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無慈悲なゴング
必殺
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菖蒲さんはそう言うと、ザシコの方へと歩き出した。豪場は背を向けた菖蒲さんに「今しかない!!」とばかりにナイフを突き刺そうとした。恐らく菖蒲さんはそのことに気付いていたと思うが、振り向きもしなかった。何故なら僕を信じていたから。豪場にタックルをして押し倒して、絶対離さなかった。ここで引いたら「ナニカ」を失う以上の事が起こる気がした。
ザシコは感情を押し殺して僕の方を見ながら菖蒲さんの話を聞いていた。
「離せやゴラァ!冗談じゃなくなぶり●すぞ、オイ!」
「(あぁ、痛い。でも確かに誰かのために命を張っている。不思議だな。雪見の時にもこんな感じのがあったっけ。でもあれはただ単にボコされてるだけだった。でも今は違う。いつか、少しでも、少しでも菖蒲さんやザシコに恩返しがしたいと思っていたら、まさかこんな形で返せるとは笑)」
必死の形相で食い止めてるのにも関わらず、頭は冴えていた。
「おい豪場、お前のそのナイフみたいなの……人間刺せないだろ」
豪場は驚いた顔をした後、怒りで更に顔が赤くなっていた。
「だからなんだよ。刺さなくても●める方法なんて星の数ほどあるんだぜ?へはははははは!!俺は優しいからな、ゆっくり楽しませてやるよぉ」
四つの足音、服の擦れる音に刀の鈍い金属音。突然、足音が擦り足になり、薄紅色の花びらが此方へ向かう。空気が裂ける音。僕の動体視力では太刀筋が見えない。
『無像梅速(ムゾウバイソク)』
花びらの隙間からザシコが見える。しかし、儚げで優雅で、華麗で。何より奥ゆかしかった。
僕はザシコに見惚れていると何か液体が手に触れた。血だった。そして豪場は四肢が切られていた事に気がついた。驚くべき事に、豪場に抱きついていた僕の身体には一切傷がない。
(これがザシコの本気……いや、まず何を基準に本気なんだ?てかどうやったんだ??)
呆気に取られていると菖蒲さんが近づいて来て豪場にこう言った。
「君、死ぬけどいくつか聞かせてもらうね。革派の羅豪(らごう)の差金と……そうだな、酒菊丸(しゅぎくまる)かな?ビンゴだろ?」
ザシコは感情を押し殺して僕の方を見ながら菖蒲さんの話を聞いていた。
「離せやゴラァ!冗談じゃなくなぶり●すぞ、オイ!」
「(あぁ、痛い。でも確かに誰かのために命を張っている。不思議だな。雪見の時にもこんな感じのがあったっけ。でもあれはただ単にボコされてるだけだった。でも今は違う。いつか、少しでも、少しでも菖蒲さんやザシコに恩返しがしたいと思っていたら、まさかこんな形で返せるとは笑)」
必死の形相で食い止めてるのにも関わらず、頭は冴えていた。
「おい豪場、お前のそのナイフみたいなの……人間刺せないだろ」
豪場は驚いた顔をした後、怒りで更に顔が赤くなっていた。
「だからなんだよ。刺さなくても●める方法なんて星の数ほどあるんだぜ?へはははははは!!俺は優しいからな、ゆっくり楽しませてやるよぉ」
四つの足音、服の擦れる音に刀の鈍い金属音。突然、足音が擦り足になり、薄紅色の花びらが此方へ向かう。空気が裂ける音。僕の動体視力では太刀筋が見えない。
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