社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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番外編

4 いか編 ④

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 あ~俺もついて行きたかったな~

 ベッドでゴロゴロする俺はフィグに「却下だ」と言われ残ることになった。窓から見ようと試みたが全然真っ白で方向もわからなかった。

 松君大丈夫かな… 

 うーん、クラムさんは昨日の俺の対応に追われて明け方寝たからまだ起こしたくないし。

 また、こっそり一人で出たら多分フィグはもう俺を一人にしてはくれないだろし大人しく待つか。

 俺はこんな事もあろうかと、暇潰しグッズを向こうから持ってきていた。

 和の心は忘れちゃいません!
 7万4千ピース和心風景パズル!

 を初めて出した。

 ザザザー

 山になるパズルから一つ取り出し床に置く。
 
 …もう一つ
 
 ……今度は別のもう一つ

 ……………。

 何か廊下が騒がしい気がするんだ~
 ちょっと様子を、ちょっとだけ

 カチャ


「やまと様、どうされましたか?」

「いや…」

「こちらは異常無しです!部屋にお戻り下さい」

 ですよね。

「王にクラム様が来るまで部屋から出すなと言われてます。ささ、戻ってください」

 あー俺を部屋に帰そうとしてるぅ~
 
「あ、あれ!」

 その辺にいた護衛を指差した。護衛は声に気がつき近づいてくれた。バケツに何か持っている。

「おい、何だそれは?」

「はっ!先ほど王の護衛より仰せつかりまして魔物の処理を頼まれ廃棄する所です」

「そうか、魔物が出たのか」

「はっ!そのようです」

 俺はドアから顔を出して聞いていた。

「松君、大丈夫かな?怪我してない?」

「や、やまと王妃!はっ!そのような報告は受けておりません!」

「良かった~」

 ふと、持っているバケツに目をやる。

 こ、これは!?

「あの!その魔物破棄するならちょっとだけ分けてください!」

「え、あ、私は構いませんが……」

「やまと様、駄目ですよ。王に我々が叱られます」

「こんだけ、ちょっとだけだから」

「仕方ない、その一部だけ切って差し上げろ」

「はっ!」

 護衛はほんの少しだけ切るとやまとに差し出した。大喜びするやまとを不思議そうに見る護衛だったが大人しく部屋に戻ってくれたので良しとした。

 
 よしよし、ゲットできた~!
 前に持ってきた七輪あったよね~!
 墨もマッチも醤油もあるし!

 あ、一つ確認しないと。

「すみません、火災報知器ついてます?」

「か、かさいほーちきん?ですか?」

「部屋で火付けても大丈夫ですか?」

「だ、駄目ですよ!部屋を燃やしてどうするんですか!」

「あ、燃やす訳じゃないです。こういう奴に入れて焼くみたいな。丸いさ、こんな感じ」

「?」

 ジェスチャーは通じなかった。

 七輪をドアまで持ち運び火をつけたいと話した。すると護衛は納得し火を魔法でつけると墨に移りチロチロと墨が赤くなった。

「おお~」

 見たことの無い物に護衛が集まりどよめくが最高位護衛二人が下がれと指示をすると持ち場に戻ったが気になり顔だけこちらに向けていた。

 七輪の上に網を置き先ほど貰ったイカを洗うと網の上に乗せた。そして、醤油をたらした。

 きゅ~っと縮むのを見ながら焼けるのを待つ。

「できたー!!」

 と言い箸を刺す。

「イカ焼き~!美味しそう~!」

「え、やまと様、それ食べるんですか!?」

「うん、」

「駄目です!!!」

「何をしてる」

 低い声が後ろから響いた。

「王!!」

 すぐにやまとから距離を置き、立て膝をついて説明しようとしたが。

「ふいぐ、美味しいかも。モグモグ」

「ああ!!!やまと様!!いけません!!!」

「え?」

 ゴクリと喉を通った。

すると、みるみるやまとが光っていった。

「まさか…」

「王!!申し訳ございません!まさか食されるとは思いませんでしたので魔物を渡してしまいました」

もはや土下座に見えるその立て膝は震えていた。

「光魔物だったんだあれ。食べちゃった」

「やまと……」

 頭を押さえるも時は既に遅く明るく光っていた。ざわざわとなり騒ぎを聞き付けたクラムが合流した。

「やまとさん!!」

「光魔物をやまとが食べた」

「体に異変はありませんか??苦しいとか」

「無いです」

 二人はほっとして部屋に戻るように言った。護衛も仕事に戻るようにとクラムが手を叩きその場はお開きとなった。

 そして、部屋には大量のパズルが広がっていた。

「やまと、これは?」

「パズル、この絵と同じように作るんだ」

「へー大変そうですね」

「そう、でも完成したら達成感が物凄いはず!」

 三人でパズルを広げ絵を見ながら話した。

「フィグ、どうだった?」

「松君さんには何も起こらなかった。魔石には反応したが湖にまた入っていった」

「てことは、どういうこと?」

「やまとにだけ反応した魔石だ」

「王……それは」

「求婚だ」

「へー」

 イカも求婚するんだ。

「やまと…伝えなければいけない事がある」

 フィグもクラムさんも神妙な顔をしながらパズルを辞めれないでいた。俺もだ。

「もし、求婚で誘われてるならまずいですよ」

「ああ、わかっている」

「フィグ、話しって?」

「子作りについてだ」

 何それ、今さら聞いてもな。
 俺もわかってるけど。

「フィグ、わかってるけど」

「一応、向こうとこちらで違うかもしれない」

「やったらできるよね」

「ほっ…一緒なら話しは早いですね。魔石が無いと聞きましたから似たのがあるんですね」

「似たの?魔石無しでもしたらできるでしょ?」

「そうなのか?」
「そうなんですか!?」

二人が驚いていたがパズルは続けている。

「フィグの所は無理なの?」

「ああ、魔石が無いとできない」
「はい、聞いたこと無いです」

 そっか~やっぱり世界が違うんだな。
 魔石万能じゃん。

「でだ、やまとに求婚した魔物がやまとに魔石を渡したんだがその魔石がだいたい何かわかった」

「何だったの?」

「繁殖の魔石だ。つまり子作りの魔石だ」

「え、無理だよね」

「はい、あ、これは違いました。基本魔物との間に子は宿せませんが異世界のやまとさんならわかりません」

「ふーん」

「ただ、そうとは知らず魔物が求婚し発情すればやまとさんは…えーっと」

「魔物に犯される」

「うわ~そうなんだ」

 凄い事を聞かされている気がするがパズルが気になりあまり怖いと思えなかった。

パズルを合わせようとしたらフィグが俺の手を取った。フィグの顔を見ると真剣だ。

「やまと…絶対魔物から守る」

「うん、フィグがいれば大丈夫な気がする」

 こうして俺達はパズルに集中した。
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