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松編 ③
27 思わぬ方向へ ③
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「やまとさん、なぜあの二人にいかせたんだ?クラムに報告を任せても良かったんじゃないか?」
「自分の事は自分で話した方が向こうも納得してくれるし。それに二人は結婚してるから。大好きな松君が居れば嫌な報告でも心強いでしょ?俺ならフィグが居たら心強いなって」
「なるほど」
にこにこ答えるやまとの頭を撫でた。
「あの二人は随分良い関係だな」
「松君とソルトさん?」
「そうだ。対照的なのに似ている。夫婦とはそういうものかもしれないな」
「じゃあ、俺もフィグと似てますか?」
「ああ、似ていると思う」
あの強靭とどの辺が似ているのだろうか…
むっつり?どこだ??
「準備できたぞ。このまま魔物送りにしてやればいい」
「大丈夫だフィグル。今回は数年は勃たないようにする」
「そんなことをしてるから反動がくる。いい加減こいつを独占するのは諦めろ。こいつの性癖は治らない」
「わかっている!親に説教を垂れるな」
「迷惑なだけだ」
「やまとさんが可愛いからってお前とて私と変わらん。兄弟の中でもお前が一番手がかからんがその分欲は強いからな。やりすぎてやまとさんに逃げられるなよ」
「ふん、母上に言われたくない」
何やらこの会話にはいってはいけない気がした。とっても常識人に見えるフィグのお母さんはたまにとんでもないことを口にする。
「やまとさん、ではまた。今度はゆっくりお茶でもしながら話そう」
「はい!皆さんに宜しくです!」
フィグのお父さんは厳重な箱に詰められナグマ城を出港していった。次はいつ会うのだろうと思いながら手を振り見送った。
「フィグ、お母さんが松君とソルトさんが似てるってさ。俺も何となく分かる気がするんだけど俺とフィグも似てるってさ。考えたんだけどあんまりよくわかんなかった」
「そうか。似ているのはお互いが好きなところだろ」
「うわ、なにそのイチャつき発言!それ、似てるって言いませんからね!」
「やまと、松君さんの役職はあれで良いが護衛は本当につけなくていいのか?」
「最小限でいい気がする。だってソルトさんなら松君守れるし自分の実家に警戒して帰ったら余計うまく行かない気もする。安心してよ手紙書くから。でも、俺書けないから手伝ってくれる?」
「ああ」
てことで部屋に戻ってさっそくソルトさんの城へお手紙を書きます!あらかじめノートに何を書くか決めてフィグに見せた。
フィグはすらすらと読み始める。
「ここの字が違う」
「こう?」
「そうだ」
「内容は?変じゃない?」
「概ねいい」
「直しいる?」
「直しよりこれが気に入らない。初めて手紙を書きます」
「なんで?」
「いつも俺はやまとの一番がいい。そいつより先にやまとから手紙が欲しい」
文面の初めにはいると思ったけどフィグさんの焼きもちが発動してしまった。また、ストレスが溜まってきているのか!こうなると後が大変だから従う!
「わ、わかりました!」
ささっとノートにフィグ好きと書いてハート型に紙を折って渡した。満足したフィグは紙をうちポケットにしまった。なぜかベッドに運ばれるやまと。
「あとは俺が少し書き足してクラムに渡す。やまとは最後のサインだけ俺の手を使って書けばいい」
「え、全部書きたい。折角ノートに下書きしたのに」
「必要ない」
「えー」
「やっとやまとと落ち着いて一緒にいられるんだ。そんな時間はない」
「……うっ」
瞬時にやまとの顔が曇りはじめた。まだ、やまとの仕事したいブームは終わっていなかった。フィグにとっては普段からしている伝達事項にサインは当たり前で要点さえわかっていればあとはやまとのサインさえあれば良いと思っていた。しかし、やまとはそうではなかった。がんばりを無駄にした事に気がついて焦ったフィグはすぐ机に向かいやまとを膝に乗せ自分の手をやまとに握らせた。
「すまない。今のは俺が悪い」
「いいよ。俺の手紙やっぱり意味ない?」
「うっ…いや大いにある。本当に悪かった。胸が痛い…痛すぎる。だから、許してくれ」
やまとのしょんぼり顔に大ダメージを負ったフィグは胸の痛さを紛らわそうとぎゅっとやまとを抱きしめる。
「やまと…ごめんなさい」
「良かった。手紙書き終わったらお菓子食べよ」
「わかった」
フィグの手を取り一生懸命書くやまと。母親に言われた欲が強いという感情を少し抑えなければとやまとの頭でひょこひょこ動くアホ毛を見ながら思った。
「できたー!」
完成するとフィグは頭にキスをした。書き終えた物にフィグはさらっと文面を付け足しサインをする。やまとを抱え護衛にそれを渡すとドアに文字を書き鍵をしめてベッドに連れていきながらキスをした。
……………………
「クラム様、これを」
「わかりました。ご苦労様です」
松君さんの準備はできましたし、あとはこれを確認して届ければ一段落つきます。でもって溜まった仕事を王に押し付ければ完了です。
ああ、私も流石に休みたい。ビタさんがパズルをどこまでできたか早く話を聞きたいです。この騒動のせいでまた婚儀が延びてしまいました。ビタさんは気にしていないようですが私は一刻も早くしたいです。
さてと、やまとさんの手紙ならあちらも納得しますね。どれどれ、これはちゃんとやまとさんの手書きではないですか!素晴らしい。これなら誰も文句は言えませんね。
『 お城の皆さんへ
ソルトさんは罪を償いましたので大丈夫です。
フィグも私も怒っていません。どうか許して
あげてください。
明日、私の大事な友人がソルトさんと一緒に説明 しに行きます。
新雪風味のナグマの夜風を添えて宜しくお願いし ます。
やまと
我が妃が書いた文の内容を汚す奴は魔物送りだ
松君さんに何かあれば城ごと破壊しに行く
やまとを悲しませる奴は誰一人許さん
ソルトに関してはこれが最後通告だ
ダーシャルマジェルダリスカルフィグル 』
「脅迫です!!」
こんな文書き直してもらわねば。ついでに仕事も片付けてもらいます!
また、こんな文字を…
『入ったら魔物送りにする』
コンコンコン
「王!仕事が溜まってます!!出てきてください!」
今回は私も引けません!
ビタさんとのお時間を頂きます!
カチャ
意外とすんなり開きましたね。
「あれ、やまとさん?」
「仕事受けとります!」
「そうですか…」
後ろから不機嫌なフィグがのっそり顔を出した。
「クラム、やまとに渡せ。今からやる」
「はぁ…」
「それと休みを5日間やるから好きにしろ」
「へ?」
バタン
と扉が閉まりました。恐ろしく聞き分けの良い王ですが何かあったのでしょうか。護衛も首をかしげています。何かの前触れでしょうか…逆に怖くなります。
お休みがいただけましたしビタさんとゆっくりできますから良しとしましょう。
あの後ベッドに連れていかれたやまとだがいつもより長めのキスをされていた。クラムの仕事のノックをフィグは無視をしたがやまとがそれを許さなかった。仕事したいモードのやまとは止められない。さっきの事もありやまとにこれ以上嫌われたくないフィグはしぶしぶ仕事を承知したのだった。
「フィグ、俺も手伝う!」
この一言はフィグにとってありがたい言葉などではなく仕事が増える地獄の一言となるのだった。
「自分の事は自分で話した方が向こうも納得してくれるし。それに二人は結婚してるから。大好きな松君が居れば嫌な報告でも心強いでしょ?俺ならフィグが居たら心強いなって」
「なるほど」
にこにこ答えるやまとの頭を撫でた。
「あの二人は随分良い関係だな」
「松君とソルトさん?」
「そうだ。対照的なのに似ている。夫婦とはそういうものかもしれないな」
「じゃあ、俺もフィグと似てますか?」
「ああ、似ていると思う」
あの強靭とどの辺が似ているのだろうか…
むっつり?どこだ??
「準備できたぞ。このまま魔物送りにしてやればいい」
「大丈夫だフィグル。今回は数年は勃たないようにする」
「そんなことをしてるから反動がくる。いい加減こいつを独占するのは諦めろ。こいつの性癖は治らない」
「わかっている!親に説教を垂れるな」
「迷惑なだけだ」
「やまとさんが可愛いからってお前とて私と変わらん。兄弟の中でもお前が一番手がかからんがその分欲は強いからな。やりすぎてやまとさんに逃げられるなよ」
「ふん、母上に言われたくない」
何やらこの会話にはいってはいけない気がした。とっても常識人に見えるフィグのお母さんはたまにとんでもないことを口にする。
「やまとさん、ではまた。今度はゆっくりお茶でもしながら話そう」
「はい!皆さんに宜しくです!」
フィグのお父さんは厳重な箱に詰められナグマ城を出港していった。次はいつ会うのだろうと思いながら手を振り見送った。
「フィグ、お母さんが松君とソルトさんが似てるってさ。俺も何となく分かる気がするんだけど俺とフィグも似てるってさ。考えたんだけどあんまりよくわかんなかった」
「そうか。似ているのはお互いが好きなところだろ」
「うわ、なにそのイチャつき発言!それ、似てるって言いませんからね!」
「やまと、松君さんの役職はあれで良いが護衛は本当につけなくていいのか?」
「最小限でいい気がする。だってソルトさんなら松君守れるし自分の実家に警戒して帰ったら余計うまく行かない気もする。安心してよ手紙書くから。でも、俺書けないから手伝ってくれる?」
「ああ」
てことで部屋に戻ってさっそくソルトさんの城へお手紙を書きます!あらかじめノートに何を書くか決めてフィグに見せた。
フィグはすらすらと読み始める。
「ここの字が違う」
「こう?」
「そうだ」
「内容は?変じゃない?」
「概ねいい」
「直しいる?」
「直しよりこれが気に入らない。初めて手紙を書きます」
「なんで?」
「いつも俺はやまとの一番がいい。そいつより先にやまとから手紙が欲しい」
文面の初めにはいると思ったけどフィグさんの焼きもちが発動してしまった。また、ストレスが溜まってきているのか!こうなると後が大変だから従う!
「わ、わかりました!」
ささっとノートにフィグ好きと書いてハート型に紙を折って渡した。満足したフィグは紙をうちポケットにしまった。なぜかベッドに運ばれるやまと。
「あとは俺が少し書き足してクラムに渡す。やまとは最後のサインだけ俺の手を使って書けばいい」
「え、全部書きたい。折角ノートに下書きしたのに」
「必要ない」
「えー」
「やっとやまとと落ち着いて一緒にいられるんだ。そんな時間はない」
「……うっ」
瞬時にやまとの顔が曇りはじめた。まだ、やまとの仕事したいブームは終わっていなかった。フィグにとっては普段からしている伝達事項にサインは当たり前で要点さえわかっていればあとはやまとのサインさえあれば良いと思っていた。しかし、やまとはそうではなかった。がんばりを無駄にした事に気がついて焦ったフィグはすぐ机に向かいやまとを膝に乗せ自分の手をやまとに握らせた。
「すまない。今のは俺が悪い」
「いいよ。俺の手紙やっぱり意味ない?」
「うっ…いや大いにある。本当に悪かった。胸が痛い…痛すぎる。だから、許してくれ」
やまとのしょんぼり顔に大ダメージを負ったフィグは胸の痛さを紛らわそうとぎゅっとやまとを抱きしめる。
「やまと…ごめんなさい」
「良かった。手紙書き終わったらお菓子食べよ」
「わかった」
フィグの手を取り一生懸命書くやまと。母親に言われた欲が強いという感情を少し抑えなければとやまとの頭でひょこひょこ動くアホ毛を見ながら思った。
「できたー!」
完成するとフィグは頭にキスをした。書き終えた物にフィグはさらっと文面を付け足しサインをする。やまとを抱え護衛にそれを渡すとドアに文字を書き鍵をしめてベッドに連れていきながらキスをした。
……………………
「クラム様、これを」
「わかりました。ご苦労様です」
松君さんの準備はできましたし、あとはこれを確認して届ければ一段落つきます。でもって溜まった仕事を王に押し付ければ完了です。
ああ、私も流石に休みたい。ビタさんがパズルをどこまでできたか早く話を聞きたいです。この騒動のせいでまた婚儀が延びてしまいました。ビタさんは気にしていないようですが私は一刻も早くしたいです。
さてと、やまとさんの手紙ならあちらも納得しますね。どれどれ、これはちゃんとやまとさんの手書きではないですか!素晴らしい。これなら誰も文句は言えませんね。
『 お城の皆さんへ
ソルトさんは罪を償いましたので大丈夫です。
フィグも私も怒っていません。どうか許して
あげてください。
明日、私の大事な友人がソルトさんと一緒に説明 しに行きます。
新雪風味のナグマの夜風を添えて宜しくお願いし ます。
やまと
我が妃が書いた文の内容を汚す奴は魔物送りだ
松君さんに何かあれば城ごと破壊しに行く
やまとを悲しませる奴は誰一人許さん
ソルトに関してはこれが最後通告だ
ダーシャルマジェルダリスカルフィグル 』
「脅迫です!!」
こんな文書き直してもらわねば。ついでに仕事も片付けてもらいます!
また、こんな文字を…
『入ったら魔物送りにする』
コンコンコン
「王!仕事が溜まってます!!出てきてください!」
今回は私も引けません!
ビタさんとのお時間を頂きます!
カチャ
意外とすんなり開きましたね。
「あれ、やまとさん?」
「仕事受けとります!」
「そうですか…」
後ろから不機嫌なフィグがのっそり顔を出した。
「クラム、やまとに渡せ。今からやる」
「はぁ…」
「それと休みを5日間やるから好きにしろ」
「へ?」
バタン
と扉が閉まりました。恐ろしく聞き分けの良い王ですが何かあったのでしょうか。護衛も首をかしげています。何かの前触れでしょうか…逆に怖くなります。
お休みがいただけましたしビタさんとゆっくりできますから良しとしましょう。
あの後ベッドに連れていかれたやまとだがいつもより長めのキスをされていた。クラムの仕事のノックをフィグは無視をしたがやまとがそれを許さなかった。仕事したいモードのやまとは止められない。さっきの事もありやまとにこれ以上嫌われたくないフィグはしぶしぶ仕事を承知したのだった。
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