あの日の後悔と懺悔とそれと

ばってんがー森

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三つ葉クローバー

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ザシコは話を聞きながら分析をしてくれてたらしい。

「まず、バイク小僧の話と娘の話は確実に繋がっている。そして、身投げした娘と関係がある。」

「うん……」

それは最初の『鎌倉』発言でなんとなく分かっていた。が、それ以降上手く聞き出せたものなのか……。自信なさげにそう答えると

「バカタレ、『腕時計』はどうした!」

そういえば、彼女は腕時計をしており、その腕時計の秒針は止まっていた。そして川名が話してくれた件にも『腕時計』の話がでていた。確かに『腕時計』は『共通点』だ。僕は些細な事でも問題解決に繋がるのであればと一生懸命思い出しながら考察した。そして、いくつかのワードを拾い上げて推測した。彼女は『高校では楽しく過ごしているよ』と言っていた。そうなると、問題があったのは『小学生』の時か『中学生』の時ではないか。更に、川名の『話』では『中学生』の時。そうなると『中学生』の時に何かあったと考えるのが最も可能性が高い。その考察をザシコに伝えた。するとザシコは

「流石我がおと……マコじゃ。今日だけは冴えとるのぅ」

褒められてるのか馬鹿にされているのか分からないが、的外れではなさそうだ。しかし、問題はここからだ。ザシコは

「この後、あの娘に会うたびに尋問みたいな形で問い詰めても話し辛いじゃろう。そこでじゃ、バイク小僧からもう少し話を引き出すのはどうかのぅ」

「いや、でもさ。もう聞くことはなくない?あれ以上に聞く内容はないよ。それに思い出すだけでも辛いだろうし」

「あの時は奴から一方的に話してたじゃろ。今度はこちらから質問を投げかけるのじゃ!何でも良いから」

「え~、いやだって……川名と彼女が会話して、別れて……で、飛び込み自殺した……。それ以外に情報がなくない?」

「バカタレ、あやつが言うておったじゃろ。『嬉しいことが二つから三つに増えた』と。その時の『会話』に何かヒントがあるかもしれん。この『二つから三つ』の『二つ』……。気になるのぅ。何故かと言われると答え辛いが、そこは『女の勘』じゃ!!」

腕を組みながら鼻息を荒くした。

『女の勘』

こればかりは男の僕には分からない。でも、ザシコが言うんだ。嘘とは思えない。少しずつパズルは埋まっていくのに、この焦燥感はなんだろうか。僕は車窓から見える雲を見た。珍しく風があまり吹いてないのか、雲は動いていなかった。
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