37 / 129
三つ葉クローバー
会議
しおりを挟む
「う~ん。ん~。あっ!……う~ん」
朝から僕はこんな感じだ。終いにはザシコから梅干しの種が飛んでくる始末。
「やかましい!!」
そうザシコが怒鳴るのも無理はない。何か悩んでないと落ち着かないのだ。英語のスピーチの順番で、刻一刻と回ってくる不安と緊張感でソワソワする、あの感覚と言えば分かりやすいだろうか。どちらにしても嫌な感覚である。するとザシコが横蹴りをし、
「せからしか!もう、一つ一つやっていくしかないじゃろうが。」
確かに。はい、ごもっともです。
「まずは、こちらが得ている情報の整理じゃ。」
「はい、先生!」
僕は調子に乗ったが、ザシコは案外気に入った様だ。
「うむ、何じゃ」
「まず、『雪見』と『僕』は本物ではない呪いみたいな『鎖』が繋がっています。そして、『川名』と『僕』にも鎖が繋がっています」
「うむ」
「そして今謎なのが『雪見の解決したい想い』と『その解決方法』です!」
「うむうむ、なんだ、悩んでた割にはちゃんと整理できとるじゃないか!やりおる」
ザシコは腕を組み頷いた。
「ですが、何故、『川名』と鎖で結ばれる事になったのかが理解できません!」
ザシコはベッドの上へ乗り、僕にこう言った。
「じゃから、前にバイク小僧との鎖の件は予想外じゃったが運が良かったと言うだはずだが?それは何故か。『共有』の件覚えておるか?」
「覚えてますとも」
「バイク小僧。奴にあんな過去があったとはの」
「うん……」
「で、そのバイク小僧の話した相手……。まあ自殺してしまった女子生徒。雪見の『想い』と深く関係しているとワシは見ている」
僕はゾクっとした。初めは「雪見の『想い』を解決すること」という雲を掴む様な問題だったはず。それが今、目に見える形になり、『何か』を掴めそうになってきた。登場人物は誰で、どんなことがあった。そして、どうして今の様な経緯に至ったのか。最後に『どうしたい』のか。徐々にピースが揃ってくる感覚が、堪らなく気持ちを昂らせた。その事を察知したのか、ザシコは
「お前さん、慌てるでない。少なくともまだ仮説段階じゃ」
と宥めた。
「分かってるって。この仮説をより確かなものにするため、また、新たな情報を掴むため。ザシコ、僕は雪見と会ってくる」
この時の僕の決意は、誰にも止められなかったと思う。
「油断は禁物じゃぜ。何かあってから取り返しがつけば良いが、取り返しがつかなかったりすると……」
ザシコの顔は真剣だった。
「大丈夫!ザシコ先生が守ってくれるんでしょ?」
僕は「当たり前でしょ?」という100%他人任せの無責任な発言をした。ザシコは拍子抜けな表情をした後、「面白い!やってやろうじゃないか!」という表情になり、僕とザシコはハイタッチした。
朝から僕はこんな感じだ。終いにはザシコから梅干しの種が飛んでくる始末。
「やかましい!!」
そうザシコが怒鳴るのも無理はない。何か悩んでないと落ち着かないのだ。英語のスピーチの順番で、刻一刻と回ってくる不安と緊張感でソワソワする、あの感覚と言えば分かりやすいだろうか。どちらにしても嫌な感覚である。するとザシコが横蹴りをし、
「せからしか!もう、一つ一つやっていくしかないじゃろうが。」
確かに。はい、ごもっともです。
「まずは、こちらが得ている情報の整理じゃ。」
「はい、先生!」
僕は調子に乗ったが、ザシコは案外気に入った様だ。
「うむ、何じゃ」
「まず、『雪見』と『僕』は本物ではない呪いみたいな『鎖』が繋がっています。そして、『川名』と『僕』にも鎖が繋がっています」
「うむ」
「そして今謎なのが『雪見の解決したい想い』と『その解決方法』です!」
「うむうむ、なんだ、悩んでた割にはちゃんと整理できとるじゃないか!やりおる」
ザシコは腕を組み頷いた。
「ですが、何故、『川名』と鎖で結ばれる事になったのかが理解できません!」
ザシコはベッドの上へ乗り、僕にこう言った。
「じゃから、前にバイク小僧との鎖の件は予想外じゃったが運が良かったと言うだはずだが?それは何故か。『共有』の件覚えておるか?」
「覚えてますとも」
「バイク小僧。奴にあんな過去があったとはの」
「うん……」
「で、そのバイク小僧の話した相手……。まあ自殺してしまった女子生徒。雪見の『想い』と深く関係しているとワシは見ている」
僕はゾクっとした。初めは「雪見の『想い』を解決すること」という雲を掴む様な問題だったはず。それが今、目に見える形になり、『何か』を掴めそうになってきた。登場人物は誰で、どんなことがあった。そして、どうして今の様な経緯に至ったのか。最後に『どうしたい』のか。徐々にピースが揃ってくる感覚が、堪らなく気持ちを昂らせた。その事を察知したのか、ザシコは
「お前さん、慌てるでない。少なくともまだ仮説段階じゃ」
と宥めた。
「分かってるって。この仮説をより確かなものにするため、また、新たな情報を掴むため。ザシコ、僕は雪見と会ってくる」
この時の僕の決意は、誰にも止められなかったと思う。
「油断は禁物じゃぜ。何かあってから取り返しがつけば良いが、取り返しがつかなかったりすると……」
ザシコの顔は真剣だった。
「大丈夫!ザシコ先生が守ってくれるんでしょ?」
僕は「当たり前でしょ?」という100%他人任せの無責任な発言をした。ザシコは拍子抜けな表情をした後、「面白い!やってやろうじゃないか!」という表情になり、僕とザシコはハイタッチした。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる