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四葉のクローバー
ザシコの助言
しおりを挟む三日目、自分的にはばーちゃん達より早く起きたつもりが、それより先に皆起きていた。そして朝食も作ってる最中だった。
「いつもこれ位の時間に起きてくれるとねぇ」
と親父はからかってきた。やはり次男坊というのは揶揄いやすいのだろうか。と言っても僕的にも慣れっこなので
「いや~、若いと睡眠が必要たい」
と茶化した。朝食をとり、テレビを観ながら今日はどうするのか、何日こちらにいるのか聞いた。
「そうね~、後でまた昨日のスーパーに行こうと思~とるけどね。それと明日帰るとよ」
僕は少し動きが止まってしまった。
(明日?まずい・・・・特に何もヒントのようなことが聞き出せてない。買い物に付いて行って聞くしくない・・・・家にいては家族に疑問を持たれそうだし。ラストチャンスだ!!)
「ばーちゃん!俺も荷物持ちで付いて行って良い?」
「まーちゃんが付いて行ってくれるなら助かる~」
なんとか同行することにこぎつけそうだ。しかし何をどう聞き出せばいいのやら。ザシコに相談するか。
「はいザシコ、今日はばーちゃんからの特性ピリゴマ海苔巻きのおむすびだ!美味いぞ~?」
「ほう、香ばしい匂いじゃな。頂こうかの」
ザシコはそのおむすびを食べて感激していた。
「美味い!美味いぞよ!お主の作るのより断然美味い!このなんとも言えない味、流石婆様じゃ!」
「当たり前だろ?ばーちゃんだぞ!美味しくなく作る方が無理だって」
ザシコは食べるのに夢中で聞いていなかった。
(まぁ、美味いものを食べてる最中はそっちに集中するもの。仕方ない)
ザシコが食べ終わるまで、ザシコに何を相談すれば良いか考えた。食べ終わったザシコは満足そうにニコニコしていた。
「なあザシコ。明日ばーちゃん達帰るんだって」
「なぬ?それは不味い。美味しい飯が食えなくなるではないか!う~む」
「いや、そういう事ではなくて。『鎖』の件を解決する為の助言が聞き出せてないんだよ。今日、またスーパーへ買い出しに付いて行ける事になったんだけど、そこでの会話がラストチャンスと考えているんだ」
「そうじゃな、聞き出せる最後の機会と捉えるのは間違ってないのぅ」
「でだ。どういう風に聞けば良いと思うか、ザシコに相談したい」
「む~。簡潔に聞くのが良いと思う。何故なら答えも簡潔になると思うからじゃ。それと、やはり『気持ち』を聞くしかない!」
「なんの?」
「『死』についてじゃ」
僕はギョッとした。お年寄りの方は死ぬ事について良く自虐的に笑わせたりするが、娘が今の状態なのだ。その事を聞く事は果たしてどうなのか。それもばーちゃんからすると、孫の僕が母親について聞いているように思われるかもしれない。気分の良い話ではないのは明らかだ。でも、遠回しに聞くよりも端的で明快なのも事実。悩みに悩んだ。するとザシコはデコピンをしてきた。
「コラ!お主は『ガキ』なのじゃぞ!余計な事は考えるでない。大人ぶるな!」
何故かこの言葉が心に突き刺さった。そして夕方、助言をもらうためのラストチャンスが始まった。
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