素直に好きと言えないのは、本気で好きだから。

多上陸夜

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隣に座るのは…

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会場に着くと、ほぼ座席は埋まっていた。
彼女の隣は無理そうなので適当に着席する。
一緒に来た新山が、隣に座る形となった様だ。
「髙城先生の隣、座りますね。この席空いてて、ラッキーでしたね」
俺にとってはそうでは無いが、新山にとってはそうなんだろう。

新山は何かと話しかけてくるので、適当に…とはバレないような相槌をうっていた。


いつもなら同期の医師である、木村先生が絡んでくるが、今日に限って現れない。
辺りを観察していると、木村先生は若い看護師と話しが弾んでいるのか、俺の視線には気付いていない。


俺が席を立つ理由を探していると、不意に視線が合う。
彼女は何処かへ行っていた様だ。
この場に座ってからは新山の相手もあり、彼女を見かけられなかった。
彼女からのアクションは無いので、その後も彼女と接触しないまま飲み会がお開きとなった。


二次会の話もあったが、明日も仕事の為断る。

彼女も二次会組に、頭を下げている為帰宅組だろう。
彼女と久し振りに話せると思い、近付こうとすると、俺に気付かないのか立ち去ってしまう。
余程急いでいたか、夜勤明けで疲れているからなのか声を掛けそびれてしまった。


気を取り直し、他の医師らに挨拶しようと向かう事にする。
数人は二次会に参加するそうだが、大半は帰宅だそうだ。
挨拶を終えると、車へ向かう。
明日の仕事と、車の運転の為ノンアルで凌いでいたから、運転は大丈夫だ。
車に乗り込もうとしたところで、呼び止められる。

「髙城先生、呑んでないならお願いがあるんですが」
本日2度目となる病棟師長からお願いだ。
「呑んでは無いですが…何でしょうか?」
病棟師長は新山を連れて俺の前に来る。
「新山さんなんですが、明日早番勤務だというのに二次会に参加するって言うので、先生に職員寮迄送って頂けないかと…」
そういう事かと、送迎を承諾する。
新山はアルコールが入っていた為フラついているし、帰り道であり断れない。
「大丈夫ですよ。寮迄送りますから師長は二次会楽しんでぃてください」
新山を預かり助手席へと乗せた。


走行中、新山は眠かったのか、あまり話さなかったのは有り難かった。


俺は新山を送り届け、自分の帰路へとついた。
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