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四葉のクローバー
頼りになるばー様
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2日目、ばーちゃんが近くのスーパーに食材を買いに行きたいと言った。大体の理由は分かっている。やはり自分の娘に作ってあげたいのだろう。料理はほとんどできない僕でも分かる。なので、荷物持ちと案内係として付き添うことにした。ゆっくり歩きながらばーちゃんは突然、顔色を変えることも声のトーンも変えず、こう言った。
「お母さんの病気、治りゃせんのだろうね~」
僕はどう言葉を返して良いか戸惑った。「治るに決まっとるよ!」なんて気軽に言える状態ではない。こういう時、自分の性格を恨んだ。詐欺師のように巧みに人を騙せるような、口だけ野郎ならどう説明するのだろうか。とにかく僕の最大限の答えが
「分からない。でも少しずつ良くなってる事は確かだよ!」
するとばーちゃんは
「そうかい。まーちゃん達が側にいるもんね。心配しとらんよ」
と言ってくれた。僕は直感で分かった。『ばーちゃんはお見通しだ。だっ、て・・・・母の母なんだもの』。流石だなぁと感銘を受けているとばーちゃんから意味深な言葉が。
「まーちゃんかたーくんは料理うまくなったと?」
「う~ん、ボチボチですね(笑)」
「あまりインスタントばかり食べたらいかんよ。こんな時『お姉ちゃん』がおれば、お母さんが教えてくれたかもしれんのにね」
「あははは、今の時代、お姉ちゃんだからって料理せんかもよ?」
「・・・・そうねぇ、そうだったかもしれんねぇ」
(そうだったかも・・・・?)
僕は疑問に思いつつも、その事については聞かなかった。スーパーでは、初めての場所なのに手際よく食材をカゴに入れていった。そして買った物を袋に詰める時、注意された。
「まーちゃん。袋に詰めーときはね、まずは外側から形作ってから入れるとよ。そして、野菜などは傷つき易いけん、潰れないように!」
(はぁ~、今まで冷凍食品かそうじゃないかしか考えてなかったなぁ)
「なるほど、ためになります!!」
帰る途中、ばーちゃんは昔の僕の話をしてくれた。
「まーちゃんはも~女の子みたいでクリクリしとったたい。お母さんが女の子みたいな服をいくつか買ってきてね~。注意してむくれたこともあったんだから。」
(あ~、『あの丁髷写真』もそういう経緯なのかな)
「でね、たーくんもたーくんでウロチョロして、も~目が離せんかったよ」
「あの竜がねぇ、意外です」
「まぁね、元気が一番たい!」
「そうだね!」
お互い微笑み、沈む夕陽を眺めながら家に着いた。
家に着いてからは、ばーちゃんが料理を作ってくれた。パッパと同時進行で料理を作り上げる様は職人のようだった。じーちゃんは母に話しかけているが、母は聞いているようで聞いてない。でも子供ながらに、「父親は娘が心配になるのは性なのかな?」と思った。
親父はばーちゃんを気遣って手伝おうとするが、手際が良すぎるせいか、入る隙を与えてもらえず、少し気まずそうにしている。
(結婚すると義父義母の関係で心労が凄そうだな・・・・)
ばーちゃんが作ってくれた料理はすごく美味しかった。何より母が懐かしの味を食べたおかげなのか嬉しそうだ。するとばーちゃんが
「ん~ま~、赤ちゃんみたいに食べさせてもらって、幸せ者たいね。お父さんとまーちゃんとたー君がおらんかったらアンタ死んどるよ」
とサラッと言った。もちろん皆んな固まった。流石ばーちゃん、悪意のない毒づきは流石だ。でも母は笑いながら
「私が元気なら作っとるよ」
と返した。親子だなぁと思いながら、母の食事介護をした。
「お母さんの病気、治りゃせんのだろうね~」
僕はどう言葉を返して良いか戸惑った。「治るに決まっとるよ!」なんて気軽に言える状態ではない。こういう時、自分の性格を恨んだ。詐欺師のように巧みに人を騙せるような、口だけ野郎ならどう説明するのだろうか。とにかく僕の最大限の答えが
「分からない。でも少しずつ良くなってる事は確かだよ!」
するとばーちゃんは
「そうかい。まーちゃん達が側にいるもんね。心配しとらんよ」
と言ってくれた。僕は直感で分かった。『ばーちゃんはお見通しだ。だっ、て・・・・母の母なんだもの』。流石だなぁと感銘を受けているとばーちゃんから意味深な言葉が。
「まーちゃんかたーくんは料理うまくなったと?」
「う~ん、ボチボチですね(笑)」
「あまりインスタントばかり食べたらいかんよ。こんな時『お姉ちゃん』がおれば、お母さんが教えてくれたかもしれんのにね」
「あははは、今の時代、お姉ちゃんだからって料理せんかもよ?」
「・・・・そうねぇ、そうだったかもしれんねぇ」
(そうだったかも・・・・?)
僕は疑問に思いつつも、その事については聞かなかった。スーパーでは、初めての場所なのに手際よく食材をカゴに入れていった。そして買った物を袋に詰める時、注意された。
「まーちゃん。袋に詰めーときはね、まずは外側から形作ってから入れるとよ。そして、野菜などは傷つき易いけん、潰れないように!」
(はぁ~、今まで冷凍食品かそうじゃないかしか考えてなかったなぁ)
「なるほど、ためになります!!」
帰る途中、ばーちゃんは昔の僕の話をしてくれた。
「まーちゃんはも~女の子みたいでクリクリしとったたい。お母さんが女の子みたいな服をいくつか買ってきてね~。注意してむくれたこともあったんだから。」
(あ~、『あの丁髷写真』もそういう経緯なのかな)
「でね、たーくんもたーくんでウロチョロして、も~目が離せんかったよ」
「あの竜がねぇ、意外です」
「まぁね、元気が一番たい!」
「そうだね!」
お互い微笑み、沈む夕陽を眺めながら家に着いた。
家に着いてからは、ばーちゃんが料理を作ってくれた。パッパと同時進行で料理を作り上げる様は職人のようだった。じーちゃんは母に話しかけているが、母は聞いているようで聞いてない。でも子供ながらに、「父親は娘が心配になるのは性なのかな?」と思った。
親父はばーちゃんを気遣って手伝おうとするが、手際が良すぎるせいか、入る隙を与えてもらえず、少し気まずそうにしている。
(結婚すると義父義母の関係で心労が凄そうだな・・・・)
ばーちゃんが作ってくれた料理はすごく美味しかった。何より母が懐かしの味を食べたおかげなのか嬉しそうだ。するとばーちゃんが
「ん~ま~、赤ちゃんみたいに食べさせてもらって、幸せ者たいね。お父さんとまーちゃんとたー君がおらんかったらアンタ死んどるよ」
とサラッと言った。もちろん皆んな固まった。流石ばーちゃん、悪意のない毒づきは流石だ。でも母は笑いながら
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