あの日の後悔と懺悔とそれと

ばってんがー森

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《一方的な婚約者》

伝令

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いつもの朝、朝食を取り歯を磨き、居候たちへと飯を運ぶ。なんとも平和だ。灯蛾の一件以来、ザシコは目を覚まし、殺人事件も解決。現実と乖離し過ぎてたからだろうか、とても平和だ。そう思いつつ自室のドアを開けると如何にもショタコンが喜びそうな子がチョコンと正座で座っていた。

「あの………誰?」

「あっ、拙者『孝之助』と申します!勝手にお邪魔してすみません。窓が開いていたものですから入らせて頂きました!!」

(いや、丁寧に説明してるけど物凄いこと言ってるぞこの子……)

「まぁいいではないか、窓でもドアでも一緒じゃ」

(何故主導権がザシコに……)

「はぁ。で、え~っと、孝之助君。君は何しにここへ?」

「そうでした!ザシコ様に御伝令を!」

「ザシコに?」

「はい!え~ザシコ様、この度は急な伝令申し訳ない。結納の儀の日時についてお知らせしようと思いまして。日時は三週間後ですぅ」

「三週間後ですって!?」

高白虎は血相を変えて毛が逆立ち、今にも家の中をめちゃくちゃにしそうな顔をしていた。

ここで黄雷猿が意外な言葉を発した。

「俺もザシコ様があのクソと婚姻するのは反対だぜ。前まではどっちでも良かったけどよ。今のザシコ様を見てると幸せそうに見えるからよ。俺様的にはもう少し見てみたいんだ」

「黄雷猿……お前……」

「言っとくがお前はどうでもいい」

「はいはい」

少し照れてる黄雷猿が少し可愛く見えた。

「碧聖鳥はどうなんだ?」

「私ですか?そうですねぇ……酒菊丸を殺すというのは?一気に解決しますよ!」

その瞬間、孝之助の殺気が部屋を覆い尽くした。

「勝てるわけがねぇと分かってても聞き捨てならねぇ台詞だ。取り消せ」

孝之助の瞳は瞬きをせず碧聖鳥をじっと見つめていた。碧聖鳥は翼を一度大きく広げ、臨戦体制に入ろうとした。その時、ザシコが間に入った。

「こちらが悪い。今の失言、碧聖鳥に代わり詫びよう」

この言葉で一気に場の緊張感が和らいだ。

「助かりますぅ、危うく皆殺ししてしまうところでした笑」

孝之助はケラケラ笑うが目が笑っていない。仮に酒菊丸様というボスの側近だ。侮れない。

「今回はこれで。準備しておいてくださいねぇ」

そう言うと孝之助は蜃気楼のようにゆらゆらと消えた。

その時珍しく全員が揃って言った。

「くたばれこのクソがっ!!」
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