社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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番外編

3 いか編 ③

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 イカが手招きしている

 何だろう

 行かねば


「やまと、どこへ行く」

「イカが呼んでる」

「行くな」

「いかないと」

 
 フィグが手を掴んだ。力が強くて痛かったけどいかなきゃ行けないんだよ。引き出しから玉を取り出し呼ぶ方へ。

 何だか外が騒がしいけどいかないと……


 次の日

 あれ、フィグと俺が手枷してる。
 昨日の夜そんなプレイしたかな?

 しかもフィグがよく眠ってる。
 足にも違和感があり足首を見ると足枷もしてありフィグと繋がっている。

 う~ん、松君ならこの意味がわかるかな? 

「すみません~」

 できるだけフィグを起こさないように小声で護衛さんを呼んだ。

「……。」

 こんな小さな声が聞こえるわけないか。
 とりあえず、二度寝をしようと思ったときノックをされた。

「はい」

 松君とソルトさんだった。

 松君が遠慮がちに部屋に入ってきた。後ろにはソルトさんがついてきている。二人とも何だかいつもの感じと違う。

「河口君大丈夫?」

 病気のお見舞いのような言葉がけに?が浮かんだが至って元気です。

「はい、変わり無く日々を暮らしてます」
 
 ほっとしたような松君の目線の先はこれだった。

「ねね、松君、この手枷と足枷する意味わりますか?」

「昨日ね、大変だったみたいよ」

 マジか!?
 
 全然覚えてないが、フィグがまだ寝てるってことはそんな凄いプレイだったのか。 

 松君が知ってるなんて松君覗いてたのかな?

「そんな激しかった?」

「激しいと言うか……それ、プレイじゃないですよ」

「……。」

 違った。

 どうやら夜に俺はベッドから起きて外に出て行こうとしたらしい。フィグが声をかけても気にせず外に向かいそれをフィグが一生懸命に止めてくれたそうな。

何度も外へ行こうとしたから一度何処へ行こうとしてるのか手枷をして俺の向かう方へついて行ったんだって。

 そしたら、吹雪の中を裸足で歩いていったのでフィグが抱き上げ部屋に無理矢理帰したみたい。

 全然覚えてない。

 手枷と足枷は俺がどっか行かないようにしてたのか。

「夢遊病と言うにはちょっと度が過ぎてるから違うかも。何か呼ばれている感じに近い気がする。とりあえず、夜中そんな感じだったからフィグさんは明け方寝たみたいよ。クラムさんも一緒にいたらしいからそんな感じで寝てる。んで、俺とソルトは寝てたから伝言聞いて様子見に来ました」

「そっか、皆に迷惑かけちゃった。でも、何だったんだろう?」

「フィグさんが起きたらソルトと昨日の場所見てくるってさ。護衛さんも何人か連れてく予定だから安心して待っててって」

「俺も行く」

「却下だ」

 後ろで眠そうな声がした。
 フィグの太い腕が俺の腰を掴みベッドに引き寄せた。

「何で!」

 目の前のフィグは不服そうな顔をしていた。

「河口君が狙われてるからだよ。昨日のイカがもしかしたら河口君を呼び寄せてるかもってさ。だから何かあったら大変だし」

 松君がフィグの代弁をしてくれたようだ。
 俺の顔を見ながらフィグは言った。

「手にあの魔石を持ってた」

「昨日の石はやっぱり魔石なの?」

「ああ、見たことないが魔石だ」

「フィグル王、魔石ならば種類は何ですか?」

 魔石には沢山の種類があって儀式で使った生み出す魔石。魔物からとれる材料の魔石。等々とにかくありとあらゆる魔石がある。そこから更に種類が細かく別れているみたいだけど俺が知ってるのは2.3個しかわからない。

「はっきりとはわからないが呼び寄せの力が少し入った魔石だ。他にも数種類効果があるかもしれない」

「やはり、やまと王妃を呼び寄せているんですね」

「恐らく」

「なら、俺がその魔石持ったらどうなんの?」

松君がびっくり提案をした。



□□□ (松、湖にて)

「とら様、絶対に私から前にでないでください」

「わかった」

「ソルト、何かあったらすぐに松君さんを抱えて逃げろ」

「はい」

 どんな魔石かあの湖に行ってフィグさんと調べる事にした。護衛とソルトとフィグさんがいるから安心だったが予想外な事が起きた。

 湖に近づくと魔石が光った。すると何匹かのイカがでてきた。俺に近寄り手を触れた瞬間ソルトがイカを一瞬て細切れにした。

「おい、ソルト。斬る許可は出してない」

「とら様を触る輩は全て斬ります」

 全く剣が見えなかった
 こいつ、こんな強いのか…
 
 護衛さんがいそいそとイカの処理をした。

「ソルト、少しぐらい触っても」
「無理です」

 駄目だ、こいつの嫉妬心が勝って実験にならない。俺はソルトの紐を引っ張り後ろにやった。

「とら様!」
「いいから、これじゃ何が起きるかわからないだろ」
「なら、せめて背後から触る許可を下さい!」

 自分の命は惜しいので俺はソルトの意見を聞き入れた。ソルトは後ろから俺の腰をがっしり持ち密着した。

「何かどさくさ紛れっぽいが…」
「とら様、気のせいです。幸せ~」

「やっぱりお前…」

「来たぞ」

 イカ達が出てきて光魔石に群がった。1体ならまだしも流石に数体いると迫力ある。

「う、怖ぇ」
「とら様大丈夫です。私がお守りします」

 松が後退りしようとしたがソルトが後ろにいて下がれず仕方なく魔石の手だけ差し出し顔をソルトの胸に埋めた。
 ソルトはしっかり松を抱きしめ鋭い目付きでイカを睨んだ。

「とら様に触れた奴は斬る」

 イカは何かを察して松に触れる事なく魔石だけをちょんちょんと触った。そして皆湖へとまた帰っていく。特にやまとのように魔石に操られる事や引っ張られる事もなく終わった。

 自分の胸の服を強く握りしめる松に優しく話しかけた。

「とら様、もう行きましたから大丈夫です」

ハッとして手を離した。

「ソルト、ならもう離せよ」

「はぃ」

 名残惜しそうにゆっくり腰から手を離した。松はソルトの抱きしめから解放されたが少しだけ心細くなり紐をいつもより強く持った。

「フィグさんどうでした?」

「魔石には反応したがそれ以外は松君さんに何か起こった事は無かった」

「やっぱり、河口君だけって事かな」

「……恐らく」

フィグさんは真剣な顔をしていた。

「河口君にちょっかい出したイカはいないんですか?」

「いなかった」

「私が斬った中にも居ませんでした」

「一先ず帰る。松君さん、ありがとう。ゆっくり体を休めてくれ、念のため護衛を増やす。夜、もしかしたら松君さんが寝ている間に動くかもしれないから手枷と足枷はソルトとしておいて欲しい」

「はい!!」
「何で、お前が返事するんだよ」
 
 こうして俺達はまた城に戻る事になったが城では全然違う意味で大変になっていた。
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