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憤る神々
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神とは、どの世界でも、絶対的存在であり、信仰の対象である。
世界により、神の在り方や神と人との距離は異なるが、どの世界でも、尊崇され、畏怖されるものである。
神は人知を超越した絶対的能力を持つ全知全能とされ、時に自分の世界の人間に禍福や賞罰を与えることもある。
この世界の創造主である主神の創造神は、憤っていた。
創造神だけでなく、この世界のすべての神々が、禁忌とされている異世界の邪神の力による聖女召喚を行ったバラライド国に、憤っていた。
この世界の神たちは、創造神である主神の影響なのか、感情豊かであった。
創造神を始め多くの神は自然神であったが、中には人間神もいた。
自然神も人間神も、この世界を守るために、当たり前のように人間の世界に介入していた。
神たちは、多くの命が失われることを嫌う。
神たちの価値観によるものなので、領土争いの戦争位では、関与することはない。
けれど、邪悪な心を持った者たちが増えすぎた国や町などの土地は、世界への影響を考えて、凶悪な魔獣が闊歩する魔の森によってその土地を囲み、外部との関わりの一切を断つという神罰を与えていた。
外部との関りが無くなっても生活していけるだけの配慮がされるのは、さすが神様である。
邪悪な心を持つ者たちのすべてが寿命を終え、魔の森が消滅することもあったが、殆どの場合、邪悪な心を持つ者たちが改心することはなく、邪悪な心を持つ者たちが住む土地は、そのまま魔の森に飲み込まれてしまう。
稀に聖女が生まれ、その浄化の力により、邪悪な者たちの心を浄化して善人に生まれ変わらせることにより、魔の森が消滅することがあった。
この聖女による奇跡は、御伽噺として、語り継がれていた。
バラライド国は、そんな神罰を与えられた国だった。
国単位で神罰を与えられたことは数千年ぶりのことであった。
神が神罰を当たり前のように与えることが知られているこの世界で、邪悪な心を持った愚か者だらけの国になってしまったバラライド国に神罰を下すことになった神々は、悲しんでいた。
傲慢なガマガエル顔の国王は、自分が王位を継いでから魔の森が一気に広がって国を囲み込んでしまい、国外との関りが断たれたことに激怒していた。
国内のレベルの高い騎士や魔法使い、冒険者等に、国外から自分の欲する物を持ってくるように命じ続けたが、誰一人として戻って来なかった。
王命を受けた者たちはすべて魔の森の魔獣に命を狩られたのだが、国王は自分を裏切って逃げたのだと憤怒した。
魔の森に閉じ込められて2年が経った頃、国王と同じく贅の限りが尽くせなくなったことに不満が募った教会の司祭から国王に、禁忌とされる生贄による聖女召喚の話を持ちかけられた。
御伽噺を曲解し、聖女に魔の森を浄化させれば、以前のように国交が再開できると、2人は思い込んだ。
自らを省みず、自国を魔の森で囲み込んだ神を恨んでいた2人は、この世界の神では無く、異世界の神の力による聖女召喚を行う準備を始めた。
王城の地下3階に生贄を詰め込み、地下2階の召喚部屋には、聖女を召喚する魔術師と魔法使いが集められた。
部屋の中央には聖女召喚のための魔法陣を描き、その周りには見目の良い生贄が並べられた。
用意された生贄の数は、666人。
魔力を増幅するための石を作るために費やされた命は、その数倍であった。
魔術師と魔法使いは等間隔に壁際に並び、魔力を増幅する石が嵌められた杖を持ち、一斉に詠唱を始めた。
世界により、神の在り方や神と人との距離は異なるが、どの世界でも、尊崇され、畏怖されるものである。
神は人知を超越した絶対的能力を持つ全知全能とされ、時に自分の世界の人間に禍福や賞罰を与えることもある。
この世界の創造主である主神の創造神は、憤っていた。
創造神だけでなく、この世界のすべての神々が、禁忌とされている異世界の邪神の力による聖女召喚を行ったバラライド国に、憤っていた。
この世界の神たちは、創造神である主神の影響なのか、感情豊かであった。
創造神を始め多くの神は自然神であったが、中には人間神もいた。
自然神も人間神も、この世界を守るために、当たり前のように人間の世界に介入していた。
神たちは、多くの命が失われることを嫌う。
神たちの価値観によるものなので、領土争いの戦争位では、関与することはない。
けれど、邪悪な心を持った者たちが増えすぎた国や町などの土地は、世界への影響を考えて、凶悪な魔獣が闊歩する魔の森によってその土地を囲み、外部との関わりの一切を断つという神罰を与えていた。
外部との関りが無くなっても生活していけるだけの配慮がされるのは、さすが神様である。
邪悪な心を持つ者たちのすべてが寿命を終え、魔の森が消滅することもあったが、殆どの場合、邪悪な心を持つ者たちが改心することはなく、邪悪な心を持つ者たちが住む土地は、そのまま魔の森に飲み込まれてしまう。
稀に聖女が生まれ、その浄化の力により、邪悪な者たちの心を浄化して善人に生まれ変わらせることにより、魔の森が消滅することがあった。
この聖女による奇跡は、御伽噺として、語り継がれていた。
バラライド国は、そんな神罰を与えられた国だった。
国単位で神罰を与えられたことは数千年ぶりのことであった。
神が神罰を当たり前のように与えることが知られているこの世界で、邪悪な心を持った愚か者だらけの国になってしまったバラライド国に神罰を下すことになった神々は、悲しんでいた。
傲慢なガマガエル顔の国王は、自分が王位を継いでから魔の森が一気に広がって国を囲み込んでしまい、国外との関りが断たれたことに激怒していた。
国内のレベルの高い騎士や魔法使い、冒険者等に、国外から自分の欲する物を持ってくるように命じ続けたが、誰一人として戻って来なかった。
王命を受けた者たちはすべて魔の森の魔獣に命を狩られたのだが、国王は自分を裏切って逃げたのだと憤怒した。
魔の森に閉じ込められて2年が経った頃、国王と同じく贅の限りが尽くせなくなったことに不満が募った教会の司祭から国王に、禁忌とされる生贄による聖女召喚の話を持ちかけられた。
御伽噺を曲解し、聖女に魔の森を浄化させれば、以前のように国交が再開できると、2人は思い込んだ。
自らを省みず、自国を魔の森で囲み込んだ神を恨んでいた2人は、この世界の神では無く、異世界の神の力による聖女召喚を行う準備を始めた。
王城の地下3階に生贄を詰め込み、地下2階の召喚部屋には、聖女を召喚する魔術師と魔法使いが集められた。
部屋の中央には聖女召喚のための魔法陣を描き、その周りには見目の良い生贄が並べられた。
用意された生贄の数は、666人。
魔力を増幅するための石を作るために費やされた命は、その数倍であった。
魔術師と魔法使いは等間隔に壁際に並び、魔力を増幅する石が嵌められた杖を持ち、一斉に詠唱を始めた。
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