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63章 火魔法野郎
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63章 火魔法野郎
ドヤドヤと人が入ってくる音が聞こえた。 マルケス、フィンとヨシュアたちと、ホグスまでいた。 部屋の外で様子をうかがっていたようだ。
マルケスが入ってくるなりすでに起き上がってベッドに座っているスーガに抱きついた。
「スーガァ~~~!! お前が死んでしまうんじゃないかと心配したぞぉ~~~~」
マルケスは半泣き···いや、ボロボロ泣いていた。
スーガは嫌がらずにマルケスの背中をポンポンと叩く。
「俺は生きているから、離れてくれないか?」
でも声は嫌がっていない。
大の男が泣きじゃくっているのをスーガは優しく引き離してニッコリと笑って見せた。
彼らがじゃれついて(?)いる間に、レイにはガドルとルーアを回復するように言い、俺はアニエッタとミンミを回復しにその場を離れた。
ミンミは意識はあるが、アニエッタの横でぐったりしている。
しばらく回復するうちミンミが起き上がり、アニエッタが目を覚ました。
「あ···シークさん······私······あっ!、スーガさんは?!」
俺は後ろに視線を送り、外から聞こえる笑い声を聞いてもらってから微笑んだ。
「ほら、彼はもう大丈夫。 それより、アニエッタは大丈夫? 体力と一緒に魔力も回復したから、元通りになっていると思うのだけど」
「ええ、いつも以上に元気になりましたわ。 ありがとうございました。 フフフ」
アニエッタはベッドから体を起こして、丁寧に頭を下げてから、可愛い顔で上目遣いに俺を見上げて笑う。
俺はベッドの縁に座り直し、優しくアニエッタの頭をなでた。
「よく頑張ったな。 おかげでスーガが助かった」
アニエッタはくすぐったそうに微笑んだのだった。
居間に戻ると、みんなが集まっていた。 もちろんスーガも元気そうで、どうやらキリルに体をキレイにしてもらったようで、サッパリした顔をしている。
「とにかく、シーク殿のおかげでスーガは回復することができて本当によかったのう。 浄化が毒に効くとは初めて聞いたわい」
「俺も賭けでしたが、効果があって本当に良かったです」
フムフムとガドルは満足そうにうなずいている。
「今回は事なきを得て本当にラッキーじゃったのじゃが、スーガ。 犯人に心当たりは?」
ガドルに聞かれて、スーガは俺に向かって説明する。
「初めの攻撃は炎の使い手だった。 ほんの一瞬しか察知できなかったが知らない気配だったのは確かだ」
「炎? やはりコーマンではないな。 奴には火魔法はなかったはずだ」
「やはりそうか。 それと毒のほうだが、ガドル先生と西の街まで本を買った帰りの食事処で盛られたようだ。 たまにあの店には行くことがあるのだが、見知かけぬ店員がいた。 もしかしたらそいつかもしれない。 なぜとは言えないが、その店員は少し嫌な感じがしたんだ」
「店員の顔は覚えているか?」
「もちろん、顔は忘れない」
◇◇◇◇
俺たちの犯人探しが始まった。
例の西の町の食事処に行ってみたが、やはり目的の男はいなかった。
そこで火魔法野郎を先に探す事にした。
スーガが、ここ数日は気配を感じないと言っていたので、囮作戦だ。
いや、囮という程でもないのだが、俺とスーガが二人で元気に歩き回っていれば必ず噂が耳に入るはずだ。
マルケスとフィンと、ヨシュアたちには少し離れてついてきてもらう事にした。 彼らの目つきは悪い。 相手に警戒させてしまうからと説明した。
しかし本当の所は、相手が火魔法を使うので、マルケスたちに危険が及ばないように離れてもらったのだ。
俺もスーガもフードは被らずに、フェンリルを連れて町中をぶらぶらした。 こうやって見ると、俺とスーガの雰囲気がよく似ている。
身長も体形も似ているし、黄色と金色の髪も光の加減で同じように見える。
俺がスーガと一緒にいる事で、彼らが人違いした事に気づいて今度は俺に攻撃を仕掛けてもらうためだ。
もちろん、俺狙いだった場合だが、スーガが狙われる理由が見つからない。
俺たちを見て周りの女性たちがいちいち騒いでくれる。 若い女性も、年配の女性も俺たちの噂をしている。
火魔法野郎の耳に入ればいいのだが······
◇◇◇◇◇◇◇◇
3日目。
すでにこの街から出て行ったか、もしかしたらコーマンのように隠形魔法を使っているのかもしれない。 このままでは見つからないのではと思い始めた頃、スーガの風探知魔法に引っかかった。
「どこだ?!」
「北東4キメルク先······あっ···あれは······そうだ! 人竜族のスタンリー兄弟だ。 彼らと言い争っている様子だ」
俺も空間探索魔法で探す。
北東4キメルク。 スタンリー兄弟の鍛冶屋が見えた。
スタンリー兄弟とフードを被った男が言い争っている。
少し近づいてみる。
フードの中から赤い髪が見えた。 奴に間違いない。
そのフード男が俺の探索魔法に気付いたが、俺はすぐに空間探索魔法を通じて『魔法封じ魔法』『捕縛魔法』を唱えた。
男は体を硬直させて、突然動かなくなり、スタンリー兄弟がどうした事かと驚いている。
「スーガ、俺は先に行くからマルケスたちを連れて後から来てくれ。 それと、誰か一人をガドル先生に知らせに行ってもらい、そしてもう一人は兵士詰め所から何人か兵士に来てもらうように頼む」
「シークは大丈夫なのか?」
俺はニッコリと笑う。
「奴はもう動けないから心配ないさ」
そのままフェンリルと空を飛んでいった。
ドヤドヤと人が入ってくる音が聞こえた。 マルケス、フィンとヨシュアたちと、ホグスまでいた。 部屋の外で様子をうかがっていたようだ。
マルケスが入ってくるなりすでに起き上がってベッドに座っているスーガに抱きついた。
「スーガァ~~~!! お前が死んでしまうんじゃないかと心配したぞぉ~~~~」
マルケスは半泣き···いや、ボロボロ泣いていた。
スーガは嫌がらずにマルケスの背中をポンポンと叩く。
「俺は生きているから、離れてくれないか?」
でも声は嫌がっていない。
大の男が泣きじゃくっているのをスーガは優しく引き離してニッコリと笑って見せた。
彼らがじゃれついて(?)いる間に、レイにはガドルとルーアを回復するように言い、俺はアニエッタとミンミを回復しにその場を離れた。
ミンミは意識はあるが、アニエッタの横でぐったりしている。
しばらく回復するうちミンミが起き上がり、アニエッタが目を覚ました。
「あ···シークさん······私······あっ!、スーガさんは?!」
俺は後ろに視線を送り、外から聞こえる笑い声を聞いてもらってから微笑んだ。
「ほら、彼はもう大丈夫。 それより、アニエッタは大丈夫? 体力と一緒に魔力も回復したから、元通りになっていると思うのだけど」
「ええ、いつも以上に元気になりましたわ。 ありがとうございました。 フフフ」
アニエッタはベッドから体を起こして、丁寧に頭を下げてから、可愛い顔で上目遣いに俺を見上げて笑う。
俺はベッドの縁に座り直し、優しくアニエッタの頭をなでた。
「よく頑張ったな。 おかげでスーガが助かった」
アニエッタはくすぐったそうに微笑んだのだった。
居間に戻ると、みんなが集まっていた。 もちろんスーガも元気そうで、どうやらキリルに体をキレイにしてもらったようで、サッパリした顔をしている。
「とにかく、シーク殿のおかげでスーガは回復することができて本当によかったのう。 浄化が毒に効くとは初めて聞いたわい」
「俺も賭けでしたが、効果があって本当に良かったです」
フムフムとガドルは満足そうにうなずいている。
「今回は事なきを得て本当にラッキーじゃったのじゃが、スーガ。 犯人に心当たりは?」
ガドルに聞かれて、スーガは俺に向かって説明する。
「初めの攻撃は炎の使い手だった。 ほんの一瞬しか察知できなかったが知らない気配だったのは確かだ」
「炎? やはりコーマンではないな。 奴には火魔法はなかったはずだ」
「やはりそうか。 それと毒のほうだが、ガドル先生と西の街まで本を買った帰りの食事処で盛られたようだ。 たまにあの店には行くことがあるのだが、見知かけぬ店員がいた。 もしかしたらそいつかもしれない。 なぜとは言えないが、その店員は少し嫌な感じがしたんだ」
「店員の顔は覚えているか?」
「もちろん、顔は忘れない」
◇◇◇◇
俺たちの犯人探しが始まった。
例の西の町の食事処に行ってみたが、やはり目的の男はいなかった。
そこで火魔法野郎を先に探す事にした。
スーガが、ここ数日は気配を感じないと言っていたので、囮作戦だ。
いや、囮という程でもないのだが、俺とスーガが二人で元気に歩き回っていれば必ず噂が耳に入るはずだ。
マルケスとフィンと、ヨシュアたちには少し離れてついてきてもらう事にした。 彼らの目つきは悪い。 相手に警戒させてしまうからと説明した。
しかし本当の所は、相手が火魔法を使うので、マルケスたちに危険が及ばないように離れてもらったのだ。
俺もスーガもフードは被らずに、フェンリルを連れて町中をぶらぶらした。 こうやって見ると、俺とスーガの雰囲気がよく似ている。
身長も体形も似ているし、黄色と金色の髪も光の加減で同じように見える。
俺がスーガと一緒にいる事で、彼らが人違いした事に気づいて今度は俺に攻撃を仕掛けてもらうためだ。
もちろん、俺狙いだった場合だが、スーガが狙われる理由が見つからない。
俺たちを見て周りの女性たちがいちいち騒いでくれる。 若い女性も、年配の女性も俺たちの噂をしている。
火魔法野郎の耳に入ればいいのだが······
◇◇◇◇◇◇◇◇
3日目。
すでにこの街から出て行ったか、もしかしたらコーマンのように隠形魔法を使っているのかもしれない。 このままでは見つからないのではと思い始めた頃、スーガの風探知魔法に引っかかった。
「どこだ?!」
「北東4キメルク先······あっ···あれは······そうだ! 人竜族のスタンリー兄弟だ。 彼らと言い争っている様子だ」
俺も空間探索魔法で探す。
北東4キメルク。 スタンリー兄弟の鍛冶屋が見えた。
スタンリー兄弟とフードを被った男が言い争っている。
少し近づいてみる。
フードの中から赤い髪が見えた。 奴に間違いない。
そのフード男が俺の探索魔法に気付いたが、俺はすぐに空間探索魔法を通じて『魔法封じ魔法』『捕縛魔法』を唱えた。
男は体を硬直させて、突然動かなくなり、スタンリー兄弟がどうした事かと驚いている。
「スーガ、俺は先に行くからマルケスたちを連れて後から来てくれ。 それと、誰か一人をガドル先生に知らせに行ってもらい、そしてもう一人は兵士詰め所から何人か兵士に来てもらうように頼む」
「シークは大丈夫なのか?」
俺はニッコリと笑う。
「奴はもう動けないから心配ないさ」
そのままフェンリルと空を飛んでいった。
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