召喚され、あっという間に殺されることになった魔力ゼロの聖女。チート無双もできるけど、のんびり異世界で暮らすことにした。

SHEILA

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証拠隠滅 4

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戻ってきた兵士2人は、全身鎧姿ではなかった。
体の急所だけを覆うような金属や皮の鎧(?)や籠手や脛当てのようなものを身に着けて、腰には剣を下げ、前からだと体の上と横にはみ出ているのが見えるほどの大きなリュック(?)を背負い、両手にも大きな荷物を、重そうに持っていた。

だんだん近づいてくる2人の、さっきは鎧で見えなかった顔が見えてくる。
2人とも30歳前後だろうか。
西洋人顔なのだけれど、異世界では年相応なのか、年齢より若く見えるのか老けて見えるのか分からない。

2人が私から3メートルほど離れたところで立ち止まり、荷物を降ろした。
近くで見ると、性格が悪そうな顔をしているのが分かり、落ち着かなくなる。

「おい、まさか一人なのか?ノインとボランはどうした?」

大きくはないが不機嫌な声に、身が竦む。

「馬車の用意をしに行きました。」

「くそっ、あいつら、どうしようもねぇな。」

2人が一気に気色ばむ。
沸点はかなり低いようだ。

( 嫌な感が当たっちゃったみたい。ノインさんとボランさんとは仲が良いわけではないのか。逃走手段を得るために、馬や馬車を管理している彼らを利用してるだけなのかも。)

「悪意を認識できればいいのに…」

『ピロン♪』
『スキル鑑定が、鑑定の最上位スキル、スキル真贋に進化しました。相手を鑑定することで、相手が考えていることがざっくり分かります。真贋で鑑定しても、相手に感知されることはありません。安心して鑑定しまくってください。』

「は?」

「どうした?」

「あ、いえ、なんでもありません。」

( スキル鑑定さん、改めスキル真贋さんがフレンドリーに進化した?どうなってるの?いやいや、その前に、自分の命が掛かっているんだから、できることをやらなきゃ!ご都合主義万歳!「鑑定」)


名前:トーマス
種族:人族
年齢:33歳
職業:兵士
Lv:6
HP(体力):61
MP(魔力):23
スキル:剣術、気配察知、火魔法
加護:なし
称号:離反者
思考:丹那を奴隷商に売ろうと目論んでいる


名前:ゲイル
種族:人族
年齢:31歳
職業:兵士
Lv:8
HP(体力):64
MP(魔力):41
スキル:剣術、闇魔法
加護:なし
称号:離反者
思考:丹那を奴隷商に売ろうと目論んでいる トーマスを殺して、丹那を売ったお金を独り占めしようと企んでいる


頭が一気に冷えて、感覚が研ぎ澄まされていく。

( 逃げなきゃ。いつ、どこで、私を売ろうとしてるの?「鑑定」)

名前:トーマス
思考:丹那を魔の森の手前の町、ポルタの奴隷商に売ろうと目論んでいる


名前:ゲイル
思考:丹那を魔の森の手前の町、ポルタの奴隷商に売ろうと目論んでいる トーマスをポルタの町で酔いつぶしてから殺して、丹那を売ったお金を独り占めしようと企んでいる

( 国王といい、こいつらといい、なんなんだ!この世界は!!)
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