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迷惑な誘い

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一緒に食事をした日から、お互い多忙であったのとシフトのすれ違いもあり、顔すら合わせずにいた。
今日は、病棟のスタッフで飲み会がセッティングされていた。
出席者名簿に彼女の名前は確認済みだ。


終業間際になると皆、時間を気にしながらも業務をこなしていく。
俺は病棟での仕事を終わらせ、医局へ戻ろうとする。
「髙城先生。今日、出席されますよね?」
病棟師長に呼び止められる。
「はい、そのつもりですが?」
「あの、申し訳無いのですが…今日の会場迄、足が無い者がいるので2、3人先生の車に同乗させて頂きたいのですが……」
本当に申し訳無さそうに病棟師長が尋ねてくる。
「大丈夫ですよ。じゃあ、私は職員玄関前に車回して待ってますから。後は、お願いしますよ」
そう伝えると「ありがとうございます。伝えておきますので」と返答があり、俺は医局へと足を向けた。



「お願いします」
運転席側の窓を開けていた為、直ぐに気付いた。
「3人だから、1人は前に乗った方がいいかな」
5人乗りで後部座席に3人は座れるが、大人3人では流石に狭い為そう提案する。
看護師達は、誰が助手席に座るか話している。
直ぐに決まったのか、3人が車に乗り込んだ為車を発進させる。
助手席に座ったのは3年目の新山だった。
「髙城先生の車の助手席乗っちゃってすみません。彼女さんとかに見られたら大変ですよね」
活発で明るい性格の新山は、本当にそう思っているのかは分からないが謝ってくる。
「彼女とかいないんで、大丈夫ですよ」
無難な返答で答えておく。
本当に彼女はいない事だしね。
「いないんですか?髙城先生がフリーだったら、今日の席私が隣でも良いですか?」
いきなりの提案に、否定はできない為…後部座席に看護主任と中堅クラスの看護師が居合わせている事もあり……。
少し間が空いてしまう。
「新山さんも、先生困ってるでしょうに。先生同士の付き合いもあるんだから…」
看護主任の助け船でなんとか切り抜ける事ができた。
新山はその後は黙ってくれていた。
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