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神龍様の眷属たちとマジックバック
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『もう近付いても大丈夫だぞ。』
神龍様がそう言うと、見たことのない生き物がわらわらと、木陰から、泉から、花の間から、土から、空から現れた。
みんなにこにこと嬉しそうに見える。
『我の眷属たちだ。』
(か、可愛い!)
「一ノ瀬 丹那です。えっと、ニナって呼んでください。これからよろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げると、みんなが真似をしてぺこりと頭を下げてくれた。
中には頭が大きいせいか、そのまま転がってしまう子達もいた。
(か、可愛いすぎる!)
『数が多いが、眷属たちとは一緒に暮らしていれば、すぐに仲良くなって顔も覚えられるだろう。お前たち、この人間は腹が減っているようだ。人間が食べられるものを探してきてくれるか?』
『『『『『は~い♪』』』』』
(え!?そんなに大勢で行っちゃうの?)
現れた子たちのほとんどが、その場からいなくなった。
『ドライアド、アラクネ、この人間の服を作ることはできるか?』
『『お任せください。』』
(え!?ドライアドにアラクネって、あの!?)
明らかに植物からできている綺麗なお姉さんたちと蜘蛛の下半身を持つ綺麗なお姉さんたちが、森の中に消えて行った。
(・・少しくらい残ってくれてもいいのに。)
可愛いもの好きのニナは一瞬空腹感を忘れたのだが、無情にも、その音は森に響き渡る。
ぐきゅるるる~
「あぅぅ・・・」
ニナはお腹を押さえながら、蹲る。
『神気が強い者たちには直ぐには影響は出ないが、この森にすむ眷属でも、弱きものにはあの国の物は毒になる。それくらいあの国の物は穢れが強い。其方の側にいたい気持ちよりも、あの国の穢れの残滓に対する不安感が勝ってしまったのだろう。其方の役に立ちたくて去って行ったのだ。悪く思うな。』
「それは、大丈夫です。みんなが可愛すぎて、もうちょっと見ていたかっただけなので。」
『これからが大変だぞ?みんな張り切って行ってしまったからな。どれだけの食料が集まるか。』
食料かぁ・・食は大事だよね。
昨夜奇跡的に出来たマジックバックは、さっきの神龍様の浄化で消えてしまった。
「時間経過の無いマジックバックが欲しいな。」
私が呟くと、黒龍さんから「ブチリッ」と、聞こえてはいけない音がしてきた。
そして私の前に差し出される、黒い物体。
『生え変わったばかりの柔らかい鱗だ。鞄を作るのに使えると思うぞ?』
差し出された貴重な素材に、恐る恐る手を伸ばす。
(神龍様の鱗って…ドラゴンの素材でも貴重な物なんじゃないのかな。)
「ありがとうございます?大切に使わせてもらいます。」
そう言って神龍様を見上げると、結構な量の血が流れていた。
生え変わったばかりの鱗を無理やり引き抜いたのだ。
「ブチリッ」と凄い音がするほどに、しっかり体に生えていた鱗を、私のために。
嬉しくて涙が出そうになるのを堪えて、鱗が生えていたであろうところに掌を向けて「ヒール」と唱えた。
『気持ちのいいものだな、其方の魔力は。』
「ありがとうございます。」
初めてマジックバックを作った時は、確か空間魔法とスキル付与が使えるようになったんだっけ。
あの時みたいに思い描けば、できるかな?
「神龍様の鱗さん。時間経過のない、大容量のマジックバックになってください。」
一抱えほどあった大きな鱗は形を変えていき、鞄ではなく、幅広のバングルのようなものになった。
(この世界には、質量の法則がないんだね。さて、ちゃんとマジックバックになってるかな?)
「鑑定」
【無限収納バングル】
レア度:神話級
大きさ:無制限
時間経過:無
特殊性能:収納したものを神気により浄化
特記事項:この世界に1つしか存在しない神話級の収納魔道具。神気の強い生え変わったばかりの神龍の鱗を使って作成された、奇跡の一品。このレベルのアイテムが出回ると、この世界の生きとし生けるものが神格化する。
「ふぎゃぁあああああああ!なにこれぇええええええ!!」
『落ち着け。これくらいのもの、神であれば皆持っておる。』
「私は神様じゃない!」
『では、神になればよい。』
「そういう問題じゃない!!」
空腹感に疲労感が積み重なり、私はその場に突っ伏した。
神龍様がそう言うと、見たことのない生き物がわらわらと、木陰から、泉から、花の間から、土から、空から現れた。
みんなにこにこと嬉しそうに見える。
『我の眷属たちだ。』
(か、可愛い!)
「一ノ瀬 丹那です。えっと、ニナって呼んでください。これからよろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げると、みんなが真似をしてぺこりと頭を下げてくれた。
中には頭が大きいせいか、そのまま転がってしまう子達もいた。
(か、可愛いすぎる!)
『数が多いが、眷属たちとは一緒に暮らしていれば、すぐに仲良くなって顔も覚えられるだろう。お前たち、この人間は腹が減っているようだ。人間が食べられるものを探してきてくれるか?』
『『『『『は~い♪』』』』』
(え!?そんなに大勢で行っちゃうの?)
現れた子たちのほとんどが、その場からいなくなった。
『ドライアド、アラクネ、この人間の服を作ることはできるか?』
『『お任せください。』』
(え!?ドライアドにアラクネって、あの!?)
明らかに植物からできている綺麗なお姉さんたちと蜘蛛の下半身を持つ綺麗なお姉さんたちが、森の中に消えて行った。
(・・少しくらい残ってくれてもいいのに。)
可愛いもの好きのニナは一瞬空腹感を忘れたのだが、無情にも、その音は森に響き渡る。
ぐきゅるるる~
「あぅぅ・・・」
ニナはお腹を押さえながら、蹲る。
『神気が強い者たちには直ぐには影響は出ないが、この森にすむ眷属でも、弱きものにはあの国の物は毒になる。それくらいあの国の物は穢れが強い。其方の側にいたい気持ちよりも、あの国の穢れの残滓に対する不安感が勝ってしまったのだろう。其方の役に立ちたくて去って行ったのだ。悪く思うな。』
「それは、大丈夫です。みんなが可愛すぎて、もうちょっと見ていたかっただけなので。」
『これからが大変だぞ?みんな張り切って行ってしまったからな。どれだけの食料が集まるか。』
食料かぁ・・食は大事だよね。
昨夜奇跡的に出来たマジックバックは、さっきの神龍様の浄化で消えてしまった。
「時間経過の無いマジックバックが欲しいな。」
私が呟くと、黒龍さんから「ブチリッ」と、聞こえてはいけない音がしてきた。
そして私の前に差し出される、黒い物体。
『生え変わったばかりの柔らかい鱗だ。鞄を作るのに使えると思うぞ?』
差し出された貴重な素材に、恐る恐る手を伸ばす。
(神龍様の鱗って…ドラゴンの素材でも貴重な物なんじゃないのかな。)
「ありがとうございます?大切に使わせてもらいます。」
そう言って神龍様を見上げると、結構な量の血が流れていた。
生え変わったばかりの鱗を無理やり引き抜いたのだ。
「ブチリッ」と凄い音がするほどに、しっかり体に生えていた鱗を、私のために。
嬉しくて涙が出そうになるのを堪えて、鱗が生えていたであろうところに掌を向けて「ヒール」と唱えた。
『気持ちのいいものだな、其方の魔力は。』
「ありがとうございます。」
初めてマジックバックを作った時は、確か空間魔法とスキル付与が使えるようになったんだっけ。
あの時みたいに思い描けば、できるかな?
「神龍様の鱗さん。時間経過のない、大容量のマジックバックになってください。」
一抱えほどあった大きな鱗は形を変えていき、鞄ではなく、幅広のバングルのようなものになった。
(この世界には、質量の法則がないんだね。さて、ちゃんとマジックバックになってるかな?)
「鑑定」
【無限収納バングル】
レア度:神話級
大きさ:無制限
時間経過:無
特殊性能:収納したものを神気により浄化
特記事項:この世界に1つしか存在しない神話級の収納魔道具。神気の強い生え変わったばかりの神龍の鱗を使って作成された、奇跡の一品。このレベルのアイテムが出回ると、この世界の生きとし生けるものが神格化する。
「ふぎゃぁあああああああ!なにこれぇええええええ!!」
『落ち着け。これくらいのもの、神であれば皆持っておる。』
「私は神様じゃない!」
『では、神になればよい。』
「そういう問題じゃない!!」
空腹感に疲労感が積み重なり、私はその場に突っ伏した。
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