6 / 130
6 ソードとレイ ④
しおりを挟む俺はソードを自分の部屋に招き入れた。意外にも部家に案内してほしいと言ったのはソードからの提案だった。まだ、警戒心は全部は解けてないはずなのに。
少し違和感の残る顔をしていたらソードがその方が話しやすいだろと言った。
何となくだが気持ちが落ち着かなかった。
椅子を勧めたがソードは座らず壁にもたれながら話を進めた。
「で、レイは何を話したい?それとも聞きたいか?」
ストレートだな。ま、わかりやすくて俺はいいな。
飲み物を手渡し、俺は椅子に座る。
「ソードの事何でも」
ソードは少し笑った。
「じゃあ、俺から先に聞いてもいいか?」
「あぁ」
なんだ…俺の部屋にいるのに落ち着かねぇ。
「何で俺を探したんだ?」
どういう意味だ?
「さっき話した通りだが、お礼が言いたくて」
ん?なんだ、この違和感。
「お礼が言いたくて俺を探したのか?」
そうだと素直に言えない。
「……。」
「お礼を言いたかっただけか?」
違う。
確かにお礼もいいたかったが本当の理由じゃねぇ。
「……。」
「で、お前の本当の理由はなんだ?言ってみろ」
「……俺は…」
自分でもよくわからない。
「あの森で魔獣を追いかけている途中、思ったより中に入り込んでいて。俺はこれ以上の深追いはまずいと思って帰ろうとした時にソードが視界に入った。すげー早さで魔獣を追いかけたお前に好奇心が勝って追いかけた。そこで、あの魔獣の数に足がすくんでいたらソードが現れ全部倒した」
自分の確信に迫りつつ、昔の経験を思い出すように勝手に口が開いた。
「その時、ソードの目が焔色に光ってて。そこから目が離せなくて。どうしようもない気持ちになってた」
そうだ、俺のこの感覚。
「その目で俺を見てほしくて思わず声をかけた」
「……。」
「それから……月光を背に光るその焔色の瞳を俺の物にしたくて堪らなかった」
冷静だが一瞬にして圧を感じる。感情の無い目で俺を見ながら言う。
「お前は俺の焔目が欲しいのか?」
違う。違わないけど、違う。
これはもっと……
俺は首を振る。
空気が軽くなった。
「はぁ…」
もっていた飲み物を机に置きソードはため息をついて、眼鏡を外した。
「俺の目は黒だ。お前が言う焔色の目は自分では見れないから、わかんねぇ。
それに眼鏡をかけてないと視界はぼやける。そんな両目でも俺には、まだ必要だからあげれない。諦めろ!
何かいろいろ隠してるように見えたからついてきたが、嘘はついて無いみたいだな。」
焔色じゃないその目が俺を見ていた。関係ない、目の色なんて。
たった今、気がついた。
ソードの瞳に映りたくて見てほしくて、他のやつらに渡したくない。俺の事もっと興味もって欲しい。
まだ、出会って2回目なのに。俺の本心に迫ってくる。自分が優位だったこの部屋なのにいつの間にかソードのテリトリーにいるような感覚。自分の本心を見透かされて気づかされ素直にさせられる。なんでか、わかんねぇが堪らなく…
「ソード、好き」
あ、やっと言えた。
「俺の焔目なら、諦めろ」
「……。」
ちげぇよ。
俺の愛の告白を勘違いしやがって!
この場で思いしれ!
「ソード、目悪いんだよな?」
「あ?あぁ」
「今も見えねぇの?」
「あぁ、ぼやけて見える」
「……。」
俺はソード前まで近づく。上目で俺を見るソードと少し距離がある。
「これは?」
「ぼやけてる」
少し顔を近づける。
「じゃあ、これは?」
「さっきよりわかるかも」
また、近づく。
「じゃあ、これは?」
「あ、ハッキリわかる」
俺の顔がソードの瞳に映る。
「じゃあ、そのまま俺の顔ずっと映しとけ!」
「は?」
そう言って目を開けたままのソードにキスをした。
ちゅ、ちゅ、はむはむ
「目、絶対つぶるなよ」
そして、目を開けてるソードに濃厚なキスを延々してやった。俺の好きを思い知れ!!
ちなみに、魔の森で俺が引き返すさずそのまま魔獣を追いかけていたら、死んでいたらしい。俺を誘導して群れに誘いこもうとしたんだと。まー結局ソード追いかけちまったんだけど。
□□□〈セドリック〉
ビビった!!
まさかレイがクラークス家だったとはな。てか本名いま知った。幸い聞いてるのは俺とソード君だけだ。まぁ、俺が何か聞くきも誰かに話すつもりもさらさらないけどな。
レイが言わなかったんだから知られたくない一つだったんだろうな。
てか、レイが凄い勢いで駆け出したと思ったら、菓子屋の前でフードの男とキスをしたのにも驚いた。
まるで、流行りの恋愛本みたいな感じだったな。野次馬までくる騒ぎだ。レイは女作っても人前で絶対あんな事しねーし。あれが探し人なのはすぐわかった。
「見つけた」
「見たらわかる」
意外だったな。もっと、男でも女でも可愛らしとか美人とかだったとかわかるんだが普通だな。と、この時思っていた自分を撤回したい。
店についたレイは気がついてんのか知らねぇが、端から見たら口説いてる様にしか見えない。どうみてもいろんな意味での好きだろうに。
まぁいいか。
1年も探してたんだ俺がいたら邪魔だな。
「良かったな」
さてと、武器屋でもいくかな。
いや、今日は菓子屋だな、甘いもの食いてぇ。
いい天気だな~
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
メスビッチお兄さん研修センター
橘 咲帆
BL
国の保護対象でもある「メスビッチお兄さん」の研修センター
「はっ。堪らない。マコト、貴方のナカ、温かくて渦をまくように蠢いています。カズノコ天井・・・なんて名器だ。」
「やんっ♡ぼく、まんねんFらんくっ♡」
万年Fランクのメスビッチお兄さん、アラフォーのマコトと期待の新人トレーナー田中による研修が始まります。
※アホエロです
※メスビッチお兄さん、雄導弁は設定をお借りいたしました。
※ムーンライトノベルズ様にも掲載いたします。
※18禁の内容が含まれる話にはタイトルに「※」を付けます。
マッサージはお好きですか?
浅上秀
BL
マッサージ師×サラリーマン ※R18
仕事に疲れたサラリーマンの佐藤が同僚の女性社員におすすめされ癒しを求めて訪れたマッサージ店。
そこでマッサージ師の渡辺に出会い、気持ちよくさせられてしまうお話。
本編 四話
番外編 更新中
完結済み
…
短編 BL
なお作者には専門知識等はございません。全てフィクションです。
親友に流されて電マ責めされることになってしまった
冷凍湖
BL
あらすじ
ノリに流されて親友に電マ責めされちゃうちょろい大学生の話。無理矢理っぽい感じからのハピエン
注意事項
電マ責め/♡喘ぎ/濁点汚喘ぎ/んほぉ系/潮ふき/本番なし/とにかく好きに書きました!地雷ある方ご自衛ください!
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる