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三つ葉クローバー
会話と質問と回答
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「真人君はさ、何が知りたいの?好きな食べ物とか、好きな……人とか?」
まさかの回答だった。考えてみれば当たり前である。あくまで自分が『鎖』の件を聞きたい訳であって、雪見からすれば何を聞きたいのか分からない。僕は初歩的なミスをしてしまった。急いで話を『鎖』の件につながる様な事に持っていかねば!
「そうだなぁ、僕はあまり人付き合いが得意じゃないんだけど、雪見は誰隔てなく優しく接することが出来そうだから羨ましいなぁ」
何を言っているんだ僕は。何を聞きたいのか問われているのに自分紹介になってしまっている。しかし、これが意外と功を奏した。
「そんなことないよ(笑)うん……そんなことはない……」
彼女は少し下を向いた。すかさずザシコが服を引っ張る。
「ここじゃて」
僕は仕掛けた。
「高校で何かあったの?聞くよ?話すだけでも気持ちって楽になると思うしさ」
この言葉を言いながら、自分は嫌悪感に陥った。
(お前が言うなよ)
と。
「ううん、高校では楽しく過ごしているよ!ただ、ふと、自分の存在自体を消し去りたいと思う時があるの」
雪見は腕時計を触りながら言った。その腕時計は、よく見ると秒針が動いてなかった。その時、脳裏に川名の『あの話』を思い出した。でも、あえて触れようとはしなかった。刻々と彼女の降りる駅が近づく。あと受け答えの時間を考えて一、ニ問だろう。僕は話をぶつ切りにするのではなく、自然な流れで聞き出す事に賭けた。
「存在自体を消し去りたいかぁ、あるよね、そういう時。それの最たるものが『自殺』だと思う。これは僕の勝手な持論だけど、『死にたい』と思い続けて死ぬ人よりも、『この場、この状況から逃げたい』って人が『自殺』するんだと思うなぁ」
雪見はビックリした表情をしていた。
(やはり川名の『あの話』と関係があるな)
僕は確信した。
「真人君は、そういう事思ったことあるの?」
食い気味で、質問してきた。
「う~ん、僕だけじゃなくほとんどの人が『思った』ことがあると思うよ。ただ、もし実行した時、周りに迷惑がかかるとか、怖いとか。そういう理性的なストッパーがあるからしないんだと思うよ。雪見は?」
ラストアンサーだ。もうすぐ雪見の降りる駅に着く。僕は固唾を飲んだ。
「私は……そのストッパーを取り壊したい……」
そういうと立ち上がって、ドアの方へ歩き出した。そして振り返って
「また、今度ね」
そう言って駅に着き、ドアが開いた瞬間走り出した。
僕は上手く話を聞き出せたろうか。そう反省してるとザシコが言った。
「ようやった。話が繋がってきた」
まさかの回答だった。考えてみれば当たり前である。あくまで自分が『鎖』の件を聞きたい訳であって、雪見からすれば何を聞きたいのか分からない。僕は初歩的なミスをしてしまった。急いで話を『鎖』の件につながる様な事に持っていかねば!
「そうだなぁ、僕はあまり人付き合いが得意じゃないんだけど、雪見は誰隔てなく優しく接することが出来そうだから羨ましいなぁ」
何を言っているんだ僕は。何を聞きたいのか問われているのに自分紹介になってしまっている。しかし、これが意外と功を奏した。
「そんなことないよ(笑)うん……そんなことはない……」
彼女は少し下を向いた。すかさずザシコが服を引っ張る。
「ここじゃて」
僕は仕掛けた。
「高校で何かあったの?聞くよ?話すだけでも気持ちって楽になると思うしさ」
この言葉を言いながら、自分は嫌悪感に陥った。
(お前が言うなよ)
と。
「ううん、高校では楽しく過ごしているよ!ただ、ふと、自分の存在自体を消し去りたいと思う時があるの」
雪見は腕時計を触りながら言った。その腕時計は、よく見ると秒針が動いてなかった。その時、脳裏に川名の『あの話』を思い出した。でも、あえて触れようとはしなかった。刻々と彼女の降りる駅が近づく。あと受け答えの時間を考えて一、ニ問だろう。僕は話をぶつ切りにするのではなく、自然な流れで聞き出す事に賭けた。
「存在自体を消し去りたいかぁ、あるよね、そういう時。それの最たるものが『自殺』だと思う。これは僕の勝手な持論だけど、『死にたい』と思い続けて死ぬ人よりも、『この場、この状況から逃げたい』って人が『自殺』するんだと思うなぁ」
雪見はビックリした表情をしていた。
(やはり川名の『あの話』と関係があるな)
僕は確信した。
「真人君は、そういう事思ったことあるの?」
食い気味で、質問してきた。
「う~ん、僕だけじゃなくほとんどの人が『思った』ことがあると思うよ。ただ、もし実行した時、周りに迷惑がかかるとか、怖いとか。そういう理性的なストッパーがあるからしないんだと思うよ。雪見は?」
ラストアンサーだ。もうすぐ雪見の降りる駅に着く。僕は固唾を飲んだ。
「私は……そのストッパーを取り壊したい……」
そういうと立ち上がって、ドアの方へ歩き出した。そして振り返って
「また、今度ね」
そう言って駅に着き、ドアが開いた瞬間走り出した。
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「ようやった。話が繋がってきた」
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