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フクジュソウ
浦嵯峨中学校
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浦嵯峨中学校はとても伝統ある学校で、先生や歳上の方とすれ違う際は必ず「挨拶」をしなければならない。そのおかげか地域では評判が良く、内申にも関係するとかしないとか。そんな学校だったが、私達は特別苦にはならなかった。ただ、弘康君だけは部活でも学校内でも挨拶だらけで気が休まらんと嘆いてたっけ(笑)
中学生になってからは私も菜央ちゃんも帰宅部で楽しく帰ってた。弘康君はサッカー部に入部して練習をしてる姿を何回か見たことはあった。中学二年の時、私達三人は同じクラスになったの。八クラスあったからビックリしちゃった!これからどんな風になるんだろって。でも、そう上手くはいかなかった……。
そのクラスでは「イジメ」があったの。虐められていたのは端正な顔立ちの静かな女子だった。これは私の勝手な正義感みたいなものなんだけど、小学二年生の時の私と被って見えたの。溶け込みたいけど溶け込めないみたいな。だから私が声をかけたの。
「こんにちは、私、同じクラスメイトの花雲雪見っていうの。あなたは?」
「……甘田優美」
「優美ちゃんかぁ、一年間よろしくね!」
「ナニナニ~、アタシの雪見ちゃんが興味を示すなんて~!アタシは出水菜緒!ヨロピク!で、コンニャロが高部弘康!すけべ男だから気をつけて!」
「誰がすけべ男だよ!ったく、ああ、俺高部弘康、なんかあったら言ってくれ。」
「うん……」
(私もこうやって菜央ちゃんにしてもらったんだよね……今度は私が!)
それから彼女に対するイジメはほとんど無くなった……と思っていた。一緒にお弁当を食べようと誘っても
「ダイエットしてるから昼食抜いてるの」
と断ったり、消しカスを授業中に投げつけられたり、机には誰かが掘ったであろう「シネ、カス、淫乱」の文字。時には廊下に机と椅子がひっくり返してあった時もあった。私は先生に告げた。優美ちゃんが酷いイジメにあってると。でも、先生は「分かった。今度本人に聞いてみる」と言うばかり。私は意地になって優美ちゃんとは普通に接したわ。菜央ちゃんも弘康君も。ある日、先生が放課後に女子だけを集めて説教をした。
「お前ら、正直に言ってほしい。この中で誰かとは言わないがイジメをしている人はいないか。」
するとある女子からは
「はぁ?んなもんやってねーっつーの。てかさ?何で男子だけやってないって言えるわけ?分かってんなら回りくどいことやんなや!」
「そうよ、こうやって全体を集めて言うより、イジメてた人に直接注意すべきだわ!私、甘田さんが虐められてるなんて知らなかったし、本人もあまり知られて欲しくないことだったんじゃないの?先生は知っててこんな事してるんですか?」
女子達の非難の声は凄かった。私もその時の先生の対応はどうかと思った。女子だけにした意味、そして何よりその場にイジメられてる「優美ちゃん」も連れてきてるからだ。彼女は俯いている。恐らく彼女から言い出したのではない。私が先生に「彼女が虐められている」と告げたからだ。
その日はそれで終わったけど、その日を境目に彼女は学校に来なくなった。代わりに私達がイジメの対象になった。
「テメーだろチクったの。テメーがチクッたりしなきゃ面倒なことにならなかったんだよ!」
机蹴りや陰口、暴力もあった。その度、菜央ちゃんが庇ってくれた。でも一番ダメージがあったのは「菜緒ちゃん」だったことはあとで分かった。そしてその菜央ちゃんを度々庇っていた弘康君は部活でイジメに遭っていた……私のせいで。
中学生になってからは私も菜央ちゃんも帰宅部で楽しく帰ってた。弘康君はサッカー部に入部して練習をしてる姿を何回か見たことはあった。中学二年の時、私達三人は同じクラスになったの。八クラスあったからビックリしちゃった!これからどんな風になるんだろって。でも、そう上手くはいかなかった……。
そのクラスでは「イジメ」があったの。虐められていたのは端正な顔立ちの静かな女子だった。これは私の勝手な正義感みたいなものなんだけど、小学二年生の時の私と被って見えたの。溶け込みたいけど溶け込めないみたいな。だから私が声をかけたの。
「こんにちは、私、同じクラスメイトの花雲雪見っていうの。あなたは?」
「……甘田優美」
「優美ちゃんかぁ、一年間よろしくね!」
「ナニナニ~、アタシの雪見ちゃんが興味を示すなんて~!アタシは出水菜緒!ヨロピク!で、コンニャロが高部弘康!すけべ男だから気をつけて!」
「誰がすけべ男だよ!ったく、ああ、俺高部弘康、なんかあったら言ってくれ。」
「うん……」
(私もこうやって菜央ちゃんにしてもらったんだよね……今度は私が!)
それから彼女に対するイジメはほとんど無くなった……と思っていた。一緒にお弁当を食べようと誘っても
「ダイエットしてるから昼食抜いてるの」
と断ったり、消しカスを授業中に投げつけられたり、机には誰かが掘ったであろう「シネ、カス、淫乱」の文字。時には廊下に机と椅子がひっくり返してあった時もあった。私は先生に告げた。優美ちゃんが酷いイジメにあってると。でも、先生は「分かった。今度本人に聞いてみる」と言うばかり。私は意地になって優美ちゃんとは普通に接したわ。菜央ちゃんも弘康君も。ある日、先生が放課後に女子だけを集めて説教をした。
「お前ら、正直に言ってほしい。この中で誰かとは言わないがイジメをしている人はいないか。」
するとある女子からは
「はぁ?んなもんやってねーっつーの。てかさ?何で男子だけやってないって言えるわけ?分かってんなら回りくどいことやんなや!」
「そうよ、こうやって全体を集めて言うより、イジメてた人に直接注意すべきだわ!私、甘田さんが虐められてるなんて知らなかったし、本人もあまり知られて欲しくないことだったんじゃないの?先生は知っててこんな事してるんですか?」
女子達の非難の声は凄かった。私もその時の先生の対応はどうかと思った。女子だけにした意味、そして何よりその場にイジメられてる「優美ちゃん」も連れてきてるからだ。彼女は俯いている。恐らく彼女から言い出したのではない。私が先生に「彼女が虐められている」と告げたからだ。
その日はそれで終わったけど、その日を境目に彼女は学校に来なくなった。代わりに私達がイジメの対象になった。
「テメーだろチクったの。テメーがチクッたりしなきゃ面倒なことにならなかったんだよ!」
机蹴りや陰口、暴力もあった。その度、菜央ちゃんが庇ってくれた。でも一番ダメージがあったのは「菜緒ちゃん」だったことはあとで分かった。そしてその菜央ちゃんを度々庇っていた弘康君は部活でイジメに遭っていた……私のせいで。
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