夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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7 ソードとレイ ⑤

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 はっきりいって、ソードの頭の中はぶっとんでいた。その考えは俺の遥か上どころじゃなく、見えないぐらいてっぺんまでいってて理解するのに時間がかかった。

「ソード何でもいいから、お前の事教えろよ」

 ソードから唇を離してそう言った。おい、口を拭うなよ。濃厚なキスのを延々した後、ソードはできるだけ冷静に話した。俺のキスはスルーかよ。

「あー自己紹介すればいいのか?ソード20歳。眼鏡で、目付きが悪くて、ついでに人徳はない。できれば人と関わらず、ひっそりと地味に暮らしていきたい。ちなみに、好きな食べ物は甘いもの」

「フフッなんだそれ」

「それぐらいしか、言うことねーよ」

「冒険者なのか?」

「そーだな、主に剣を使ってる。そーいやあの剣まだあるのか?」

「あぁ、ある。そんなに気になるのか?」

 クローゼットから剣を取り出す。鞘から取り出し差し出すが、いいと言う仕草で手を前に出して取らなかった。剣が見たいんじゃないのか?

「いい剣だな。だが、飾り剣か?いや、使ってるがメインじゃないのか。レイは魔術が主か」

!?

俺は驚いた。この街では一度も見せたことはないし、冒険者の前でも使った事は一度もない。1人で討伐の時に使うが誰にも見せてない。何で分かった?

笑うしかなかった、ほんのちょっと見ただけでわかっちゃうんだからな。

「別に隠してる訳じゃないないんだが、剣を使う冒険者だと何かとわかりやすくて楽だからな」

違う、取り繕うな。
ソードの前でそんなのは必要ない。

「いや違う、魔術士として見られるのが嫌で剣ばっかり使ってた」

「そうか」

それ以上は聞かないのか?何で嫌だとか。それとも知らないうちに嫌な顔でてたか?

「何でわかったんだ?」

「あぁ~剣が綺麗だしな。後は何となく動きとかで」

全く答えになってない。
理解できねぇ、何となくでわかるもんなのかよ。

「あぁ~そうなんだ」

それ以上突っ込めなかった。
知れば知るほどソードが難解になる。

「ソードいつまでいる?」

「後、2.3日てとこかな」

「俺も連れてってくれ」



「………………。」

とてつもない間


「お前と一緒に居たい。すぐ好きにならなくていい。俺も連れてってくれ。離れたくない」

「冒険者としてでもいい。一緒にいたい!」

 止まらない発言にソードは呆れる。

「はぁ…趣味悪いぞ。何で俺なんだよ。レイはあれから魔の森に行ったのか?」

「何回も」

「夜は?」

「何回か」

「1人か?」

「あぁ、主に」

質問責めにあうもきちんと答えていくレイ。

「場所は」

「東エリアまで」

「そうか、良く生きてたな」

「お前探す為だったしな」

ソードが笑って、指を3つ出した。

「俺からの条件は3つ、1つ目は護衛はしない。2つ目は取り繕うな。3つ目は俺の死にかたに口をだすな。これが守れるならいいぞ」

なんだよそれ、ぞくぞくする。

「ぶは!いいぜ!おもしれぇ、やってやるよ!!」

「あ~ちなみに、嘘はついてもいいぞ。すぐバレるから」

くそぉ、何だよその見透かす感じ。
惚れる。俺のに早くなんねーかな。

「もし、守れなかったらすぐ見放してくれて構わねぇ」

当然の覚悟。

「わかりやすくていいね!レイ、よろしく☆」

俺はソードを抱き締めて「ありがとう」と言った。

そして、内心ソードが俺に落ちるのも時間の問題だなと確信してニヤニヤが止まらなかった。

すでに、沼のようにソードにはまったレイはそう思うのであった。


□□□

ソードが買ったお菓子を俺に分けてくれた。

「うまいな」
「な!」

「明日からいろいろ準備する。だから、ソードの宿教えといてくれ。準備でき次第そっち行くから」

「じゃあ、3日後の夜に出る。場所はリーナ通りのサンスターって宿の2階201だ」

「了解」

「あ、他にいいお菓子屋かカフェないか?」

「それなら、リーナから一本路地に入ったマグのクリームサンドがうまい」

「へー」

「後は…」

そんな話をしながら夜更けになり、ソードは自分の宿に帰っていった。


□□□

 思ってたより大変で鬱陶しい。昨日の公開キスは冒険者達にすでに広がりソード探しが始まりかけ、野次馬が俺に話を聞きたがった。

さっさとこの街をでる!要らないものを全部引き取らせ冒険者らしく身軽な軽装をする。持っていても仕方ねぇしな。

セドリックにお礼がしたいと言ったが、要らないと言われた。だが、俺の気がすまなかった。ソードなら何かいいお礼が見つかると思い次の日3人で出掛けることにした。

「よう!セドリック」

「レイ、ソード君悪いね。別に良かったのに」

「レイの世話になった人にお礼をするのは当たり前です」

「あ、ちなみにソード20歳な」

「早く言えよ!」

「ソード君なんて、呼んじゃったじゃねぇか」

「呼び捨てでいい。俺もセドリックって呼ぶ」

ソードは笑いながら言った。
セドリックとなら普通に話せるみたいだな。

「こいつ武器マニアだから武器屋行こう。そこでいい武器あったらそれにしよう」

ソードなら俺より経験豊富だからいい武器を見て貰えるんじゃないかと軽い気持ちで店に入った。

セドリックは大剣か斧使いで、力強い武器が好みだが……

「ソードどう思う?セドリックに合いそうなのあるか?」

じっとセドリックを見て店を見渡した。

「ん~他にも武器屋あるか?」

「あぁ、別の店行くか」

 御眼鏡に叶うのは無かったか。次の店にも入ったがそこにも無かったようだ。ソードは少し考えてアンティークな店か短剣に強い店はないかと聞いてきた。こいつに短剣?と思ったがソードには考えがあるみたいだった。

セドリックに店の心当たりがあるみたいでついついった。俺は入ったことの無い店で古ぼけた小さな店だった。

「ソードここに有りそうか?」

と聞いたらすぐに

「あったぞ!」

と嬉しそうに言った。
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