夜の冒険者は牙をむく

かぷか

文字の大きさ
上 下
1 / 130

1 冒険者たち

しおりを挟む

「気持ちいいな…」

「だな~」
「ですね~」

そうつぶやく俺達は今、小高い丘の草上に寝転がり午後の風を感じていた。


いい天気だな………………


………………

「って、おい!こんな所で寝てる場合じゃねぇ!」

「あ?」
「え?」

「俺ら依頼受けてんだからな!さっさと終わらせるぞ!」

「ソードがちょっと横になるって言ったんだろ~」
「そうですよ!」

あぶね、あぶね。危うく午後の誘惑に負けるとこだった!

二人の呆れ顔は無視して立ち上がり辺りを探す。

俺が探すのを見て何だかんだで二人とも協力してくれるからありがたい。

「ほらよ」

そう手渡してくれたのはレイ=ルーベンス=クラークスで俺と一緒に冒険者をしてる。見上げるとスッキリとした首もとでウェーブがかったシルバーの髪が前髪にかかり濃いパープルの目が俺を写す。耳にはピアスが2つ。

「サンキュー☆」

「これどーぞ」

もう一人俺に薬草を手渡してくれたのはロキ=フォレスター。こいつは孤児だった時から知った顔。だいぶ、いや、かなり?その時から成長して俺よりもでかくなった。赤髪に茶色の目。ニコリと笑った顔は少し幼く感じる。

「ありがと☆」

そう、俺はこの二人と長らく冒険をしている。

「ソードそれで全部か?暗くなる前に街に戻るぞ」
「うん」

三人は街に戻って行った。

 この薬草依頼が好きなちょっと変わり者の冒険者はソード=オーデナリー。

□□□

『クイーンヒューズ国』この世界でも有数の大国。軍事、宗教、武力、魔力、討伐と共に揺るぎない権力を振るっている。中でも、軍事には力を入れていて時おり他国と領土や輸入で争っている。知らない人はいない誰しもが知る国である。
何でも、女神が一番初めにこの地に現れたと言われたとかで『蒼生の国』とも呼ばれている。

そんな王都下にある街の1つ「ガルシア」は活気もあり人や物であふれている。ガルシアの中心部には討伐依頼など冒険者の建物があり、いつも人でごった返している。

「さっさと報告して金もらってくる」

「一緒にいくか?」

「いや、混んでるし一人ですぐ終わらせてくる」

「じゃあ、入り口でまってる」

そう言って二人を入り口に待たせ俺は中に入る。
人、人、人、人………
俺はこの人混みが苦手だ。なんなら、この国自体苦手だ。

列に並んでいたが、ゴツンと肩を当てられ邪魔だと言われんばかりに目を向けられる。受付のお姉さんですら愛想が悪い。むしろ睨まれている。

お金をもらってフードを深く被る。こんな事なら初めから被ればよかった。そそくさと、レイとロキがいる入り口に向かった。

「おまたせ」

「また、何かあった?」

「…別に」

なんかあったな。二人は顔を見合わせた。

「お前、本当よく嫌がらせうけるよな。薬草なんて初心者中の初心者がやる依頼なんて受けるからだ」

「依頼と嫌がらせは別だし。討伐依頼受けても一緒だ!それに、薬草依頼はのんびりできるからいいんだよ!」

機嫌の悪いソードにロキが話を変えてくれた。

「まぁまぁ、ちょっと早いけどご飯行きましょう」

「だな、この時間なら空いてるしな。お前に嫌がらせするやつなんてほっといて飯くうぞ。それにここなら、美味しいお菓子とかあんじゃね?後で買って宿で食べようぜ」

「うん」

といい、レイはソードの頭をフードの上から撫でた。話をしながら3人で歩いていたら後ろから男が声をかけてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もっと、孕ませて

ナツキ
BL
3Pのえちえち話です。

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話

雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。  諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。  実は翔には諒平に隠している事実があり——。 諒平(20)攻め。大学生。 翔(20) 受け。大学生。 慶介(21)翔と同じサークルの友人。

【完結】海の家のリゾートバイトで口説かれレイプされる話

にのまえ
BL
※未成年飲酒、ビールを使ったプレイがあります 親友の紹介で海の家で短期アルバイトを始めたリョウ。 イケメン店長のもとで働き始めたものの、初日から常連客による異常なセクハラを受けた上、それを咎めるどころか店長にもドスケベな従業員教育を受け……。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話

あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは マフィアのボスの愛人まで潜入していた。 だがある日、それがボスにバレて、 執着監禁されちゃって、 幸せになっちゃう話 少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に メロメロに溺愛されちゃう。 そんなハッピー寄りなティーストです! ▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、 雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです! _____ ▶︎タイトルそのうち変えます 2022/05/16変更! 拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話 ▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です 2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。   ▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎ _____

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

処理中です...