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深夜の約束
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週末に飲み会がセッティングされることが常であり、翌日土曜の出勤が貧乏クジを引いた形で俺に決まった。
元々、シフトがそうだっただけだが。
それも、今となっては運が良かったのかもしれない。
土曜出勤したおかげで日曜は他の医師が出勤となるから、俺は休みだ。
なので、今日の残業もはっきり言えば何時迄でも良いからだ。
いつもは残業なんて、遠慮したいが…。
診療に関する書類を作成しつつ、ラウンドの時間を気にする俺。
この書類についても、担当患者が退院時に必要な為、週明けには病棟師長に催促されるであろう仕事だ。
二人程、退院が決定しているので今日仕上げてしまおうと、書類作成に勤しむ。
「藍川さん、じゃあ私ラウンドしてくるね」
山本看護師が、ナースセンターを後にした。
時間は早いもので、彼女との時間が出来る。
「鈴音。今いいかな」
デスクで作業している彼女に近づく。
彼女は手を止め、俺の方を見つめてくる。
「髙城先生…此処では名前はあんまり……」
戸惑っている彼女は、俺を名前で呼んではくれない。
「奨瑚だよ。今は二人だけなんだから」
椅子に座ったままの彼女が、隣の俺を見上げる。
「奨瑚さん…何だか、話すの久し振りですね」
「勤務が合わなかったから…鈴音に逢えなくて寂しかったよ」
見上げている表情が哀しげで、彼女の頭を撫でる。
纏めた髪型が崩れないよう注意は怠らない。
「私も、奨瑚さんに会いたかったです」
嬉しい返事に、抑えられない想いが込み上げてくる。
彼女の額に唇を当て、軽いキスをする。
驚いている彼女は、俺を更に見つめてくれる。
「今日、仕事終わるの待ってるから。終わったら俺の所まで、車で時間潰すから」
彼女が頷くのを確認し、もう一度額にキスをすると先程までのPCで作業を再開する。
程なくして、山本看護師がナースセンターに戻って来た。
「ラウンド、異常ないです」
「ありがとうございました」
彼女は普段通りだ。
俺は、23時頃にPCの電源を落とし夜勤者二人へ挨拶する。
山本看護師からは「遅くまでお疲れ様です」と労われる。
彼女も「お疲れ様でした」と挨拶してくれる。
彼女の終業まで後、一時間半といったところか。
俺は、医局へ戻るとシャワーを浴び着替えをする。
深夜からの看護師と鉢合わせも面倒なので、そのままゆっくりと帰り支度をする。
後は、車で待機する為に自販機でコーヒーを購入し車へと向かった。
元々、シフトがそうだっただけだが。
それも、今となっては運が良かったのかもしれない。
土曜出勤したおかげで日曜は他の医師が出勤となるから、俺は休みだ。
なので、今日の残業もはっきり言えば何時迄でも良いからだ。
いつもは残業なんて、遠慮したいが…。
診療に関する書類を作成しつつ、ラウンドの時間を気にする俺。
この書類についても、担当患者が退院時に必要な為、週明けには病棟師長に催促されるであろう仕事だ。
二人程、退院が決定しているので今日仕上げてしまおうと、書類作成に勤しむ。
「藍川さん、じゃあ私ラウンドしてくるね」
山本看護師が、ナースセンターを後にした。
時間は早いもので、彼女との時間が出来る。
「鈴音。今いいかな」
デスクで作業している彼女に近づく。
彼女は手を止め、俺の方を見つめてくる。
「髙城先生…此処では名前はあんまり……」
戸惑っている彼女は、俺を名前で呼んではくれない。
「奨瑚だよ。今は二人だけなんだから」
椅子に座ったままの彼女が、隣の俺を見上げる。
「奨瑚さん…何だか、話すの久し振りですね」
「勤務が合わなかったから…鈴音に逢えなくて寂しかったよ」
見上げている表情が哀しげで、彼女の頭を撫でる。
纏めた髪型が崩れないよう注意は怠らない。
「私も、奨瑚さんに会いたかったです」
嬉しい返事に、抑えられない想いが込み上げてくる。
彼女の額に唇を当て、軽いキスをする。
驚いている彼女は、俺を更に見つめてくれる。
「今日、仕事終わるの待ってるから。終わったら俺の所まで、車で時間潰すから」
彼女が頷くのを確認し、もう一度額にキスをすると先程までのPCで作業を再開する。
程なくして、山本看護師がナースセンターに戻って来た。
「ラウンド、異常ないです」
「ありがとうございました」
彼女は普段通りだ。
俺は、23時頃にPCの電源を落とし夜勤者二人へ挨拶する。
山本看護師からは「遅くまでお疲れ様です」と労われる。
彼女も「お疲れ様でした」と挨拶してくれる。
彼女の終業まで後、一時間半といったところか。
俺は、医局へ戻るとシャワーを浴び着替えをする。
深夜からの看護師と鉢合わせも面倒なので、そのままゆっくりと帰り支度をする。
後は、車で待機する為に自販機でコーヒーを購入し車へと向かった。
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