あの日の後悔と懺悔とそれと

ばってんがー森

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四葉のクローバー

収穫の報告

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自宅に着くとシャワーを浴びて汗を流し、ザシコを部屋から呼んで、一緒に夕食をとった。

「ほう、今日のおむすびは色とりどりじゃの。ええ事でもあったんか?」

「一応ね。この前のお地蔵様のところに行ってきたんだ」

「病院へ行ったんじゃなかったのか?」

「行ったよ。でも兄貴が来て部屋が狭くなるから先帰っとけってお金もらってさ」

「父上は流石じゃの!」

「あぁ、流石というか何というか。いつもの親父って感じが凄いよ」

「……色々とお前さんに気を遣ってくれてるんじゃな」

「うん。そのおかげで収穫があったから、とてもありがたいよ。収穫がなくてもありがたいけどね(笑)」

ザシコはおむすびを食べてる最中に気が付いた。

「お主、これはなんじゃ……」

「ふふふふ。それはね……肉味噌!」

「肉味噌とな!?ほう……素晴らしい組み合わせじゃ!美味い!」

「瓶詰めのやつだけど美味いんだ。他もあるみたいだから今度選んで作ってみるよ!」

「楽しみにしとるぞ!」

ザシコはニコニコして他のおむすびをたいらげ、お茶をズズズッと飲んだ後、「ふぅ」と一息吐いて僕の顔を見た。

「さて、それでは『収穫』とやらを話してもらおうかの」

僕はポケットから菜央さんの祖父母から預からせてもらった『ある物』を取り出した。

「これは……。何か役に立つんじゃろうな?」

ザシコは「ある物」を手に取り、じっと見つめながら言った。その言い方は、僕を信用しているが、何のためなのか意図が読めなく、疑いの念が少しあるような感じだった。

「あぁ、菜央さんの仏壇に備えられていたんだ。『それ』を見た時、ピンときたんだ。雪見を動かすにはこれしか無いって」

僕は「それ」を指差して、ザシコの目の奥を見るように目を合わせた。僕には確かな根拠はないけど本気度が伝わったのか、ザシコは

「うむ、よかろう。どうして「それ」なのかはあえて聞かん。マコ、「それ」を玉手箱にするんじゃぞ?」

ザシコはニヤリとした。どうやらこちらの思惑は大体読めたらしい。流石日頃から一緒にいるだけはある。

「よし、『恐山への行き方と帰り方』、『雪見の心を救う方法の大部分』は揃ったとして、『高部から天邪鬼を出す方法』と『倒し方』。どうしたものか……」

僕的にはそこが一番悩みどころだったが、そのような悩みを解決してくれる頼もしい「座敷童子様」がいる。

「ワシに任せろ」

お茶を飲み干して、ダンッと湯呑みを置き、ザシコはそう言った。
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