128 / 148
松編 ③
26 思わぬ方向へ ②
しおりを挟む
あれから河口君の提案で皆で円卓を囲み話し合うことに。にしてもセサミさんがとても機嫌がいい、さっきと全然違う。
「フィグル、松君さんはどこの領土出身者だ」
「人妻でしょ」
「ウォルナット、貴様は黙れ!」
「こいつには一番知られたくない。あと、その側近もだ」
二人は壁を向かされた。
フィグはアイコンタクトでマルベリーにだけ松が異世界人でソルトと正式ではないが伴侶となっていると伝えた。以下アイコンタクトで全員が会話をする。
【フィグル、別に悪いことではないのではないか。やまとさんのように公表して相手から祝いを受けたらどうだ?あちらからしてみたら地位向上で大喜びだぞ】
【そんな事をしたら松君さんがどうなるかわからない】
【それならば伴侶だけでも話したらどうだ。王妃様の友人と言うだけでもあちらは盛大なお祝いをするのではないか】
【松君さんは儀式を望んでいない。それに、ナグマに住んでいないし仕事もあちらでしている。連れてくるのは難しい。それにどうやってこちらと行き来ができるか知っているのは俺とクラム、ソルトだけだ。これ以上は教えるつもりはないから下手に詮索されては困る。これは母上にも話せないから二人の婚姻はできるだけ公表したくない】
【そうか、そうだな。手放しには喜べないな】
【儀式をしていない伴侶はナグマの秩序を乱す。できれば松君さんが儀式をしたいと思うまではこの方法をとる。ソルトならそれが可能だと判断した】
【なるほどな。黙っておくのがいいな。セサミには私から口止めをしておくが松君さんといい感じだと知ってからセサミの顔が緩みっぱなしだ】
【できれば知られたくはなかったがやまとが話してしまった】
【ならば、どうするのだ。ヒマイラがナグマで活躍などあちらの耳にはいれば不思議がるし約束が違うと言われるぞ】
【わかってる】
【因みにソルトさんの城は大変体裁を気にする城です。周りは何も言わなくとも自分達が惨めだと感じるならばソルトさんを引き取り静かに暮らしてもらおうと思うのは普通です。自尊心が強いためそれをソルトさんにも強要する傾向があります。ですから一度名が傷つけば価値無しとみなされます】
【そうか。セサミも確かに自尊心が高い。側近としては優秀だが曲げない所はある。特に婚儀やお付き合いに関しては徹底している。だから未だに未婚なんだが】
【向こうからの永久追放は好都合だったんだが親族に知られるとなればいろいろ隠しとおせない】
【ならばせめて松君さんにナグマでの役職と地位をつけるべきだな。いつまでもフィグルの友人で他の奴に隠し通すのはいずれぼろが出て厳しいぞ。職業の名目をつけてやればナグマで働いている事が自然と浸透する。ナグマ民であるというのを印象づけたらどうだ?】
【それは良い考えです。それならば逆にやまとさんのご友人と紹介してもおかしくないです。ナグマのご友人とすればいかがでしょうか?】
【わかった。ただ、松君さんは特別に護衛がいるからあまり目立たせたくない】
【なんだ、何かあるのか】
【男が苦手な上、数ヶ月前に輩に襲われている。大事には至らなかったがそれを助けたのがソルトだ。その後伴侶になった。だから松君さんにはできるだけ知らない人を近づけたくない】
【なんとも美談だが周りに話せないのが惜しいな。となれば確かに大事にできないな。なんにせよ一度あちらへ報告しに行かなければならないな】
なんだかさっきから神妙な顔をして皆で黙ったままだがアイコンタクトは俺にはわからない。ソルトは俯いたままだし。河口君は頷きながら聞いている。そうか、河口君はナグマ語わかるからアイコンタクトの内容理解できるんだ。
あ、目があった
しっかり頷いてこっちみてる
嫌な予感しかない
「はい!」
「どうされました?やまとさん」
「松君がソルトさんの城に行って報告したらいいと思います!」
やっぱり…
「やまと、それは松君さんが危険過ぎる」
「危険にはなりません!だって俺の松君に怪我させたらフィグが黙ってないでしょ。それに俺も黙ってない。だから、俺も行く!」
河口君…
「やまとさんが城から出るなんて!」
「だって…」
「やまとが城を出るのはもっと危険すぎるから駄目だ。準備が間に合わない」
「えー俺も行きたいんだけど」
【気持ちはわかるが今回は駄目だ。やまとはお付き合い宣言をするほうがいいのか?】
「うん、ちょっとフィグこっち」
河口君はフィグさんとこそこそ話をした。
「だが…」
「こう話せば?役職は…」
「クラム、来い」
「はい。……。なるほど」
その後はマルベリーさんが「わかった」と言った。四人で話がまとまると二人を表に向かせて説明した。
「セサミ。ソルトと松君さんをそちらの城に一時的に帰らせる許可はとる」
「感謝致します!」
「松君さんに何かあればソルトの大罪を公表する。その意味はわかるな」
「はい。そうなれば我が一家はナグマに住むことはできません。傷一つつけないようお返しします」
「セサミ、今回はソルト自身の報告だけだ。監禁及び連れ戻しは許さん。それと二人が付き合っている話は報告するつもりはない」
「え!!ですがマルベリー様これは名誉なことで…」
「浮かれるのはわかるが二人が付き合っているからといって婚儀までするとは限らないだろう。ヒマイラの身辺報告のみだ」
「では…お二人はどこまでの関係ですか。ヒマイラ様は婚儀相手としかしないです」
あ~なるほどさっきの連れ戻す態度から手の平を返すようにご機嫌になったのはそう言うことか。河口君の一言で状況が変わったんだな。ソルトはもともと婚儀まで体を許す事はなくてお付き合いをする=結婚相手と皆は思っているんだ。生粋の箱入りだからただのお付き合いはするはずがないってことで俺と結婚かもしれないって浮かれたのか。
河口君の友人となれば名誉も保たれるしソルト家にとっては願ってもない名誉挽回ってことか。それを察したフィグさんはソルトの城の人に隠したい感じかな。マルベリーさんがしっかり口止めしたのもそのためか。なら、俺がそれに乗っかればいいわけだ。
「王妃様も話しただろう」
「では今一度、確認をとらせてください。無礼を承知で松君様に発言をお許しください」
「はぁ…松君さん、内容によっては答える必要ない」
「わかりました」
「ヒマイラ様とはその…触れ合いの関係ですか?」
ナグマでのお付き合いは体の関係が許されている。つまり俺とソルトが体の関係だあるかどうかだが何で俺がここで公表しなきゃいけないんだと思う。河口君めちゃくちゃみてくるじゃん。こういうときの俺は平然と嘘をつける。
あの一回以外は
「無いです!」
「そうなんだ…」
「そう…ですか」
なんで河口君までがっかりした返事すんの!
いや、ちょっと疑いの目を向け始めてる。目線を変えてフィグさんの顔を見ると軽く頷いていた。てことはこれでいいんだな。
「その程度のお付き合いです。先ほど河口君が言ってたと思いますがいい感じというだけです」
マルベリーさんが少し鼻で笑っていたが悪い感じの印象ではなかった。どちらかというと良くできましたといった感じかな。
「セサミわかったか」
「はい…」
「マルちゃんなんでそんな嘘…バキッ」
今物凄い音をたててフィグさんのお父さんが床に倒れた。
「気にするな。気絶している間にこいつを持って帰る」
「ああ」
「では、ソルトさんの城へ改めて伝達致しますので急ですが明日には伺います」
そう言ってその場は解散になっただが結局俺がソルトの城へいくことが決まったみたいだ。河口君は羨ましそうだったけど俺的には嫌な予感しかしてない。ソルトはというと不安そうな顔をしていたが河口君が大丈夫といって元気付けていた。
「フィグル、松君さんはどこの領土出身者だ」
「人妻でしょ」
「ウォルナット、貴様は黙れ!」
「こいつには一番知られたくない。あと、その側近もだ」
二人は壁を向かされた。
フィグはアイコンタクトでマルベリーにだけ松が異世界人でソルトと正式ではないが伴侶となっていると伝えた。以下アイコンタクトで全員が会話をする。
【フィグル、別に悪いことではないのではないか。やまとさんのように公表して相手から祝いを受けたらどうだ?あちらからしてみたら地位向上で大喜びだぞ】
【そんな事をしたら松君さんがどうなるかわからない】
【それならば伴侶だけでも話したらどうだ。王妃様の友人と言うだけでもあちらは盛大なお祝いをするのではないか】
【松君さんは儀式を望んでいない。それに、ナグマに住んでいないし仕事もあちらでしている。連れてくるのは難しい。それにどうやってこちらと行き来ができるか知っているのは俺とクラム、ソルトだけだ。これ以上は教えるつもりはないから下手に詮索されては困る。これは母上にも話せないから二人の婚姻はできるだけ公表したくない】
【そうか、そうだな。手放しには喜べないな】
【儀式をしていない伴侶はナグマの秩序を乱す。できれば松君さんが儀式をしたいと思うまではこの方法をとる。ソルトならそれが可能だと判断した】
【なるほどな。黙っておくのがいいな。セサミには私から口止めをしておくが松君さんといい感じだと知ってからセサミの顔が緩みっぱなしだ】
【できれば知られたくはなかったがやまとが話してしまった】
【ならば、どうするのだ。ヒマイラがナグマで活躍などあちらの耳にはいれば不思議がるし約束が違うと言われるぞ】
【わかってる】
【因みにソルトさんの城は大変体裁を気にする城です。周りは何も言わなくとも自分達が惨めだと感じるならばソルトさんを引き取り静かに暮らしてもらおうと思うのは普通です。自尊心が強いためそれをソルトさんにも強要する傾向があります。ですから一度名が傷つけば価値無しとみなされます】
【そうか。セサミも確かに自尊心が高い。側近としては優秀だが曲げない所はある。特に婚儀やお付き合いに関しては徹底している。だから未だに未婚なんだが】
【向こうからの永久追放は好都合だったんだが親族に知られるとなればいろいろ隠しとおせない】
【ならばせめて松君さんにナグマでの役職と地位をつけるべきだな。いつまでもフィグルの友人で他の奴に隠し通すのはいずれぼろが出て厳しいぞ。職業の名目をつけてやればナグマで働いている事が自然と浸透する。ナグマ民であるというのを印象づけたらどうだ?】
【それは良い考えです。それならば逆にやまとさんのご友人と紹介してもおかしくないです。ナグマのご友人とすればいかがでしょうか?】
【わかった。ただ、松君さんは特別に護衛がいるからあまり目立たせたくない】
【なんだ、何かあるのか】
【男が苦手な上、数ヶ月前に輩に襲われている。大事には至らなかったがそれを助けたのがソルトだ。その後伴侶になった。だから松君さんにはできるだけ知らない人を近づけたくない】
【なんとも美談だが周りに話せないのが惜しいな。となれば確かに大事にできないな。なんにせよ一度あちらへ報告しに行かなければならないな】
なんだかさっきから神妙な顔をして皆で黙ったままだがアイコンタクトは俺にはわからない。ソルトは俯いたままだし。河口君は頷きながら聞いている。そうか、河口君はナグマ語わかるからアイコンタクトの内容理解できるんだ。
あ、目があった
しっかり頷いてこっちみてる
嫌な予感しかない
「はい!」
「どうされました?やまとさん」
「松君がソルトさんの城に行って報告したらいいと思います!」
やっぱり…
「やまと、それは松君さんが危険過ぎる」
「危険にはなりません!だって俺の松君に怪我させたらフィグが黙ってないでしょ。それに俺も黙ってない。だから、俺も行く!」
河口君…
「やまとさんが城から出るなんて!」
「だって…」
「やまとが城を出るのはもっと危険すぎるから駄目だ。準備が間に合わない」
「えー俺も行きたいんだけど」
【気持ちはわかるが今回は駄目だ。やまとはお付き合い宣言をするほうがいいのか?】
「うん、ちょっとフィグこっち」
河口君はフィグさんとこそこそ話をした。
「だが…」
「こう話せば?役職は…」
「クラム、来い」
「はい。……。なるほど」
その後はマルベリーさんが「わかった」と言った。四人で話がまとまると二人を表に向かせて説明した。
「セサミ。ソルトと松君さんをそちらの城に一時的に帰らせる許可はとる」
「感謝致します!」
「松君さんに何かあればソルトの大罪を公表する。その意味はわかるな」
「はい。そうなれば我が一家はナグマに住むことはできません。傷一つつけないようお返しします」
「セサミ、今回はソルト自身の報告だけだ。監禁及び連れ戻しは許さん。それと二人が付き合っている話は報告するつもりはない」
「え!!ですがマルベリー様これは名誉なことで…」
「浮かれるのはわかるが二人が付き合っているからといって婚儀までするとは限らないだろう。ヒマイラの身辺報告のみだ」
「では…お二人はどこまでの関係ですか。ヒマイラ様は婚儀相手としかしないです」
あ~なるほどさっきの連れ戻す態度から手の平を返すようにご機嫌になったのはそう言うことか。河口君の一言で状況が変わったんだな。ソルトはもともと婚儀まで体を許す事はなくてお付き合いをする=結婚相手と皆は思っているんだ。生粋の箱入りだからただのお付き合いはするはずがないってことで俺と結婚かもしれないって浮かれたのか。
河口君の友人となれば名誉も保たれるしソルト家にとっては願ってもない名誉挽回ってことか。それを察したフィグさんはソルトの城の人に隠したい感じかな。マルベリーさんがしっかり口止めしたのもそのためか。なら、俺がそれに乗っかればいいわけだ。
「王妃様も話しただろう」
「では今一度、確認をとらせてください。無礼を承知で松君様に発言をお許しください」
「はぁ…松君さん、内容によっては答える必要ない」
「わかりました」
「ヒマイラ様とはその…触れ合いの関係ですか?」
ナグマでのお付き合いは体の関係が許されている。つまり俺とソルトが体の関係だあるかどうかだが何で俺がここで公表しなきゃいけないんだと思う。河口君めちゃくちゃみてくるじゃん。こういうときの俺は平然と嘘をつける。
あの一回以外は
「無いです!」
「そうなんだ…」
「そう…ですか」
なんで河口君までがっかりした返事すんの!
いや、ちょっと疑いの目を向け始めてる。目線を変えてフィグさんの顔を見ると軽く頷いていた。てことはこれでいいんだな。
「その程度のお付き合いです。先ほど河口君が言ってたと思いますがいい感じというだけです」
マルベリーさんが少し鼻で笑っていたが悪い感じの印象ではなかった。どちらかというと良くできましたといった感じかな。
「セサミわかったか」
「はい…」
「マルちゃんなんでそんな嘘…バキッ」
今物凄い音をたててフィグさんのお父さんが床に倒れた。
「気にするな。気絶している間にこいつを持って帰る」
「ああ」
「では、ソルトさんの城へ改めて伝達致しますので急ですが明日には伺います」
そう言ってその場は解散になっただが結局俺がソルトの城へいくことが決まったみたいだ。河口君は羨ましそうだったけど俺的には嫌な予感しかしてない。ソルトはというと不安そうな顔をしていたが河口君が大丈夫といって元気付けていた。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる