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松編 ③
3 松の世界へお邪魔します ③
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ずっと行きたかった松の世界はソルトにとって予想以上に情報の多い世界だった。部屋から一歩も出ていないが窓の外に写る景色だけで目一杯だった。余りにも違う世界にショックを受ける。
松のいない時間が物凄く長く感じだんだんと心細くなり不安になっていった。頼りの松も仕事で忙しくしていたため自分の事で負担をかけれないと思いその気持ちを拭おうと努力していたが容量越え寸前に。
そのまま外に出かけてしまったから更に目に写るものが未知過ぎて酔ってしまった。異世界酔いとでもいうのだろうか。遂には倒れるまで我慢をしていたのだ。
松も松で気をつけてはいたが自身の生活をしながらソルトを見るには限界があり上手くフォローできなかった。いつもと違う態度に気がつけず守れなかった事に深く反省をした。元々ソルトは松に合わせる傾向が強く自分の事を後回しにしがち。少しずつ治してはいたがこちらに来た事でそれが強くでてしまった。
頭を優しく撫でながらソルトの青白い顔を見ていた。
「とら様……」
「ん?」
「私は死ぬんでしょうか?」
「は!?」
「こんなに幸せな状況は夢か召される時以外ないかと」
「………。」
「とら様…?」
「死なない。こんな事ぐらいで思うなよ」
「いえ、幸せです」
目をつむるソルトは嬉しそうにした。そんな顔に松も自然と口元が緩んだ。ただ、自分が思っているよりソルトが参っていたんだと内心深く反省をしていたのだった。緩やかな風が吹くとソルトは寝息をたてた。松は携帯を触りながらソルトが自然と目を覚ますまで膝枕を外さなかった。
パチリと目が覚めると辺りは夕方になっていた。
「起きたか?」
と上から声を掛けられ慌てて松の膝枕から離れた。何時間こうしていたのかわからないが松はずっと自分の側にいてくれた事に気が付いた。ゆっくり立ち上がり伸びをする松。家族連れや遊んでいた人達は殆どいなくなっていた。
顔色は良くなりスッキリした様子に安心し、公園の歩道をトコトコと歩く二人は自然と会話が溢れる。
「そーいや、この公園で河口君とフィグさん出会ったらしいよ」
「そうなんですね。何だか私もこちらに来たことが不思議な感覚です」
「まぁ、そうだな。俺もソルトとこっちにいる感覚は不思議かも。そこのベンチにフィグさんが座ってていろいろあって河口君が家に連れてきたんだってさ。俺なら無理だな」
「それは私が座ってても拾ってはくれないですか?」
「当たり前だ。怖すぎるだろ。世の中危ない人だらけだからな」
「とら様、私は危なくないです」
「あっそ。いいから、お参りしてくじ引きして帰るぞ」
「はぃ」
松は神社に行きおみくじを引いて木に結ぶ。ソルトのおみくじの内容を見て自分の結んだ紙にソルトの紙わ絡めるようにしっかり結んだ。
「とら様、他と結びが違いますがいいんですか?」
「いいんだよ。それより買い出ししても大丈夫?」
「はぃ、もう大丈夫です」
「様、は無しな」
「はぃ」
大型量販店に行くと眩しさと音の大きさに驚き入るのに躊躇してしまった。松は持っていた携帯のイヤフォンをつけさせソルトの目を見て大丈夫か聞く。音が軽減され松が自分を見てる事に安心して頷いた。松は自分の服の端をソルトに掴ませ店内に入る。カゴにわからないものがどんどん入れられていく。自分のわかるのは数字………
松の肩を軽く叩き足を止めさせた。振り向く松にイヤフォンを外して聞いた。
「とら、あれ何ですか?」
指を指し示す先は18禁コーナー。
「あれは、河口君とフィグさんの行きつけの場所。俺は買うならネットで買うからいい。入っても良いけど多分お前が暴走しそうだから入れさせない」
「そう…ですか」
やはりナグマ国民は18禁に反応するのだった。
無事にアパートに戻り買ったものを分ける。夕食を食べてお風呂を済ませると一緒にお酒を飲んだ。
「とら様、」
「とらでいいよ」
「とら様の方がなれてます。外ではそう呼びますからいつも通りでは駄目ですか?」
「わかった」
「明日なら出かけれそうなので好きな場所に行って下さい」
「んーじゃあ、家でのんびりしたい」
「とら様?」
「家にいる方が楽だし、それに今日はイカ公園も神社も行ったしな」
「はぃ!」
松が一口飲むとソルトも飲んだ。お酒の飲み比べしているとインターフォンが鳴り大きな箱が届く。それと引き換えに業者は部屋にある物を持って出ていった。
「とら様、ベッドが無くなったら困るのでは?」
「いいんだよ。新しいの買ったから。大きいのは流石に部屋が狭くなるから置けないけどこれならマットだけだし畳めるし落ちない。広げるからちょっと退いて」
松は箱から折り畳みのダブルのマットを広げる。それと枕に布団が2つ。シーツを被せセッティングをした。
「ソルト、ちょっと寝てみて」
言われるままマットの上に横になる。そして松も隣に来た。
「お前でかいから心配だったけどこれなら二人で寝ても大丈夫だな」
「……。」
「今日から一緒に寝るぞ。気になって仕方なかったんだよな」
「とら様」
「なんだよ」
「それは抱いて良いと言う事ですか?」
「はぁ!?違う!」
「ですがこれは私の為にしてくれたんですよね?それはもう抱いて良いと言う許可が下りたことになりませんか?」
「ならない!」
ソルトはすかさず松を抱き寄せた。
「ちょっ、触るの許可制だろ!」
「はぃ、ですが条件付きです。緊急時は許可無く触れて良いことになってます!」
「今、緊急時じゃないだろ!」
「緊急時です!」
「それに俺は抱かれるのは好きじゃない!」
「すみません、約束はお守りします。とら様の許可がでるまでは。追い詰めるつもりはなかったのですが嬉しくて。なら、いつもの私の首輪をつけてもらえますか?」
「……わかった」
持ってきた荷物から首輪と紐を取り出し松に手渡した。松は首輪をソルトにつけると紐を付け手綱をつかむ。ナグマにいるときのいつもの形。首輪を撫でてソルトは嬉しそうにした。
「とら様、いつも通りですね」
「はぁ…まさかここでこれを使うとは思わなかった」
紐を手繰り寄せソルトを引き寄せた。
松のいない時間が物凄く長く感じだんだんと心細くなり不安になっていった。頼りの松も仕事で忙しくしていたため自分の事で負担をかけれないと思いその気持ちを拭おうと努力していたが容量越え寸前に。
そのまま外に出かけてしまったから更に目に写るものが未知過ぎて酔ってしまった。異世界酔いとでもいうのだろうか。遂には倒れるまで我慢をしていたのだ。
松も松で気をつけてはいたが自身の生活をしながらソルトを見るには限界があり上手くフォローできなかった。いつもと違う態度に気がつけず守れなかった事に深く反省をした。元々ソルトは松に合わせる傾向が強く自分の事を後回しにしがち。少しずつ治してはいたがこちらに来た事でそれが強くでてしまった。
頭を優しく撫でながらソルトの青白い顔を見ていた。
「とら様……」
「ん?」
「私は死ぬんでしょうか?」
「は!?」
「こんなに幸せな状況は夢か召される時以外ないかと」
「………。」
「とら様…?」
「死なない。こんな事ぐらいで思うなよ」
「いえ、幸せです」
目をつむるソルトは嬉しそうにした。そんな顔に松も自然と口元が緩んだ。ただ、自分が思っているよりソルトが参っていたんだと内心深く反省をしていたのだった。緩やかな風が吹くとソルトは寝息をたてた。松は携帯を触りながらソルトが自然と目を覚ますまで膝枕を外さなかった。
パチリと目が覚めると辺りは夕方になっていた。
「起きたか?」
と上から声を掛けられ慌てて松の膝枕から離れた。何時間こうしていたのかわからないが松はずっと自分の側にいてくれた事に気が付いた。ゆっくり立ち上がり伸びをする松。家族連れや遊んでいた人達は殆どいなくなっていた。
顔色は良くなりスッキリした様子に安心し、公園の歩道をトコトコと歩く二人は自然と会話が溢れる。
「そーいや、この公園で河口君とフィグさん出会ったらしいよ」
「そうなんですね。何だか私もこちらに来たことが不思議な感覚です」
「まぁ、そうだな。俺もソルトとこっちにいる感覚は不思議かも。そこのベンチにフィグさんが座ってていろいろあって河口君が家に連れてきたんだってさ。俺なら無理だな」
「それは私が座ってても拾ってはくれないですか?」
「当たり前だ。怖すぎるだろ。世の中危ない人だらけだからな」
「とら様、私は危なくないです」
「あっそ。いいから、お参りしてくじ引きして帰るぞ」
「はぃ」
松は神社に行きおみくじを引いて木に結ぶ。ソルトのおみくじの内容を見て自分の結んだ紙にソルトの紙わ絡めるようにしっかり結んだ。
「とら様、他と結びが違いますがいいんですか?」
「いいんだよ。それより買い出ししても大丈夫?」
「はぃ、もう大丈夫です」
「様、は無しな」
「はぃ」
大型量販店に行くと眩しさと音の大きさに驚き入るのに躊躇してしまった。松は持っていた携帯のイヤフォンをつけさせソルトの目を見て大丈夫か聞く。音が軽減され松が自分を見てる事に安心して頷いた。松は自分の服の端をソルトに掴ませ店内に入る。カゴにわからないものがどんどん入れられていく。自分のわかるのは数字………
松の肩を軽く叩き足を止めさせた。振り向く松にイヤフォンを外して聞いた。
「とら、あれ何ですか?」
指を指し示す先は18禁コーナー。
「あれは、河口君とフィグさんの行きつけの場所。俺は買うならネットで買うからいい。入っても良いけど多分お前が暴走しそうだから入れさせない」
「そう…ですか」
やはりナグマ国民は18禁に反応するのだった。
無事にアパートに戻り買ったものを分ける。夕食を食べてお風呂を済ませると一緒にお酒を飲んだ。
「とら様、」
「とらでいいよ」
「とら様の方がなれてます。外ではそう呼びますからいつも通りでは駄目ですか?」
「わかった」
「明日なら出かけれそうなので好きな場所に行って下さい」
「んーじゃあ、家でのんびりしたい」
「とら様?」
「家にいる方が楽だし、それに今日はイカ公園も神社も行ったしな」
「はぃ!」
松が一口飲むとソルトも飲んだ。お酒の飲み比べしているとインターフォンが鳴り大きな箱が届く。それと引き換えに業者は部屋にある物を持って出ていった。
「とら様、ベッドが無くなったら困るのでは?」
「いいんだよ。新しいの買ったから。大きいのは流石に部屋が狭くなるから置けないけどこれならマットだけだし畳めるし落ちない。広げるからちょっと退いて」
松は箱から折り畳みのダブルのマットを広げる。それと枕に布団が2つ。シーツを被せセッティングをした。
「ソルト、ちょっと寝てみて」
言われるままマットの上に横になる。そして松も隣に来た。
「お前でかいから心配だったけどこれなら二人で寝ても大丈夫だな」
「……。」
「今日から一緒に寝るぞ。気になって仕方なかったんだよな」
「とら様」
「なんだよ」
「それは抱いて良いと言う事ですか?」
「はぁ!?違う!」
「ですがこれは私の為にしてくれたんですよね?それはもう抱いて良いと言う許可が下りたことになりませんか?」
「ならない!」
ソルトはすかさず松を抱き寄せた。
「ちょっ、触るの許可制だろ!」
「はぃ、ですが条件付きです。緊急時は許可無く触れて良いことになってます!」
「今、緊急時じゃないだろ!」
「緊急時です!」
「それに俺は抱かれるのは好きじゃない!」
「すみません、約束はお守りします。とら様の許可がでるまでは。追い詰めるつもりはなかったのですが嬉しくて。なら、いつもの私の首輪をつけてもらえますか?」
「……わかった」
持ってきた荷物から首輪と紐を取り出し松に手渡した。松は首輪をソルトにつけると紐を付け手綱をつかむ。ナグマにいるときのいつもの形。首輪を撫でてソルトは嬉しそうにした。
「とら様、いつも通りですね」
「はぁ…まさかここでこれを使うとは思わなかった」
紐を手繰り寄せソルトを引き寄せた。
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