想を持ってた。条約や協定、そんなものは関係ない。それがあいつだ。それに今の王と攻め方が違う。魔獣を使うのはウェザーか合理主義者ぐらいだ」

「そうか…」

「ソード、まだ隠してる…」
「だな」

「本当は…」
「お前、王子やる気だっただろ」

「!?」

予想だにしない二人の発言に驚いた。

「「やっぱり」」

「いつ気づいた!?」

「「なんとなく」」

「お前、王子が割り込んできた時、本当はそのまま斬ってもいいと思っただろ」

「焔目になる瞬間にレイさんと飛び出して止めたんだけど、確かに王子の真剣は確実にソードの首を狙ってた。俺が止めなくてもソードは避けてたかもだけど。レイさんに確実に止めてもらわなかったらソードの剣は俺に入ってたかも」

「お前の隙のない間に入って止める方が大変だったよ」

「ですね」

ソードはドサッとベッドにダイブをした。本当ならばソードを殺しに誘い込んだレグルスを二人は許したくは無かったがソード自体も相手と同じ事を思っていたとわかり複雑な心境だった。

「王子殺しなんてさせないからな」
「そんな事しないで」

「……。」

「「はぁ…ソード」」

「ごめん」

二人の言うとおり斬っても良かったと思ってた。でも、後ろで二人の気配がしたから思いとどまった…

レイとロキはソードの顔をやれやれという感じで覗きこんだ。

「ちゃんと俺ら王子と王子妃斬らなかっただろ?」

「約束は守りました。手はだしてません、ソードは足を出したけど」

「まぁ…そうだけど」

「じゃあ、ご褒美あるよな」
「俺も欲しい」

「……。」

今回の一連の流れに二人はソードといる大変さを見に染みていた。すべてソードの中では話が繋がっていて自分たちも知らないうちに事が進んでいた。危険な事も多々あり呆れる部分と守りたいという気持ちやらでいろんな感情が沸き起こる。

「なぁ、こんな大変な奥さんどう思う?」

「うっ…」

「そうですね…無理なんじゃないですか?」

「ん…」

「だよな、ほら口開けろ」

「ん…は…ぁ」

「俺にもキスして」

「んん…はぅ…」

「「俺ら以外は」」

念押しされるように、にこにこ笑う二人はソードに同意を求めた。小さく「はぃ」と返事をし、二人にご褒美を求められるまま素直に尽くした。


□□□

※この話は第一部 2話の後話と91話の後話になります
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