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聖女召喚
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「「「「「成功だ!」」」」」
うるさいなぁ…テレビつけてなかったと思うんだけど…誰か表で喧嘩でもしてるのかなぁ…
聞き覚えのない複数の声が聞こえてきて目が覚めた。
あまりの騒がしさに目を開ける。
ギイィッ、バタン!という大きな音がして大きな扉が開かれ、煌びやかな衣装を着た人々が、ガシャンガシャンと動く度に音がする鎧を数体従えて、部屋に入って来る。
眠くてぼーっとした頭と視界で、それらを眺める。
すると、ひときわ派手な衣装を着て、これでもかと頭の上や首や手に宝石が付いた貴金属を身に着けた、でっぷりしたガマガエルのような男の人が口を開いた。
「皆の者、よくやった。そして、よく来たな、聖女。歓迎してやろう。儂はお前を召喚してやったバラライド国の国王だ。お前にはこの国を豊かにし、あらゆる脅威から国を守り、魔物を駆逐し、魔の森を浄化するという重要な役目をやろう。生涯儂に仕えさせてやる。感謝するがいい。」
「は?」
思わず間抜けな声が出て、意識がはっきりした。
ぱちぱちと瞬きをして、視界をクリアにさせる。
部屋の壁際には、数十人の白い布を頭からかぶった人が立っていて、その人たちと私の間には、白いノースリーブのロングワンピースのようなものを着た人たちが、数えきれないほど倒れていた。
( 息、してないんじゃないの、この人たち…)
あまりに現実離れした光景に、頭がついていかない。
明らかに大量の死体に囲まれているのに、初めて死体を見たはずなのに、発狂しないでいられる自分を褒めてあげたいなどという、訳の分からない考えが次々と浮かんでは消えていく。
精神を、心を守るための危機管理能力、現実逃避というやつなのだろう。
部屋は石で作られているようで、壁に一定の間隔で取り付けられた僅かな蝋燭の炎だけが光源で、部屋の中は薄暗く、人々の顔ははっきり見えない。
ガマガエルの顔がはっきり見えたのは、ガマガエルの両サイドの女性が、手にランプのようなものを持っているからだ。
そんな部屋の真ん中の、幾何学模様が描かれた冷たい床の上に、私は座っていた。
( 私さっきまで家にいたよね?お風呂に入ってからご飯食べて、食べ過ぎて眠くなって…このガマガエル、私のことを聖女って言った?これってラノベでよくある異世界召喚ってこと?なんで?なんで私なの!?なんでよりによって、こんなガマガエルが国王の国に召喚されちゃったの?)
混乱する私の元に、黒いフード付きのマント?を着た人が、水晶のような透明な玉を持って近付いてきた。
そして私の手首を掴み( 痛っ!力強過ぎ!!)、掌を水晶に押し付けて、ぶつぶつとなにかを呟いた。
途端、空中に文字が映し出される。
名前: 一ノ瀬 丹那
種族: 人族
年齢:15歳
職業: 万能職
Lv:1
HP(体力):22
MP(魔力):0
スキル:料理、裁縫、掃除、洗濯、交渉
加護:なし
称号:禁術によって異世界から召喚されし不運な者
「な、な、な・・・これだけの金と生贄を使って、魔力0の無能な万能職を召喚したというのか!このっ、大馬鹿共が!!!!!!!貴様らは即刻死刑だ!!この薄汚い女は、魔の森の魔獣に食わせろ!!異世界人を召喚した証拠を隠滅しろ!!!!!!!!」
「・・・はぁあああああああああああああああああっ!!?」
なに言ってんの、このガマガエル!!
うるさいなぁ…テレビつけてなかったと思うんだけど…誰か表で喧嘩でもしてるのかなぁ…
聞き覚えのない複数の声が聞こえてきて目が覚めた。
あまりの騒がしさに目を開ける。
ギイィッ、バタン!という大きな音がして大きな扉が開かれ、煌びやかな衣装を着た人々が、ガシャンガシャンと動く度に音がする鎧を数体従えて、部屋に入って来る。
眠くてぼーっとした頭と視界で、それらを眺める。
すると、ひときわ派手な衣装を着て、これでもかと頭の上や首や手に宝石が付いた貴金属を身に着けた、でっぷりしたガマガエルのような男の人が口を開いた。
「皆の者、よくやった。そして、よく来たな、聖女。歓迎してやろう。儂はお前を召喚してやったバラライド国の国王だ。お前にはこの国を豊かにし、あらゆる脅威から国を守り、魔物を駆逐し、魔の森を浄化するという重要な役目をやろう。生涯儂に仕えさせてやる。感謝するがいい。」
「は?」
思わず間抜けな声が出て、意識がはっきりした。
ぱちぱちと瞬きをして、視界をクリアにさせる。
部屋の壁際には、数十人の白い布を頭からかぶった人が立っていて、その人たちと私の間には、白いノースリーブのロングワンピースのようなものを着た人たちが、数えきれないほど倒れていた。
( 息、してないんじゃないの、この人たち…)
あまりに現実離れした光景に、頭がついていかない。
明らかに大量の死体に囲まれているのに、初めて死体を見たはずなのに、発狂しないでいられる自分を褒めてあげたいなどという、訳の分からない考えが次々と浮かんでは消えていく。
精神を、心を守るための危機管理能力、現実逃避というやつなのだろう。
部屋は石で作られているようで、壁に一定の間隔で取り付けられた僅かな蝋燭の炎だけが光源で、部屋の中は薄暗く、人々の顔ははっきり見えない。
ガマガエルの顔がはっきり見えたのは、ガマガエルの両サイドの女性が、手にランプのようなものを持っているからだ。
そんな部屋の真ん中の、幾何学模様が描かれた冷たい床の上に、私は座っていた。
( 私さっきまで家にいたよね?お風呂に入ってからご飯食べて、食べ過ぎて眠くなって…このガマガエル、私のことを聖女って言った?これってラノベでよくある異世界召喚ってこと?なんで?なんで私なの!?なんでよりによって、こんなガマガエルが国王の国に召喚されちゃったの?)
混乱する私の元に、黒いフード付きのマント?を着た人が、水晶のような透明な玉を持って近付いてきた。
そして私の手首を掴み( 痛っ!力強過ぎ!!)、掌を水晶に押し付けて、ぶつぶつとなにかを呟いた。
途端、空中に文字が映し出される。
名前: 一ノ瀬 丹那
種族: 人族
年齢:15歳
職業: 万能職
Lv:1
HP(体力):22
MP(魔力):0
スキル:料理、裁縫、掃除、洗濯、交渉
加護:なし
称号:禁術によって異世界から召喚されし不運な者
「な、な、な・・・これだけの金と生贄を使って、魔力0の無能な万能職を召喚したというのか!このっ、大馬鹿共が!!!!!!!貴様らは即刻死刑だ!!この薄汚い女は、魔の森の魔獣に食わせろ!!異世界人を召喚した証拠を隠滅しろ!!!!!!!!」
「・・・はぁあああああああああああああああああっ!!?」
なに言ってんの、このガマガエル!!
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