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松編 ③
1 松の世界にお邪魔します ①
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「何でお前がいるんだよ!」
「側近ですから」
「だからって今は違うだろ!」
声をあらげる松の近くにはソルトがいた。
「どーいうことですかフィグさん!」
「すまない」
何故か松のアパートにソルトとフィグが来ていた。許可無くソルトをこちらの世界に連れ出す事を禁止されていた為、自分が打診しない限りはソルトが来る事はないと思っていた。だがしかし、目の前にいるのは正真正銘ソルト。絶対来ないと思っていた相手に松はパニックになる。
「確かにフィグさんの許可があれば連れてこれるのはわかりますが俺の許可はどうなるんですか!」
「どうしてもソルトを城に置いておけなくなって暫く預かって貰いたい」
「は!?」
来たのですら予定外で大事故なのに預かるだと!?
「ちょ、待って下さい。預かるってなんですか。俺はソルトの行き来が禁止だと思って週末こ…いや、何て言うんですか」
行き来ができるなら何も腹くくって決断しなくて良かったじゃん!
「とら様、末永く宜しくお願いいたします」
「お前何いってんだよ!フィグさんもっとわかりやすく説明して!河口君は!?」
「やまとは……」
何だ?
フィグさんが急に険しい顔になったぞ
「まさか、何かあったんですか!?」
「今から取り戻しに行く」
いや、説明全然足りない
「く、クラムさんは!?」
「クラムは俺の変わりに城に残るから無理だ。時間が無い、やまとを迎えに行く。すまないが暫くソルトを頼んだ」
「ちょっと、ちょっと!!」
そう言ってフィグはソルトを置いてナグマへ帰ってしまった。残されはソルトは丁寧にお辞儀する。そして目をキラキラさせ松の部屋を眺めた。
「ソルト、顔」
「…クンクン。これがとら様のお部屋の匂いですか…はぁ……いきそうです」
「匂いだけでいきそうになるな!変態か!」
「はぃ、がんばります!」
来てしまったものは仕方ないと思いこれから起こりうる多大な苦労が想像できげっそりする松は大きくため息をした。
「とら様、大丈夫ですか?」
「全然」
「すみません、極力ご迷惑をおかけするような事はいたしませんので」
「はぁ~別にいいよ」
こうして急に松の家にソルトが追加されたのだった。
松は諦めソルトに荷物を置くよう言いベッドに座らせた。そして一通り約束事を説明をするとソルトに復唱させた。
「わかりました。一人で外にでません。呼び鈴が鳴ってもでません。文字、魔法は出しません。部屋の物は触りません。後、部屋はこの部屋のみで他はありません。ですね」
「よし」
ナグマ城はかなり大きい。しかも城の牢屋は自分のアパートよりも広くて快適。まだ部屋があるかもと勘違いされては大惨事は間違いないなめこちらの世界がこれが普通だと言うことを話した。狭い環境が当たり前の自分とは違いソルトにとっては牢屋以下の生活を強いる事になる。
「お風呂と洗面は勝手に使っていいから。さっき教えたよな、それからこれ冷蔵庫って言って食品入ってるから食べれそうなの後で買って入れとく。好きに食べていいから」
「はぃ」
「後…服か…時間無いからネットだな」
「これでは駄目ですか?」
「駄目だ。痛い。実に痛いからここ以外で着るな」
メジャーで身長や胸囲や股下も測る。適当に選び携帯で注文をするとソルトがじっと見ていた。
「気になる?」
「はぃ、全てが初めてです」
松はいろいろと興味を見せるソルトの横に座り携帯を見せた。写真や動画を見せると驚いていた。そんな、顔が新鮮でちょっと面白いと思った。
ぐぅ~
「とら様お食事はまだですか?」
「まだ。何か食うか。ソルトは?」
「まだですが、だい…」
「おい」
「一緒に…よろしいですか?」
「だな」
松はとりあえず明日のソルトの食事を買いに近くのコンビニに走った。やまともこんな感じだったのだろうかと考えながら前もってこんな時の為にもっといろいろ聞けばよかったと思う松。
部屋に一人残されたソルト。見たことの無いものばかりで不思議だった。キョロキョロすると松の服が落ちていたのに気が付き拾おうとしてやめた。触るなといわれたからだ。
松が帰ってきた。
「悪い、遅くなった」
「いえ、お疲れ様でした」
松は違和感に気がつく。
「まさか、お前…そこから動いてないのか?」
「はぃ、触るなと言われましたのでお風呂と洗面以外は動きませんので安心してください」
「はぁ…言ったけど、お前の部屋みたいにしてていいから」
「ですが…」
「危ないものがあるから触るなって言っただけで別にそれ以外はない。後で触ったらいけないやつ教える。とりあえず食べるぞ」
「はぃ」
机に見たことの無い食べ物がいろいろ並ぶ。食べ方も飲み方もわからない。松は食べながら説明をし、それを見よう見まねで食べる。難しい食べ方に緊張して味までは美味しいかどうかわからなかった。狭いお風呂に入れないのはわかっていたのでソルトにナグマに帰るまでシャワーのみにしてもらい本日は早々就寝モードに入るもベッドは一つ。
明日も仕事がある松はできるなら体を休めたかった。勿論ソルトもそんな事はわかっていた。
「とら様、私なら大丈夫ですから気になさらずベッドを使って下さい」
「んーそうする。悪い」
ソルトは壁にもたれ仮眠するも松は気になってしまう。
「ソルト」
「はぃ」
「狭いけど入れよ」
「いえ、大丈夫です。明日に差し支えます。お休みしてください」
「わかった」
次の日
起きるとソルトは既に目を覚ましていた。昨日は眠れなかったかもしれないと思い、ベッドに入って改めて寝るよう言い残し松は慌ただしく出て行った。
ソルトは部屋に一人残され松の仕事が終わるまで待つしかなかった。先ほど言われた松の言葉に従い「失礼します」と顔を赤らめながらベッドで体を休める事にした。昼過ぎに自然と目が覚め机に置いてある食べれそうな物を選ぶ。
ソルトが選んだのはクリームパン。甘くて簡単に食べれ美味しかった。食事を終え松の部屋にこれた嬉しさを噛み締めて口元が緩む。周りを見渡し不思議な感覚になった。夢にまで見た松の部屋を目に焼き付ける。念のため持ってきた魔石3つ回しをして時間を潰すが窓の外から聞こえる音が気になっていた。昨日の夜よりも音が大きくガヤガヤとした雰囲気。ソルトは窓に近づき閉められていたカーテンを意を決して開けた。
見たことの無い世界が続いていた。余りにもナグマと違いビックリしてカーテンを勢いよく閉める。
「本当に…異世界に来てしまった」
ドキドキする気持ちがおさまらずもう一度カーテンを少しだけ開けてその景色に慣れようと思った。建物は高くスピードのある乗り物が動く。人々は何処へ行くのか忙しなく歩いていた。一気に膨大な情報が頭に入りカルチャーショックを受けつつ不安が入り交じる感情をコントロールする。そしたら急に心細くなり早く松に会いたいと思った。ベッドに行き枕を持ってきて抱き抱えるとじーっと外を眺める。夕方になり、夜になり明かりが灯る。キラキラとした光りが昼のように照らされた。綺麗だなと思っていたら玄関のドアが勢いよく開く。
「ソルト!!」
「とら様?」
真っ暗な部屋に一人でいたソルトを見つけ何故か松がホッとしている。
「良かった~」
「?」
「部屋が暗かったから何かあったかと思った。大丈夫だったか?」
「はぃ、1日外を見ていました。凄いです」
「そっか。悪い、電気の付け方話すの忘れてた」
そう言うと松は電気をつけ着替え始めた。松の姿を見れて安心したソルトは松の姿をずっと目で追う。
「いいえ、心配をおかけしました」
「いや、お前こそ慣れない場所は疲れるし緊張するから何かあったらすぐに言えよ」
「はぃ」
台所に行く松は冷蔵庫を開け野菜を取り出して切り始めた。ソルトが隣に来たため野菜を渡すと綺麗に切った。そうして二人でご飯の準備をする。
「自炊されるのですね」
「少しだけな。旨いかは別だけど」
とは言え松の動きは普段から好きでやっているように手際がよく関心して見ていた。普段見れない松の新たな発見が嬉し過ぎて夢では無かろうかと目が眩む。
「こっち見るな、危ない」
「はぃ」
「なぁ、昼は何食べた?てか、食べれたのかよ」
「はぃ、これを」
鞄からクリームパンの袋を取り出しキチンと畳んであるのを拡げて見せた。とりあえず食べてくれた事に安心をしたがそのゴミを畳んでとってある事に呆れた。捨てろと言われしぶしぶ捨てるソルト。
「後は?」
「以上です」
「少なすぎる。口に合わないかもしれないがもっと食べろよ。お菓子も置いといてやるから、それ一食分のつもりで置いたから」
「はぃ」
そんな会話をしていたらパスタが出来上がった。今度は昨日より緊張がとけ美味しいと感じられた。
そして片付けをする松はソルトにお酒の缶を渡した。開け方に苦戦する様子を見て松がこうだとやってみせその通りにすると簡単に開く。松はお菓子を食べながら昨日聞けなかった話を聞く事にした。
「てか何で城にいちゃいけないんだ?」
「今、城に王のご家族がいらっしゃいまして。とら様と私を見られるのはまずいと仰られそれでここに。正確に言えば週末ナグマにとら様が来ないようにと命を受けました」
「てことは少なくとも今週はソルトを泊めるってことか。フィグさんってお母さんいるの?」
「はぃ、王のご両親共に健在です。行方不明になられた王の父上様がどうやらこちらの城に来ているようです。それを知った奥様が探しにこられたとかで城は騒ぎになってまして。それと、奥様がやまと様にご挨拶に来たんですがその時に去られてしまい取り急ぎ奪還するようです」
「奪還…」
「はい、恐らく一筋縄ではいかないかと」
「そんな凄いんだ」
「私は牢屋に入れられ見ていませんでしたが婚儀後に王の父上がいらして挨拶をされたとか。その時に大罪を犯したと聞いています。元々一癖も二癖もあるお方でして相当だとクラム様がおっしゃってました」
「へーそう言えばフィグさんは犯罪者だって言ってた気がするな。指名手配されてたんじゃなかったっけ?」
「はぃ、ですからとら様がナグマに来ると危険ですから暫くは来ないようにと。お伝えしたので帰国してもいいのですがどうやら私も少し関係があり見つからないようにしなければならないようです。安全になりましたら迎えに来るかと思いますのでそれまでご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いいたします」
こりゃまた大変な事になってそうだと思ったが河口君なら大変って思ってなさそうだ。良くわからないが向こうに行くと今は大変そうだと松は思った。
「ソルト、俺は明日も仕事だからだめだけど週末なら時間とれるからそしたらいろいろ案内する。それまでは暇かもしれないけど悪い」
「はぃ、お気になさらず」
「側近ですから」
「だからって今は違うだろ!」
声をあらげる松の近くにはソルトがいた。
「どーいうことですかフィグさん!」
「すまない」
何故か松のアパートにソルトとフィグが来ていた。許可無くソルトをこちらの世界に連れ出す事を禁止されていた為、自分が打診しない限りはソルトが来る事はないと思っていた。だがしかし、目の前にいるのは正真正銘ソルト。絶対来ないと思っていた相手に松はパニックになる。
「確かにフィグさんの許可があれば連れてこれるのはわかりますが俺の許可はどうなるんですか!」
「どうしてもソルトを城に置いておけなくなって暫く預かって貰いたい」
「は!?」
来たのですら予定外で大事故なのに預かるだと!?
「ちょ、待って下さい。預かるってなんですか。俺はソルトの行き来が禁止だと思って週末こ…いや、何て言うんですか」
行き来ができるなら何も腹くくって決断しなくて良かったじゃん!
「とら様、末永く宜しくお願いいたします」
「お前何いってんだよ!フィグさんもっとわかりやすく説明して!河口君は!?」
「やまとは……」
何だ?
フィグさんが急に険しい顔になったぞ
「まさか、何かあったんですか!?」
「今から取り戻しに行く」
いや、説明全然足りない
「く、クラムさんは!?」
「クラムは俺の変わりに城に残るから無理だ。時間が無い、やまとを迎えに行く。すまないが暫くソルトを頼んだ」
「ちょっと、ちょっと!!」
そう言ってフィグはソルトを置いてナグマへ帰ってしまった。残されはソルトは丁寧にお辞儀する。そして目をキラキラさせ松の部屋を眺めた。
「ソルト、顔」
「…クンクン。これがとら様のお部屋の匂いですか…はぁ……いきそうです」
「匂いだけでいきそうになるな!変態か!」
「はぃ、がんばります!」
来てしまったものは仕方ないと思いこれから起こりうる多大な苦労が想像できげっそりする松は大きくため息をした。
「とら様、大丈夫ですか?」
「全然」
「すみません、極力ご迷惑をおかけするような事はいたしませんので」
「はぁ~別にいいよ」
こうして急に松の家にソルトが追加されたのだった。
松は諦めソルトに荷物を置くよう言いベッドに座らせた。そして一通り約束事を説明をするとソルトに復唱させた。
「わかりました。一人で外にでません。呼び鈴が鳴ってもでません。文字、魔法は出しません。部屋の物は触りません。後、部屋はこの部屋のみで他はありません。ですね」
「よし」
ナグマ城はかなり大きい。しかも城の牢屋は自分のアパートよりも広くて快適。まだ部屋があるかもと勘違いされては大惨事は間違いないなめこちらの世界がこれが普通だと言うことを話した。狭い環境が当たり前の自分とは違いソルトにとっては牢屋以下の生活を強いる事になる。
「お風呂と洗面は勝手に使っていいから。さっき教えたよな、それからこれ冷蔵庫って言って食品入ってるから食べれそうなの後で買って入れとく。好きに食べていいから」
「はぃ」
「後…服か…時間無いからネットだな」
「これでは駄目ですか?」
「駄目だ。痛い。実に痛いからここ以外で着るな」
メジャーで身長や胸囲や股下も測る。適当に選び携帯で注文をするとソルトがじっと見ていた。
「気になる?」
「はぃ、全てが初めてです」
松はいろいろと興味を見せるソルトの横に座り携帯を見せた。写真や動画を見せると驚いていた。そんな、顔が新鮮でちょっと面白いと思った。
ぐぅ~
「とら様お食事はまだですか?」
「まだ。何か食うか。ソルトは?」
「まだですが、だい…」
「おい」
「一緒に…よろしいですか?」
「だな」
松はとりあえず明日のソルトの食事を買いに近くのコンビニに走った。やまともこんな感じだったのだろうかと考えながら前もってこんな時の為にもっといろいろ聞けばよかったと思う松。
部屋に一人残されたソルト。見たことの無いものばかりで不思議だった。キョロキョロすると松の服が落ちていたのに気が付き拾おうとしてやめた。触るなといわれたからだ。
松が帰ってきた。
「悪い、遅くなった」
「いえ、お疲れ様でした」
松は違和感に気がつく。
「まさか、お前…そこから動いてないのか?」
「はぃ、触るなと言われましたのでお風呂と洗面以外は動きませんので安心してください」
「はぁ…言ったけど、お前の部屋みたいにしてていいから」
「ですが…」
「危ないものがあるから触るなって言っただけで別にそれ以外はない。後で触ったらいけないやつ教える。とりあえず食べるぞ」
「はぃ」
机に見たことの無い食べ物がいろいろ並ぶ。食べ方も飲み方もわからない。松は食べながら説明をし、それを見よう見まねで食べる。難しい食べ方に緊張して味までは美味しいかどうかわからなかった。狭いお風呂に入れないのはわかっていたのでソルトにナグマに帰るまでシャワーのみにしてもらい本日は早々就寝モードに入るもベッドは一つ。
明日も仕事がある松はできるなら体を休めたかった。勿論ソルトもそんな事はわかっていた。
「とら様、私なら大丈夫ですから気になさらずベッドを使って下さい」
「んーそうする。悪い」
ソルトは壁にもたれ仮眠するも松は気になってしまう。
「ソルト」
「はぃ」
「狭いけど入れよ」
「いえ、大丈夫です。明日に差し支えます。お休みしてください」
「わかった」
次の日
起きるとソルトは既に目を覚ましていた。昨日は眠れなかったかもしれないと思い、ベッドに入って改めて寝るよう言い残し松は慌ただしく出て行った。
ソルトは部屋に一人残され松の仕事が終わるまで待つしかなかった。先ほど言われた松の言葉に従い「失礼します」と顔を赤らめながらベッドで体を休める事にした。昼過ぎに自然と目が覚め机に置いてある食べれそうな物を選ぶ。
ソルトが選んだのはクリームパン。甘くて簡単に食べれ美味しかった。食事を終え松の部屋にこれた嬉しさを噛み締めて口元が緩む。周りを見渡し不思議な感覚になった。夢にまで見た松の部屋を目に焼き付ける。念のため持ってきた魔石3つ回しをして時間を潰すが窓の外から聞こえる音が気になっていた。昨日の夜よりも音が大きくガヤガヤとした雰囲気。ソルトは窓に近づき閉められていたカーテンを意を決して開けた。
見たことの無い世界が続いていた。余りにもナグマと違いビックリしてカーテンを勢いよく閉める。
「本当に…異世界に来てしまった」
ドキドキする気持ちがおさまらずもう一度カーテンを少しだけ開けてその景色に慣れようと思った。建物は高くスピードのある乗り物が動く。人々は何処へ行くのか忙しなく歩いていた。一気に膨大な情報が頭に入りカルチャーショックを受けつつ不安が入り交じる感情をコントロールする。そしたら急に心細くなり早く松に会いたいと思った。ベッドに行き枕を持ってきて抱き抱えるとじーっと外を眺める。夕方になり、夜になり明かりが灯る。キラキラとした光りが昼のように照らされた。綺麗だなと思っていたら玄関のドアが勢いよく開く。
「ソルト!!」
「とら様?」
真っ暗な部屋に一人でいたソルトを見つけ何故か松がホッとしている。
「良かった~」
「?」
「部屋が暗かったから何かあったかと思った。大丈夫だったか?」
「はぃ、1日外を見ていました。凄いです」
「そっか。悪い、電気の付け方話すの忘れてた」
そう言うと松は電気をつけ着替え始めた。松の姿を見れて安心したソルトは松の姿をずっと目で追う。
「いいえ、心配をおかけしました」
「いや、お前こそ慣れない場所は疲れるし緊張するから何かあったらすぐに言えよ」
「はぃ」
台所に行く松は冷蔵庫を開け野菜を取り出して切り始めた。ソルトが隣に来たため野菜を渡すと綺麗に切った。そうして二人でご飯の準備をする。
「自炊されるのですね」
「少しだけな。旨いかは別だけど」
とは言え松の動きは普段から好きでやっているように手際がよく関心して見ていた。普段見れない松の新たな発見が嬉し過ぎて夢では無かろうかと目が眩む。
「こっち見るな、危ない」
「はぃ」
「なぁ、昼は何食べた?てか、食べれたのかよ」
「はぃ、これを」
鞄からクリームパンの袋を取り出しキチンと畳んであるのを拡げて見せた。とりあえず食べてくれた事に安心をしたがそのゴミを畳んでとってある事に呆れた。捨てろと言われしぶしぶ捨てるソルト。
「後は?」
「以上です」
「少なすぎる。口に合わないかもしれないがもっと食べろよ。お菓子も置いといてやるから、それ一食分のつもりで置いたから」
「はぃ」
そんな会話をしていたらパスタが出来上がった。今度は昨日より緊張がとけ美味しいと感じられた。
そして片付けをする松はソルトにお酒の缶を渡した。開け方に苦戦する様子を見て松がこうだとやってみせその通りにすると簡単に開く。松はお菓子を食べながら昨日聞けなかった話を聞く事にした。
「てか何で城にいちゃいけないんだ?」
「今、城に王のご家族がいらっしゃいまして。とら様と私を見られるのはまずいと仰られそれでここに。正確に言えば週末ナグマにとら様が来ないようにと命を受けました」
「てことは少なくとも今週はソルトを泊めるってことか。フィグさんってお母さんいるの?」
「はぃ、王のご両親共に健在です。行方不明になられた王の父上様がどうやらこちらの城に来ているようです。それを知った奥様が探しにこられたとかで城は騒ぎになってまして。それと、奥様がやまと様にご挨拶に来たんですがその時に去られてしまい取り急ぎ奪還するようです」
「奪還…」
「はい、恐らく一筋縄ではいかないかと」
「そんな凄いんだ」
「私は牢屋に入れられ見ていませんでしたが婚儀後に王の父上がいらして挨拶をされたとか。その時に大罪を犯したと聞いています。元々一癖も二癖もあるお方でして相当だとクラム様がおっしゃってました」
「へーそう言えばフィグさんは犯罪者だって言ってた気がするな。指名手配されてたんじゃなかったっけ?」
「はぃ、ですからとら様がナグマに来ると危険ですから暫くは来ないようにと。お伝えしたので帰国してもいいのですがどうやら私も少し関係があり見つからないようにしなければならないようです。安全になりましたら迎えに来るかと思いますのでそれまでご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いいたします」
こりゃまた大変な事になってそうだと思ったが河口君なら大変って思ってなさそうだ。良くわからないが向こうに行くと今は大変そうだと松は思った。
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