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傍観者の暴走
二本の扇子
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蜂鳥君は右手に持っていた、折り畳んである扇子を、とっさにガードに入った僕の右拳にぶつけた。その瞬間、脳内に何か「ぐぅわん」としたグニャグニャしたものを感じた。
動きが止まったところで蜂鳥君は体を反転させ
「そよ風 小」
と言って扇子を開けて、扇子をひょいとそよ風を送るように僕に向けた。僕にとっては「突風」そのものだった。
その突風で壁に打ち付けられた僕は悶絶していた。
ゆっくりとゆっくりと蜂鳥君は迫ってきた。しかし敵意は感じなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二階
菖蒲さんはメガネを人差し指で中心を一回直して言った。
「こりゃエラい人物がいたもんだねぇ。それとも無理矢理連れてきたのかな??」
灯蛾は背伸びしながら気怠そうに言った。
「我々に必要な人材なのでね。誤解しているが、彼からこちらに歩み寄ってきた。それまでだ」
「歩み寄ってきた……ねぇ。それは『脅し』でやむを得なくそっち側についていると言う可能性だって無いわけじゃないよね」
菖蒲さんは少し挑発染みた口調で脚を組んで言った。
灯蛾も図星を突かれたのか、それとも彼の態度が気い食わなかったのか顔を暗くしたが、すぐさまいつもの表情に戻った。殺気はそのままで。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一階
「なんだよあの扇子……精神的に作用して鈍らせたのかと思ったら、もう片方の扇子で攻撃するとか……殺す気じゃねぇか」
冷や汗をかきつつも僕は
「これまでなんだかんだ修羅場と言って良いかわからないけど、一応くぐり抜けてきたんだ!」
僕は仙華先輩を横目に蜂鳥君へ向かっていった。
次第に紫色の電気を帯びてゆく。この事に気付いたのか、蜂鳥君は先程の打撃に使った扇子を開き、僕の突進を相殺する風を送り、逆にもう一方の扇子で僕の顔面を叩いた。その威力は凄まじく思わず吹っ飛んでしまった。
自分はパニックに陥っている間、扇子で何回も僕の顔をぶたれた。不思議とぶたれればぶたれるほど『彼』に近づける気がした。なぜだろうか、一打一打に何か訴えかけるものがあったからかもしれない。
そんな様子を許すわけがないわけがない男が一人いた。仙華だ。
「おいてめぇら……………………鬼ごっこはぁ……どうしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
地響きがするような、鼓膜が破れてしまいそうな怒声が体育館に響き渡った。体育館が静まり返ったあと、仙華先輩は
「そうか……お互いどちらが俺様にタッチするか譲り合っているんだな?わかるぜ。」
僕も蜂鳥君も「???」という表情をした。
続けて仙華先輩は「よし、これから俺が鬼になる!三分間、俺から逃げてみろ!これならシカトされる心配はない!!よし、決定!!」
菖蒲さんは前のめりになり
「ははっ、彼らしーね。でも僕的には『コッチ』のシチュエーションを見てみたかったんだよね~二木君!!」
仙華先輩は「三分やるから切り替えろ」
と一応三分くれた。
僕は蜂鳥君に、《とにかく仙華先輩には負けたくはない》事を伝えた。彼は何故か複雑な顔をしていたが同意してくれた。そこから色々話し、ついに決戦の三分がたった。
「おおぉし!さあやるぞ!」
「先輩!!」
「今気が付いたのですが、この結界は先輩が?」
「ああ、正確には『俺』『灯蛾』『菖蒲』の『共同結界』だがな!」
「この結界内はどんな状態になっても、結界が解ければいつもの状態になるんですよね?例えば、腕が取れてても結界が解ければ腕がくっついているみたいな」
「あぁ、その点は安心しろ!じゃなきゃ体育館ボロボロになるだろ(笑)それに「菖蒲」と「灯蛾」が協力したんだ。安心しろや!」
「確かに………じゃ、逃げますわ」
動きが止まったところで蜂鳥君は体を反転させ
「そよ風 小」
と言って扇子を開けて、扇子をひょいとそよ風を送るように僕に向けた。僕にとっては「突風」そのものだった。
その突風で壁に打ち付けられた僕は悶絶していた。
ゆっくりとゆっくりと蜂鳥君は迫ってきた。しかし敵意は感じなかった。
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二階
菖蒲さんはメガネを人差し指で中心を一回直して言った。
「こりゃエラい人物がいたもんだねぇ。それとも無理矢理連れてきたのかな??」
灯蛾は背伸びしながら気怠そうに言った。
「我々に必要な人材なのでね。誤解しているが、彼からこちらに歩み寄ってきた。それまでだ」
「歩み寄ってきた……ねぇ。それは『脅し』でやむを得なくそっち側についていると言う可能性だって無いわけじゃないよね」
菖蒲さんは少し挑発染みた口調で脚を組んで言った。
灯蛾も図星を突かれたのか、それとも彼の態度が気い食わなかったのか顔を暗くしたが、すぐさまいつもの表情に戻った。殺気はそのままで。
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一階
「なんだよあの扇子……精神的に作用して鈍らせたのかと思ったら、もう片方の扇子で攻撃するとか……殺す気じゃねぇか」
冷や汗をかきつつも僕は
「これまでなんだかんだ修羅場と言って良いかわからないけど、一応くぐり抜けてきたんだ!」
僕は仙華先輩を横目に蜂鳥君へ向かっていった。
次第に紫色の電気を帯びてゆく。この事に気付いたのか、蜂鳥君は先程の打撃に使った扇子を開き、僕の突進を相殺する風を送り、逆にもう一方の扇子で僕の顔面を叩いた。その威力は凄まじく思わず吹っ飛んでしまった。
自分はパニックに陥っている間、扇子で何回も僕の顔をぶたれた。不思議とぶたれればぶたれるほど『彼』に近づける気がした。なぜだろうか、一打一打に何か訴えかけるものがあったからかもしれない。
そんな様子を許すわけがないわけがない男が一人いた。仙華だ。
「おいてめぇら……………………鬼ごっこはぁ……どうしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
地響きがするような、鼓膜が破れてしまいそうな怒声が体育館に響き渡った。体育館が静まり返ったあと、仙華先輩は
「そうか……お互いどちらが俺様にタッチするか譲り合っているんだな?わかるぜ。」
僕も蜂鳥君も「???」という表情をした。
続けて仙華先輩は「よし、これから俺が鬼になる!三分間、俺から逃げてみろ!これならシカトされる心配はない!!よし、決定!!」
菖蒲さんは前のめりになり
「ははっ、彼らしーね。でも僕的には『コッチ』のシチュエーションを見てみたかったんだよね~二木君!!」
仙華先輩は「三分やるから切り替えろ」
と一応三分くれた。
僕は蜂鳥君に、《とにかく仙華先輩には負けたくはない》事を伝えた。彼は何故か複雑な顔をしていたが同意してくれた。そこから色々話し、ついに決戦の三分がたった。
「おおぉし!さあやるぞ!」
「先輩!!」
「今気が付いたのですが、この結界は先輩が?」
「ああ、正確には『俺』『灯蛾』『菖蒲』の『共同結界』だがな!」
「この結界内はどんな状態になっても、結界が解ければいつもの状態になるんですよね?例えば、腕が取れてても結界が解ければ腕がくっついているみたいな」
「あぁ、その点は安心しろ!じゃなきゃ体育館ボロボロになるだろ(笑)それに「菖蒲」と「灯蛾」が協力したんだ。安心しろや!」
「確かに………じゃ、逃げますわ」
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