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番外編
4 攻め会
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これは受け会の裏で行われた攻め会の話しである。
今、フィグは暗い雰囲気の二人を目の前にしていた。普段ならこんな深い話は三人でしないのだがやまとに頼まれて受け会の場を設けることにした為に必然的に三人が揃う。
「「はぁ…」」
「王、ビタさんとできません」
「王、とら様が上手すぎて即イキしてしまいます」
「知らん」
お茶を目の前に二人の表情は暗いまま。ただ、黙って三人を待つのも暇なのでフィグは仕方なく相談に乗ることにした。
「はぁ…話せ、聞いてやる」
「王、ビタさんとは清い付き合いです。ハッキリ言って理想通りです。ハグまでは許してもらいました。ですがそれ以上はできません…」
「自分で処理して解決しろ」
「…それにも限界があります」
「それをビタに話せ」
「話すんですか!ビタさんに嫌われたらどうするんですか!?」
「話し合えば解決の道があるだろ」
「そう…ですが…」
「前も話したが理想と現実がわかった筈だ。頭だけでは解決しない。それに前進したんじゃないのか」
「はぁ…ハグなんて誰にでもできます。どんどん欲が積み上がっていくのです」
「クラム、俺もやまとと早く婚儀がしたかった」
「あ、はい。やまとさんの都合もあり数ヵ月延びましたから同じ状況になりこんなにも辛いとは思いませんでした」
「そうだ。その辛さはわかるからお前もできるだけ早く段取りを組め」
「はい…ありがとうございます」
「クラム様、質問ですがビタさん初めてなんですよね?」
「はい…」
「なら、初夜できなくないですか?」
「「………。」」
ソルトの一言で二人は止まった。
「私は妃候補でしたから慣らしてましたけど、ビタさんハグしかできないのなら初めて無理ですよね」
「王…やまとさんは」
「……相当、かなりキツかった。限界値を越えていた。あれは……生殺しだ…」
「てことは…婚儀しても暫くはできないって事ですか?」
「クラム……がんばれよ」
「王!!解決法を!」
「知らん!自分で何とかしろ。ソルト、お前の話しは何だ」
「はい、私はとら様と口づけしてもらえ…」
クラムのうらめしそうな顔が視界に入るがフィグが話を続けさせた。
「るようになったんですが。上手すぎてすぐにいってしまいます。そしていつも下手だと言われてしまいます。上手くなりたいです…」
フィグはこめかみに指を添えて頭が痛くなりそうになっていた。
「松君さんは元々素質とセンスがあるのだろう。お前がいくらがんばっても追い付く事はないが努力すれば今よりかは良くなる筈だ」
「どういう努力ですか?」
自分でもそんな努力知らんと思いつつも考えた。
「松君さんははっきりしているから言われた通りしてみたらどうだ?」
「はい、ですがそれが下手なようで…」
「ソルトさん!詳しく!私の参考になります!」
「はい、口を半開きにしてついばんだあと舌を入れるんです」
「舌を入れるんですか!?」
「あ、はい。初めては唇だけでしたがそれ以降は舌を入れます。舌を噛まないように合わせるような感じです。舌だけを吸われたりくすぐってきたり、ペロペロ舐めたり」
「くすぐる…」
「はい。そして盛り上がるとお前も舌を動かせと言われるんですが真似しても上手くできなくて」
ナグマにはキス童貞が存在するためこうしてお互いが情報を提供しなければ未知の世界なのだった。
クラムにはちんぷんかんぷんで目を回していた。
「やまと王妃とは何か努力されるんですか?それとも異世界の方が上手なのですか?」
やまととのキスを想像するフィグはいろいろ考えた。
元々やまとはキスを知っていたし自分との口づけは基本自分が主でする。やまとからもする時はゆっくりで小さい舌がピョコピョコ動く。かと思えば激しくしてると大胆に攻めてくるのでいつもその場で違う気がした。
「努力はしてない」
そしてフィグはやまとが一生懸命何かを話してる時に口づけをするのが好きだったりと聞かれてもない好きな場面を思い出していた。その時に舌の裏をなぞるとやまとはすぐに甘い声をだす。可愛い姿が一気に過る。
「舌の裏…何でもない」
「「??」」
「やまとは普通だ。ソルト、練習あるのみだ。松君さんに教えてもらえ」
「わかりました」
「王は悩み無いんですか?」
「特にはない」
「流石です」
「はい」
そんなこんなで時間になりクラムが部屋にはいった。こうして攻め会は解決したようなしたような感じで幕を閉じる。
その日の夜
「ビタさん…お話が」
「はい、私もです」
「お先にどうぞ」
「あ、いえ。私よりクラム様が先に」
譲合いの末にビタが先に話す。
「あの、私…実は。行為をしたことがなくて」
「はい、存じております」
「と言うか一度しか…教育で習った以外。あの…その…」
「?」
「自分でしたことが無いんです!」
「?」
クラムは知っているがと思ったが冷静に考えた。そしてある一つの答えが導かれた。
「自慰もですか?」
真っ赤な顔で頷いた。
これ程までにまっさらは初めてでクラムは神々しくも感じた。このまま自分は一生できないかも知れないと頭を過る。
「あ、あの、あの、な、なので、やり方を……教えて頂けませんか?」
クラムの新たな門が開き開花した瞬間だった。
仏のようにクラムは穏やかな顔になる。
「はい、喜んで」
「あの、クラム様のお話は?」
「あ、私のクソつまらない話はどうでもいいです。ささ、ビタさんこちらへ。怖かったらすぐ止めますから」
「あの、でも、時間が。それに、お話しだけですよね?」
「大丈夫ですよ。お気になさらず。ビタさんの為なら無限にありますから。それに口で説明するのは難しいですから…」
こうしてビタは初めて最強の説明上手のクラムに自慰を教えてもらうのだった。この日からクラムの顔は笑顔に道溢れ周りから恐れられた。
………………
「ソルト、んっ……舌だせ」
松に言われがんばるが上手くできない。今日の事を思い返すも努力しかないと言われた。だが、ふとフィグが舌の裏と言ったのを思い出して、つぅーっと舌裏を舌先でなぞった。松の舌が引っ込み口が離れた。
「すみません。嫌でしたか?」
「今のどうした?」
「えっと、今日、王に口づけの仕方を聞いて…結局努力と言う話しになったんですが。舌の裏と仰られて…」
「へぇ~」
松の機嫌が悪くなる。
もしや、するなという意味だったのかもしれないと思った。
「なぁ、誰が他のやつからキスの仕方教えてもらえって言ったよ」
「え?」
「誰が言ったんだよ」
「だ、誰も、い、言っていません!すみません!」
松はソルトに手枷をしてベッドに固定した。
「と、とら様!」
「今日は口づけしかしてやらね」
「そ、そんな!」
「そんなに知りたいならお前にキスを叩き込んでやるよ」
耳を舐められソルトはぞくぞくした。前も触られずひたすらキスをする松にソルトは悶絶した。
………………
フィグはというと実際問題はあった。
「ねーフィグ、明日は?」
「明日は仕事だ」
「わかった!」
「………。」
やまとの仕事したい病は一種のブームになっていた。やまとに印鑑を押してもらいたい者が列をなして仕事を持ってきてるのだった。前はクラムが選別していたが量が増え裁ききれなくなり大量にたまっている。
それは、城や働く者には士気が上がり良いことなのだがフィグの仕事が大量に増えるのだった。つまり、やまとと過ごす時間が大幅に減る。
「やまと、仕事だが」
「?」
「量が増えた」
「え!俺、手伝うよ!!フィグ、何して欲しい?」
正直、何も。
と言いたかったが言えなかった。
フィグはやまとを抱きしめベッドへダイブ。
「キス」
「え!今、フィグ、キスって…んっ…まっんっ…」
「手伝……んっ!んっ」
この後やまとが仕事を手伝うが結局はさらに増えてしまいフィグが大きなため息をつくはめになるのだった。
今、フィグは暗い雰囲気の二人を目の前にしていた。普段ならこんな深い話は三人でしないのだがやまとに頼まれて受け会の場を設けることにした為に必然的に三人が揃う。
「「はぁ…」」
「王、ビタさんとできません」
「王、とら様が上手すぎて即イキしてしまいます」
「知らん」
お茶を目の前に二人の表情は暗いまま。ただ、黙って三人を待つのも暇なのでフィグは仕方なく相談に乗ることにした。
「はぁ…話せ、聞いてやる」
「王、ビタさんとは清い付き合いです。ハッキリ言って理想通りです。ハグまでは許してもらいました。ですがそれ以上はできません…」
「自分で処理して解決しろ」
「…それにも限界があります」
「それをビタに話せ」
「話すんですか!ビタさんに嫌われたらどうするんですか!?」
「話し合えば解決の道があるだろ」
「そう…ですが…」
「前も話したが理想と現実がわかった筈だ。頭だけでは解決しない。それに前進したんじゃないのか」
「はぁ…ハグなんて誰にでもできます。どんどん欲が積み上がっていくのです」
「クラム、俺もやまとと早く婚儀がしたかった」
「あ、はい。やまとさんの都合もあり数ヵ月延びましたから同じ状況になりこんなにも辛いとは思いませんでした」
「そうだ。その辛さはわかるからお前もできるだけ早く段取りを組め」
「はい…ありがとうございます」
「クラム様、質問ですがビタさん初めてなんですよね?」
「はい…」
「なら、初夜できなくないですか?」
「「………。」」
ソルトの一言で二人は止まった。
「私は妃候補でしたから慣らしてましたけど、ビタさんハグしかできないのなら初めて無理ですよね」
「王…やまとさんは」
「……相当、かなりキツかった。限界値を越えていた。あれは……生殺しだ…」
「てことは…婚儀しても暫くはできないって事ですか?」
「クラム……がんばれよ」
「王!!解決法を!」
「知らん!自分で何とかしろ。ソルト、お前の話しは何だ」
「はい、私はとら様と口づけしてもらえ…」
クラムのうらめしそうな顔が視界に入るがフィグが話を続けさせた。
「るようになったんですが。上手すぎてすぐにいってしまいます。そしていつも下手だと言われてしまいます。上手くなりたいです…」
フィグはこめかみに指を添えて頭が痛くなりそうになっていた。
「松君さんは元々素質とセンスがあるのだろう。お前がいくらがんばっても追い付く事はないが努力すれば今よりかは良くなる筈だ」
「どういう努力ですか?」
自分でもそんな努力知らんと思いつつも考えた。
「松君さんははっきりしているから言われた通りしてみたらどうだ?」
「はい、ですがそれが下手なようで…」
「ソルトさん!詳しく!私の参考になります!」
「はい、口を半開きにしてついばんだあと舌を入れるんです」
「舌を入れるんですか!?」
「あ、はい。初めては唇だけでしたがそれ以降は舌を入れます。舌を噛まないように合わせるような感じです。舌だけを吸われたりくすぐってきたり、ペロペロ舐めたり」
「くすぐる…」
「はい。そして盛り上がるとお前も舌を動かせと言われるんですが真似しても上手くできなくて」
ナグマにはキス童貞が存在するためこうしてお互いが情報を提供しなければ未知の世界なのだった。
クラムにはちんぷんかんぷんで目を回していた。
「やまと王妃とは何か努力されるんですか?それとも異世界の方が上手なのですか?」
やまととのキスを想像するフィグはいろいろ考えた。
元々やまとはキスを知っていたし自分との口づけは基本自分が主でする。やまとからもする時はゆっくりで小さい舌がピョコピョコ動く。かと思えば激しくしてると大胆に攻めてくるのでいつもその場で違う気がした。
「努力はしてない」
そしてフィグはやまとが一生懸命何かを話してる時に口づけをするのが好きだったりと聞かれてもない好きな場面を思い出していた。その時に舌の裏をなぞるとやまとはすぐに甘い声をだす。可愛い姿が一気に過る。
「舌の裏…何でもない」
「「??」」
「やまとは普通だ。ソルト、練習あるのみだ。松君さんに教えてもらえ」
「わかりました」
「王は悩み無いんですか?」
「特にはない」
「流石です」
「はい」
そんなこんなで時間になりクラムが部屋にはいった。こうして攻め会は解決したようなしたような感じで幕を閉じる。
その日の夜
「ビタさん…お話が」
「はい、私もです」
「お先にどうぞ」
「あ、いえ。私よりクラム様が先に」
譲合いの末にビタが先に話す。
「あの、私…実は。行為をしたことがなくて」
「はい、存じております」
「と言うか一度しか…教育で習った以外。あの…その…」
「?」
「自分でしたことが無いんです!」
「?」
クラムは知っているがと思ったが冷静に考えた。そしてある一つの答えが導かれた。
「自慰もですか?」
真っ赤な顔で頷いた。
これ程までにまっさらは初めてでクラムは神々しくも感じた。このまま自分は一生できないかも知れないと頭を過る。
「あ、あの、あの、な、なので、やり方を……教えて頂けませんか?」
クラムの新たな門が開き開花した瞬間だった。
仏のようにクラムは穏やかな顔になる。
「はい、喜んで」
「あの、クラム様のお話は?」
「あ、私のクソつまらない話はどうでもいいです。ささ、ビタさんこちらへ。怖かったらすぐ止めますから」
「あの、でも、時間が。それに、お話しだけですよね?」
「大丈夫ですよ。お気になさらず。ビタさんの為なら無限にありますから。それに口で説明するのは難しいですから…」
こうしてビタは初めて最強の説明上手のクラムに自慰を教えてもらうのだった。この日からクラムの顔は笑顔に道溢れ周りから恐れられた。
………………
「ソルト、んっ……舌だせ」
松に言われがんばるが上手くできない。今日の事を思い返すも努力しかないと言われた。だが、ふとフィグが舌の裏と言ったのを思い出して、つぅーっと舌裏を舌先でなぞった。松の舌が引っ込み口が離れた。
「すみません。嫌でしたか?」
「今のどうした?」
「えっと、今日、王に口づけの仕方を聞いて…結局努力と言う話しになったんですが。舌の裏と仰られて…」
「へぇ~」
松の機嫌が悪くなる。
もしや、するなという意味だったのかもしれないと思った。
「なぁ、誰が他のやつからキスの仕方教えてもらえって言ったよ」
「え?」
「誰が言ったんだよ」
「だ、誰も、い、言っていません!すみません!」
松はソルトに手枷をしてベッドに固定した。
「と、とら様!」
「今日は口づけしかしてやらね」
「そ、そんな!」
「そんなに知りたいならお前にキスを叩き込んでやるよ」
耳を舐められソルトはぞくぞくした。前も触られずひたすらキスをする松にソルトは悶絶した。
………………
フィグはというと実際問題はあった。
「ねーフィグ、明日は?」
「明日は仕事だ」
「わかった!」
「………。」
やまとの仕事したい病は一種のブームになっていた。やまとに印鑑を押してもらいたい者が列をなして仕事を持ってきてるのだった。前はクラムが選別していたが量が増え裁ききれなくなり大量にたまっている。
それは、城や働く者には士気が上がり良いことなのだがフィグの仕事が大量に増えるのだった。つまり、やまとと過ごす時間が大幅に減る。
「やまと、仕事だが」
「?」
「量が増えた」
「え!俺、手伝うよ!!フィグ、何して欲しい?」
正直、何も。
と言いたかったが言えなかった。
フィグはやまとを抱きしめベッドへダイブ。
「キス」
「え!今、フィグ、キスって…んっ…まっんっ…」
「手伝……んっ!んっ」
この後やまとが仕事を手伝うが結局はさらに増えてしまいフィグが大きなため息をつくはめになるのだった。
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