あの日の後悔と懺悔とそれと

ばってんがー森

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四葉のクローバー

星空の下の会話1

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次の日、前日に菖蒲さんにこんなメールを送っておいたことを思い出した。

「夕方に、家の前の公園でお話しできませんか??」

すると菖蒲さんは

「良いっすよ!二木君の介護が終わった後が、タイミング的に時間とか気にしなくて良いと思うから、二十時、二十一時頃は如何?」

とお気遣いのメールが来た。さすがは菖蒲さんだ。

「お言葉に甘えて、その時間にお願いしようかな?笑」

何故、このタイミングで菖蒲さんと会おうと思ったのか。それは正直自分の直感というしかないであろう。菖蒲さんだったら何かいいヒントをもらえる気がする。そして川名のバイクでの件も引っかかる事があるし。

一通りの介護を親父にこれでもかというくらいアピールしまくった僕は、親父に一時間くらいなら話してきて良いよとの許可を頂いた。

「ワシも連れて行け!」

としつこいのでザシコも連れて行くことにした。

(まあ、見えないだろうし、無問題かな)

公園に着くとすでに菖蒲さんが待っていた。彼の美学はとにかく人を待たせない事……らしい。

「すいません、夜に呼び出してしまって」

「いえいえいえ、こちらこそ早くきてしまって!」

(ああ、なんで謙虚だ。世界が菖蒲さんだけなら戦争は起きないだろうな)

「とにかくブランコに座りながら話しません?」

「了解です!」

二人はブランコに座り、ゆらゆらしながら会話を始めた。

少しの沈黙の後菖蒲さんが言った。

「ザシコちゃん、二木君と上手くやってる??」

僕は顔がダイヤモンド並みに硬くなった。

「だ、っだっ誰のことをおっしゃられているのかしら?」

「えっ?ほら二木君にチョコンと座っている『座敷童子』だよ!ね~ザシコちゃん!」

「おう菖蒲、久方ぶりじゃな」

菖蒲さんは僕の顔を見て

「ねっ!お互い知ってるでしょ?」

とニコニコしていた。簡単な事柄なのではあるが、頭の中が良く分からなくなってきた。まず「なんで菖蒲さんはザシコを見ることができるのか?」「何でザシコと親しげなのか?」

僕は少しブランコを漕いで気持ちを落ち着かせた。そのあと質問をした。

「何でザシコが視えるの??それといつから?」

「なんで視えるかは秘密ですね(笑)」

すると横からザシコが

「んなもん、『菖蒲家の血筋』を引いとるからじゃて」

菖蒲さんは慌てて

「まま、そういう感じさ。いつからってのは二木くんと会った時からかな。何か小さい子がバッグから外眺めてるな~って」

僕は良く分からないけど一応了解した。そしてふと頭の中に「川名の件」での発言について問いただした。

「ああ、それは単純に二木君が落ち込んでる感じだったから、強制的でも明るくなればなと考えてたら川名君が来て教えてあげたって感じ。そこで『あんまり気を張らないようにね』って伝えてもらうように頼んだんだ!」

なるほど、さすが菖蒲さんだ。タイミングもバッチリ。最も神に近い存在なのかもしれないな。

関心にふけていると、菖蒲さんは

「で、何か僕に聞きたいことがあるんじゃなかったっけ?」

ハッと気づいて僕は、菖蒲さんに偽りのない疑問をぶつけてみた。
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