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素材鑑定スキル

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ギルドと名の付く組織には、必ず鑑定士という鑑定スキル持ちがいる。

僕が所属している冒険者ギルドにも、小さな町にもかかわらず2人の鑑定士がいる。

魔物の素材にしろ、薬草にしろ、元の姿を見れば分かるものでも、部分的に採取したり、素材として解体してしまうと、その判定が非常に難しいからだ。

例えば、ゴブリンは進化する。
進化前のゴブリンと進化後のゴブリンを見分けることは、生きている姿を並べてみても難しいことがある。
進化したばかりだと、進化前と見た目にそれほど差はないが、脅威は桁違いだ。
にも拘らず、討伐証明部位を見ても、魔石を見ても、その違いを魔物の一部分だけを見て判別することは困難なのだ。

例えば、薬草の薬効。
葉も茎も花も同じに見える薬草でも、根の先にコブがあるものとないもので、薬草と毒草だったりする。

なので、納品された素材は必ず鑑定により選別される。


僕が取得できたのは素材鑑定。
低レベルなので、基本は素材の名前しか分からない。

テイムスキルの次に目指したのは鑑定スキルの取得だった。

これまた、地道な作業だった。
依頼に出た際、ボルトたちに見つからないように注意して、よく知られている薬草を数本ずつ採取して帰った。

「漆黒の闇」では依頼が終わると、必ず休日があった。
多くは1日から2日、長いと7日から10日休む

依頼の翌日は冒険者ギルドに行き、資料室で薬草図鑑と現物の薬草を見比べる。
現物を見ながら、薬草図鑑でその特徴や効能を読む。
何度も何度も同じ薬草を見ながら、同じ説明文を読む。

こちらも約半年で取得することができた。

ただし、鑑定ではなく、素材鑑定だ。
ただ、素材となる物の名前が分かるだけのスキルだった。
基本は、だ。

一度取得できてしまえば、後は簡単だ。
素材に関する資料を、読む。
ただひたすら、読む。
高いお金を払って、町唯一の図書館に行ってまで、読む。

覚えきれなくても構わないのだ。
一度読んで ≪   ≫ 知識は素材鑑定スキルに蓄積され、素材となるものを鑑定すると、読んだ知識が名前と共に表示されるのだ。

自分で自分の素材鑑定スキルを育てられる。
なんて面白いんだ。
僕は夢中で本を読み漁った。

一般的な素材となる陸空水の植物と動物と魔物等の生物は、普通の鑑定スキル以上の情報が見られるスキルに育った。
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