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三つ葉クローバー
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次の日、前回と同じ時間、同じ場所に集まることにした。するとこれまた前回と同様お互い一時間早く来てしまった。しかし違っていたのは雪見の服装だった。制服だった。
「場所はどこにする?」
と聞かれたので
「どうしようか~」
とわざとらしい演技で悩むフリをしていた。すると雪見から
「じゃあ……鎌倉、行こうか!」
との提案があった。僕は不意をつかれた気分だった。こちらから提案する手筈が、まさか向こうから誘ってくるとは……それに制服……。ここにはザシコはいない、自分だけなんだ!と自分に言い聞かせ、
「よし、鎌倉に行こうか!」
と元気よく返した。
鎌倉への路線は横須賀線で、J○を使う。あまり慣れてないせいか若干ソワソワする。しかし、未知なる世界に来たかの様なワクワク感もあるのもまた事実。電車が来て、乗車すると雪見は
「この感じ、久しぶりだなあ」
と脇が見えそうになるくらいまで背伸びした。
「そんなに乗ってなかと?」
「うん……」
雪見は懐かしそうに、でも寂しそうな表情で顔を俯けた。すかさず僕は、
「率直に聞きたい。雪見、君の親友は『自殺』してしまったんだね?」
静かな空気が流れる。電車の軋む音と遠くから人の咳払いしか聞こえなかった。数分後雪見は顔を上げて
「うん……私の親友は死んでしまったの。みんな私のせいじゃないと言うけど、私のせいなの!私が彼女を追い詰めてしまったのよ!絶対に……」
鬼気迫る告白だったが、僕は冷静でいられた。それも想定の範囲内だったからだ。でなきゃ『鎖』なんて普通現れんて。まもなく鎌倉に着きそうだったので、ここからは軽い散歩をしながら話をしようと提案し、彼女はそれに乗ってくれた。
「先に僕の事を話させてもらうね」
そう言うと雪見は少し緊張した面持ちをした。僕は川名の時と同じ様な内容を話した。雪見は
「そう……」
とだけしか言葉が出てこなかった。雪見は恐らくこれから色々言葉を選びながら語るつもりだったのだろう。自分のペースで話すつもりが、僕の曝露話でペースどころではなくなってしまったのだ。言葉を失ってしまうのも無理はない。僕は最後に
「雪見だけ辛い事を話すのは……なんかこう……フェアじゃない気がしてさ。隠すつもりもないしかと言って言わなきゃいけない話でもない。ただ、バラされると色々気を使ったりギスギスするかもしれないし、そういうのが嫌だという点ではこの話は僕にとってリスキーなんだよ」
と汗がダラダラと流れながらも雪見の目をまっすぐ見て言った。
雪見はフフッと笑って
「余計惚れそうだわ」
と小さな声で言った。
そして雪見は過去の話を話し始めた。
「場所はどこにする?」
と聞かれたので
「どうしようか~」
とわざとらしい演技で悩むフリをしていた。すると雪見から
「じゃあ……鎌倉、行こうか!」
との提案があった。僕は不意をつかれた気分だった。こちらから提案する手筈が、まさか向こうから誘ってくるとは……それに制服……。ここにはザシコはいない、自分だけなんだ!と自分に言い聞かせ、
「よし、鎌倉に行こうか!」
と元気よく返した。
鎌倉への路線は横須賀線で、J○を使う。あまり慣れてないせいか若干ソワソワする。しかし、未知なる世界に来たかの様なワクワク感もあるのもまた事実。電車が来て、乗車すると雪見は
「この感じ、久しぶりだなあ」
と脇が見えそうになるくらいまで背伸びした。
「そんなに乗ってなかと?」
「うん……」
雪見は懐かしそうに、でも寂しそうな表情で顔を俯けた。すかさず僕は、
「率直に聞きたい。雪見、君の親友は『自殺』してしまったんだね?」
静かな空気が流れる。電車の軋む音と遠くから人の咳払いしか聞こえなかった。数分後雪見は顔を上げて
「うん……私の親友は死んでしまったの。みんな私のせいじゃないと言うけど、私のせいなの!私が彼女を追い詰めてしまったのよ!絶対に……」
鬼気迫る告白だったが、僕は冷静でいられた。それも想定の範囲内だったからだ。でなきゃ『鎖』なんて普通現れんて。まもなく鎌倉に着きそうだったので、ここからは軽い散歩をしながら話をしようと提案し、彼女はそれに乗ってくれた。
「先に僕の事を話させてもらうね」
そう言うと雪見は少し緊張した面持ちをした。僕は川名の時と同じ様な内容を話した。雪見は
「そう……」
とだけしか言葉が出てこなかった。雪見は恐らくこれから色々言葉を選びながら語るつもりだったのだろう。自分のペースで話すつもりが、僕の曝露話でペースどころではなくなってしまったのだ。言葉を失ってしまうのも無理はない。僕は最後に
「雪見だけ辛い事を話すのは……なんかこう……フェアじゃない気がしてさ。隠すつもりもないしかと言って言わなきゃいけない話でもない。ただ、バラされると色々気を使ったりギスギスするかもしれないし、そういうのが嫌だという点ではこの話は僕にとってリスキーなんだよ」
と汗がダラダラと流れながらも雪見の目をまっすぐ見て言った。
雪見はフフッと笑って
「余計惚れそうだわ」
と小さな声で言った。
そして雪見は過去の話を話し始めた。
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