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証拠隠滅 6
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目の前にいるトーマスとゲイルが苛立っているのが分かる。
まわりをきょろきょろ見回し、誰かに見つかるのを警戒している様にも見える。
( 真贋さん、じゃなかったんだっけ。なんて呼べばいいかな。)
『それでは、ナビとお呼びください。』
( じゃあナビちゃん。身の危険が及ぶ前に逃げたいんだけど、どうすればいい?)
『ナビちゃん…可愛いですね。ふふふっ、気に入りました。ニナ様、トーマスとゲイルはともかく、ノインとボランはどういたしますか?』
( …鑑定してからでないと…判断できない。)
『本当に良い人ですね、ニナ様は。残念ですが、あの2人もこの2人と大差ありません。』
( …やっぱり。ここは国ごと腐ってるのかな。それじゃ、最速で4人とお別れしたいです。)
『では、城門を出て数百メートル進んだ辺り、スキル遠見を持つ城壁の見張りの兵士たちの目が届くところまで魔物を呼び寄せましょう。ニナ様、私が誘導いたしますので、ニナ様は魔物に飲み込まれる寸前にご自身の姿を幻術で作り、魔物に飲み込ませてください。幻術を展開したら、ニナ様は見える範囲の一番遠くまで転移してください。』
( 魔物に、飲み、こ、ま、れる・・?)
『ニナ様を飲み込むのは、魔獣のドラゴンに擬態した神獣のドラゴンです。少し生臭さはあるかと思いますが、ぐっと我慢してください。』
( ぐっと、我慢・・?)
ちょっと不安だけど、神様関係のナビちゃんが言うことだ。
信じよう。
ガラガラガラと音がしてきたので、そちらを見ると、ノインとボランが、1頭立ての馬車を1台ずつ誘導してきた。
トーマスが馬車に駆け寄る。
「お前ら、目を離すなっつっただろうが!!」
「逃げてないだろ?結構足の怪我が酷かったから、逃げたとしてもそう遠くまで行けないと思ってさ。それに、逃げてもどうせ城壁からは出られないんだし。」
「そりゃそうだが、城内でも逃げられたことばバレれば、俺たちが殺されちまうんだよっ!」
「へーい。すいやせんっしたー。」
「この野郎「まぁまぁ、トーマス。今は我慢しろ。逃げることを第一に考えろ。」
「・・分かったよ。」
そう言いながらも、納得していない目でトーマスがノインを睨みつける。
( うっわ~、仲悪い、っていうか、これがこの国の普通の人なの?無理だわぁ、絶対この国で暮らすなんて無理。)
「お前らは馬車を2台とも使うのか?」
ノインがゲイルに問いかける。
「ああ、行き先が違うからな。」
「じゃあ、王命で先を急ぐから、馬車を引く馬を交換しながら進むってことにしてくれよ。そしたら馬を2頭多めに連れて行ける。途中で俺とボランは馬に乗って逃げる。いいだろ?こっちも危ない橋渡ってるんだ。少しくらい協力してくれよ。」
「ああ、いいぞ。無いと思うが、門番が何か言ってくるようだったら、そう言ってやるよ。」
「よろしく~。」
言いながら、ノインは厩に向かって走って行った。
「おい女、この馬車に乗れ。」
そう言いながら、馬車の後ろ側に踏み台を出してくれる。
( こうやってここを出るまでは親切ぶって、ここを出たら豹変するんだろうなぁ。)
「ありがとうございます。」
消え入りそうな声でお礼を言って、ノロノロと馬車の荷台に乗り込む。
だぼだぼの男物の服を着ていても、トーマスの視線が絡みついてきて気持ち悪かった。
「おいボラン、女物の服を用意しておけって言ったよな。」
「へぇ、用意したんですが、その嬢ちゃんがそれを着ちまったんでさ。」
「チッ」
舌打ちをしたトーマスが小屋に入って行った。
「なんだこりゃ!服はどこにあるんだよ!!」
小屋の中からは、トーマスの文句と、物が壊れる音が聞こえてくる。
暫くすると、文句を言い続けながら、女物の服を持って小屋から出てきた。
「おい、こっちに着替えておけよ。」
そう言って、トーマスは馬車の中に女物の服を置き、荷台の幌を下げた。
馬車の前方では、ノインが追加で連れてきた馬が、既に馬車に繋がれていた。
まわりをきょろきょろ見回し、誰かに見つかるのを警戒している様にも見える。
( 真贋さん、じゃなかったんだっけ。なんて呼べばいいかな。)
『それでは、ナビとお呼びください。』
( じゃあナビちゃん。身の危険が及ぶ前に逃げたいんだけど、どうすればいい?)
『ナビちゃん…可愛いですね。ふふふっ、気に入りました。ニナ様、トーマスとゲイルはともかく、ノインとボランはどういたしますか?』
( …鑑定してからでないと…判断できない。)
『本当に良い人ですね、ニナ様は。残念ですが、あの2人もこの2人と大差ありません。』
( …やっぱり。ここは国ごと腐ってるのかな。それじゃ、最速で4人とお別れしたいです。)
『では、城門を出て数百メートル進んだ辺り、スキル遠見を持つ城壁の見張りの兵士たちの目が届くところまで魔物を呼び寄せましょう。ニナ様、私が誘導いたしますので、ニナ様は魔物に飲み込まれる寸前にご自身の姿を幻術で作り、魔物に飲み込ませてください。幻術を展開したら、ニナ様は見える範囲の一番遠くまで転移してください。』
( 魔物に、飲み、こ、ま、れる・・?)
『ニナ様を飲み込むのは、魔獣のドラゴンに擬態した神獣のドラゴンです。少し生臭さはあるかと思いますが、ぐっと我慢してください。』
( ぐっと、我慢・・?)
ちょっと不安だけど、神様関係のナビちゃんが言うことだ。
信じよう。
ガラガラガラと音がしてきたので、そちらを見ると、ノインとボランが、1頭立ての馬車を1台ずつ誘導してきた。
トーマスが馬車に駆け寄る。
「お前ら、目を離すなっつっただろうが!!」
「逃げてないだろ?結構足の怪我が酷かったから、逃げたとしてもそう遠くまで行けないと思ってさ。それに、逃げてもどうせ城壁からは出られないんだし。」
「そりゃそうだが、城内でも逃げられたことばバレれば、俺たちが殺されちまうんだよっ!」
「へーい。すいやせんっしたー。」
「この野郎「まぁまぁ、トーマス。今は我慢しろ。逃げることを第一に考えろ。」
「・・分かったよ。」
そう言いながらも、納得していない目でトーマスがノインを睨みつける。
( うっわ~、仲悪い、っていうか、これがこの国の普通の人なの?無理だわぁ、絶対この国で暮らすなんて無理。)
「お前らは馬車を2台とも使うのか?」
ノインがゲイルに問いかける。
「ああ、行き先が違うからな。」
「じゃあ、王命で先を急ぐから、馬車を引く馬を交換しながら進むってことにしてくれよ。そしたら馬を2頭多めに連れて行ける。途中で俺とボランは馬に乗って逃げる。いいだろ?こっちも危ない橋渡ってるんだ。少しくらい協力してくれよ。」
「ああ、いいぞ。無いと思うが、門番が何か言ってくるようだったら、そう言ってやるよ。」
「よろしく~。」
言いながら、ノインは厩に向かって走って行った。
「おい女、この馬車に乗れ。」
そう言いながら、馬車の後ろ側に踏み台を出してくれる。
( こうやってここを出るまでは親切ぶって、ここを出たら豹変するんだろうなぁ。)
「ありがとうございます。」
消え入りそうな声でお礼を言って、ノロノロと馬車の荷台に乗り込む。
だぼだぼの男物の服を着ていても、トーマスの視線が絡みついてきて気持ち悪かった。
「おいボラン、女物の服を用意しておけって言ったよな。」
「へぇ、用意したんですが、その嬢ちゃんがそれを着ちまったんでさ。」
「チッ」
舌打ちをしたトーマスが小屋に入って行った。
「なんだこりゃ!服はどこにあるんだよ!!」
小屋の中からは、トーマスの文句と、物が壊れる音が聞こえてくる。
暫くすると、文句を言い続けながら、女物の服を持って小屋から出てきた。
「おい、こっちに着替えておけよ。」
そう言って、トーマスは馬車の中に女物の服を置き、荷台の幌を下げた。
馬車の前方では、ノインが追加で連れてきた馬が、既に馬車に繋がれていた。
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